「賃金が上がらない」という話をよく聞きます。

失われた20年に入るまでは給与が毎年のように上昇していた。しかし、バブル崩壊後に日本の給与は上がらなくなった。

こんな話をよく聞くこともあります。
その原因は景気の低迷やグローバル化による賃金競争という側面があることは否定できません。
しかし、話半分にして聞いた方がいいかもしれません。

理由はインフレ率です。

日本経済絶好調時はインフレ率が高かった。だから名目給与が上昇しないと実質は下がるので、給与は増える必要があった。名目給与が5%増えていてもインフレ率が5%なら、インフレ率0%の給与据え置きと理屈上は同じです。

「デフレ前の日本」と「デフレ/低インフレが続く最近」を比較する時には、物価上昇分を割り引いて比較すべきでしょう。しかし、専門的な研究は別にして、俗に給与比較をする時には名目で比べられていることがよくあります。

「昔は毎年のように給与が上がったんだよ。でも今は定期昇給くらいで、定期昇給だって無いことがある」のように名目で話をしていることがほとんどです。この場合、過去はインフレ率によって水増しされている給与上昇ですので、過大評価ということになります。

インフレ率を考慮しない比較の場合は、話半分に聞くべきでしょうね。


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