先日のSTAMシリーズが信託報酬引き下げ (eMAXISと好勝負へ)で以下のように書きました。
以下は余談。

この信託報酬引き下げで気になるのは信託報酬のどの部分を引き下げたかです。
7月5日時点の発表では信託報酬のどの部分が引き下げられたのかが不明ですが、委託者(住信AM)分だけ引き下げたのでしょうか?それとも販売会社分も引き下げたのでしょうか?
委託者分だけだとすると住信AMはかなりのギャンブルに出たことになります。
STAM 新興国債券インデックス・オープンは税抜きで0.83%→0.65%と0.18%の引き下げですが、これは委託者分は0.38%→0.20%と約47%の値引きになります。今までの約2倍の資産を集めて従来と同等の収入です。

販売会社の取り分の修正にまで踏み込めたのでしょうか?
数日遅くなりましたが、この続きです。


7月30日に更新された目論見書などで、STAMシリーズの信託報酬の内訳(運用会社・販売会社・受託者の取り分)が判明しました。
そこで・・・7月30日以前の交付目論見書と7月30日に更新された交付目論見書から内訳を比較して簡単に表にしました。(カッコ内は税抜き)



信託報酬

信託報酬
ギャップ(差)
(新-旧)
ギャップ(比)
(新/旧)
STAM
TOPIX
信託報酬
合計
0.4830%
(0.46%)
0.4725%
(0.45%)
-0.0105%
(-0.01%)
0.978
運用会社 0.2100%
(0.20%)
0.189%
(0.18%)
-0.021%
(-0.02%)
0.9
販売会社0.2205%
(0.21%)
0.2310%
(0.22%)
+0.0105%
(+0.01%)
1.048
受託者0.00525%
(0.05%)
0.00525%
(0.05%)
変わらず変わらず
STAM
国内債券
信託報酬
合計
0.462%
(0.44%)
0.420%
(0.40%)
-0.042%
(-0.04%)
0.909
運用会社 0.2100%
(0.20%)
0.189%
(0.18%)
-0.021%
(-0.02%)
0.9
販売会社0.2100%
(0.20%)
0.189%
(0.18%)
-0.021%
(-0.02%)
0.9
受託者0.042%
(0.04%)
0.042%
(0.04%)
変わらず変わらず
STAM
J-REIT
信託報酬
合計
0.6720%
(0.64%)
0.5250%
(0.50%)
-0.147%
(-0.14%)
0.78125
運用会社 0.3045%
(0.29%)
0.2100%
(0.20%)
-0.0945%
(-0.09%)
0.690
販売会社0.315%
(0.30%)
0.2625%
(0.25%)
-0.0525%
(-0.05%)
0.833
受託者0.00525%
(0.05%)
0.00525%
(0.05%)
変わらず変わらず
STAM
グローバル
株式
信託報酬
合計
0.7770%
(0.74%)
0.6300%
(0.60%)
-0.147%
(-0.14%)
0.811
運用会社 0.3465%
(0.33%)
0.2415%
(0.23%)
-0.105%
(-0.10%)
0.697
販売会社0.3675%
(0.35%)
0.3255%
(0.31%)
-0.042%
(-0.04%)
0.886
受託者0.0630%
(0.06%)
0.0630%
(0.06%)
変わらず変わらず
STAM
グローバル
債券
信託報酬
合計
0.672%
(0.64%)
0.5775%
(0.55%)
-0.0945%
(-0.09%)
0.859
運用会社 0.315%
(0.30%)
0.2415%
(0.23%)
-0.0735%
(-0.07%)
0.767
販売会社0.315%
(0.30%)
0.2940%
(0.28%)
-0.021%
(-0.02%)
0.933
受託者0.042%
(0.04%)
0.042%
(0.04%)
変わらず変わらず
STAM
グローバル
REIT
信託報酬
合計
0.861%
(0.82%)
0.6825%
(0.65%)
-0.1785%
(-0.17%)
0.793
運用会社 0.399%
(0.38%)
0.2625%
(0.25%)
-0.1365%
(-0.13%)
0.658
販売会社0.399%
(0.38%)
0.3570%
(0.34%)
-0.042%
(-0.04%)
0.895
受託者0.0630%
(0.06%)
0.0630%
(0.06%)
変わらず変わらず
STAM
新興国株式
信託報酬
合計
0.8715%
(0.83%)
0.6825%
(0.65%)
-0.189%
(-0.18%)
0.783
運用会社 0.399%
(0.38%)
0.2625%
(0.25%)
-0.1365%
(-0.13%)
0.658
販売会社0.4095%
(0.39%)
0.3570%
(0.34%)
-0.0525%
(-0.05%)
0.872
受託者0.0630%
(0.06%)
0.0630%
(0.06%)
変わらず変わらず
STAM
新興国債券
信託報酬
合計
0.756%
(0.72%)
0.6300%
(0.60%)
-0.126%
(-0.12%)
0.833
運用会社 0.3570%
(0.34%)
0.2625%
(0.25%)
-0.0945%
(-0.09%)
0.735
販売会社0.3570%
(0.34%)
0.3255%
(0.31%)
-0.0315%
(-0.03%)
0.912
受託者0.042%
(0.04%)
0.042%
(0.04%)
変わらず変わらず
この数字からいろいろなものが見えてきますが、最大のポイントは2つ。

(1)販売会社の取り分も引き下げている
販売会社の取り分の修正にまで踏み込めたのでしょうか?
と書きましたが、ここの答えはYESでした。
この結果を踏まえると、既存の他投信(特に低コストを売りにするインデックスファンド)は販売会社分も含めて信託報酬が下がることも期待はできます。

(2)それでも運用会社が泥をかぶるのが基本
販売会社分も信託報酬は下がったのですが、やはり引き下げ分の多くは運用会社分です。表の右側に信託報酬引き下げ率として「ギャップ(比)」という項目を設けています。
8ファンドの信託報酬引き下げ率は次の通り。
  ・最大:22%弱
  ・最小:2%強
  ・平均:17%弱
運用会社取り分の引き下げ率を見ると次の通り。
  ・最大:34%弱
  ・最小:10%
  ・平均:25%弱

明らかに信託報酬の運用会社取り分が大きく減っています。
信託報酬引き下げは販売会社にも協力してもらえた点は素晴らしいことかと思います。しかし、この数字から見ると住信アセット・マネジメントが苦戦しているだろうことが推測できます。
売れ筋の商品なら、Apple Incのように販売会社に対して強く信託報酬引き下げを迫ることもできたでしょうが、この引き下げの内訳を見ていると住信AMが苦心していることが伺えます。


他にも気になった点は以下の2つ

(3)売れ筋商品(グローバル株式/新興国株式)で運用会社取り分が大きく低下
総信託報酬の引き下げも大きいので当然の話ですが、STAMシリーズで売れ筋のグローバル株式/新興国株式で運用会社取り分が30%以上下がっています。
これは住信AMにとっては厳しいですね。

(4)STAM TOPIXだけ販売会社の取り分が増えている
どういう意図でこの設定になったのか分かりませんが、STAM TOPIXだけ販売会社の取り分が増えています(0.21%→0.22%)。
どうしてここだけ販売会社取り分が増えたのか謎です。私のような変なところに注目する人を惹きつけるためなんてことはないでしょうが。


さあ、eMAXIS、CMAM(、SMAM、ニッセイ日経225)というライバルがいる中で、STAMのこの判断はどうなるでしょう?


【関連コンテンツ】