「人気があって、資金が流れてくる投資信託は基準価額が上がる」

なんて誤解があります。


これは株価と基準価額を混同している誤解ですね。

人気があって資金が流入すると基準価額が上がるのは株価です。
一方、投信は有価証券のバスケットであり、資金流入が基準価額上昇とはなりません。
日経平均連動インデックスファンドで人気ファンドAと不人気ファンドBがあったとしても、両ファンドの基準価額は人気に関わらず日経平均に連動して同じパフォーマンスになります。(運用巧拙やコストなどの差を無視した場合)


しかし、経済や金融で食べている人でもこの誤解をしている人がいます。以下は何冊もの経済・金融関連の著書がある須田慎一郎氏の『投信バブルは崩壊する』のグロソブに関する記述です。
実は分配をすると、そのつど、投信の価格である基準価額が下がる傾向が見てとれる。ところが、資金が次々と流入することで資産増加に伴って基準価額が再び上がるために、そのような事態は見過ごされてきた側面がある。
本来、5兆円以上もの資金が集まれば、もっと値上がりしてもよさそうなものに思える
グロソブだけで世界の債券市場に対して圧倒的な影響を与えるほどの資金量なら基準価額も動くでしょうが、世界の債券市の前ではたったの5兆円にすぎず、その金額が何年もかけた資産規模ですから債券価格を吊り上げるほどにはなりません。
基準価額が上がったのは実質ベンチマークのシティグループ世界国債インデックスが上がっているようにそのアセットの評価額が上がっていただけです。
ですから「ファンドを通じた資金流入が債券高をおこす」なんて言い訳も通用しません。
須田氏の完全な誤解です。そうでなければ意図的で悪質な嘘です。

しかし、嘘とは考えにくい一面があります。
何も高いコストを払ってまで、投信の手を借りることはない。自ら外国株や債券を買って、国際分散投資をやればいいだけの話である。
同じ著書の中で、このように外国株式や債券を直接買えと平気で書いてしまうほどですので、無知ゆえの誤解ということだと推測されます。
国際分散投資を自力でやるとどれだけコストがかかるんでしょう。ヨーロッパ、ベトナム、ブラジル・・・と投信組み入れの外国株や債券を個人で直接買えばいいなんて発想は正気の沙汰とは思えません。



おっと、須田氏の話になってしまいましたね。松尾健治氏の著書ほどではありませんが、非常に"面白い"本ですので、つい脱線してしまいました。本題に戻ります。


分配金の誤解ほどの圧倒的存在感はありませんが、専門家(?)の須田氏も堂々と著書に書いてしまうぐらいですので、「人気があると基準価額が上がる」という誤解は地味に残っているようです。


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