客観的なデータがあるわけではありませんが、日本人は日本に対して悲観的すぎませんか?
メディアの報道、ネット上の書き込み、会う人の意見・・・悲観的意見をよく聞く機会があります。

・少子化
・政府債務残高
・長期的な株価低迷
・中国の台頭(GDPで抜かれる/抜かれた)


上のような理由だけでなく、さまざまな理由から日本を悲観視する意見を聞きます。そして株式投資の世界では、日本の将来は悲観的だから日本株の投資割合を下げて世界株に投資しよう、というような意見も聞きます。

私も日本に上記のような不安材料があることには賛同します。しかし、そこから一足飛びに【日本がダメで諸外国をヨシ】とすることは賛同できません。

【日本がダメで諸外国をヨシ】とするからには、日本と諸外国を比較して、諸外国の方が良いとならなければいけません。
ところが、そのような議論を抜きにして「日本は少子高齢化でお先真っ暗なのに日本円が強く円高になる理由が分からない」というのはあまりにも短絡的ではないでしょうか。
(そもそも短期の為替相場がファンダメンタルで説明できるのかという言う疑問もありますが、)仮にファンダメンタルで説明できたとしても上のような諸外国の状況を考えないでの意見は早計すぎです。


そんなに諸外国は良いのでしょうか?

★アメリカ
アメリカは双子の赤字(財政赤字・経常赤字)を抱え、昨今の金融危機でさらに財政状況は悪化しています。アフガニスタンやイラクのコストも厳しい。
国債消化も外国頼みです。今でこそ何とか消化できていますが、最近はそろそろ危険がささやかれています。
失業率は高く、格差は拡大しています。貧しい層の医療制度は崩壊しています。
世界がアメリカドルの基軸通貨体制から外れようとしています。


★ヨーロッパ
非ユーロ圏の大国イギリスは金融国家を目指しましたが、その道も閉ざされつつあります。ロイヤル・ダッチ・シェルやBPという石油関連企業やGSK、Astra Zenecaという製薬企業などはありますが、国の経済規模と比較すると金融以外で世界的に活躍している企業は多くない。
大陸に目を向けるとギリシア、ポルトガルなど欧州諸国のソブリンリスクが叫ばれています。国債では、債務残高が多いどころか申し込んだ借金を断られている(札割れ)ことさえある。
東欧に目を向けるとこの地域の経済状況は極めて悪い。対外債務が極めて多いこれらの国々の経済状況は極めて悪い。次々とIMFに支援を求めて何とか保っている状態。その東欧諸国への投資の多くが西欧諸国であり、西欧諸国も東欧諸国の経済危機の影響を大きく受けている。
イタリアなどのユーロ離脱もささやかれつづけている。
統一通貨ユーロを利用する国家間では、各国独自の金融政策を実行できないために危機やバブルへの対応の柔軟性がありません。


これらの材料をどう評価するかで、どこが有望かの順位は異なるのでしょう。しかし、少なくとも簡単に「日本だけが特別に悪い」と言えるようには思えません。

中国などに代表される新興国についても、国内の格差や資源頼みの国々など大きなアキレス腱を抱える国が少なくありません。

こうやって見てみると、日本も不安材料がたくさんありますが、アメリカやヨーロッパにも多くの不安材料があります。決して、日本がダメで諸外国がいいとは言えないでしょう。
日本に不安材料が多いからと言って、それだけで隣の芝を青く感じてしまうのはやめた方がよいように思いますが、いかがでしょうか。


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