吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



ETN

東証のETFに関する規則(2011年1月27日時点)

先のエントリーで予告したように、東証の規則にETFに要求されている「資産の裏づけ」に関してです。

東証の規則では、ETFの上場審査基準を規定しており、有価証券上場規程第1104条に内国ETFに関する以下のような規定があります。
dの2
新規上場申請銘柄が、次の(a)から(c)までのいずれかに適合すること。
(a)特定の指標が有価証券その他の資産の価格に係る指標である場合において、当該指標の構成銘柄のうち時価総額構成比率95%以上を占める各銘柄若しくは各種類(当該指標が単純平均型のものである場合は、原則として、当該指標の全構成銘柄)の有価証券その他の資産(信用性その他の事項を勘案し、公益又は投資者保護の観点から、当取引所が投資信託財産等として適当でないと認めるものを除く。以下このdの2における「有価証券」において同じ。)又は当該各銘柄の価格に連動する投資成果を目的として発行された有価証券が投資信託財産等に組み入れられることが見込まれること。
(b) 特定の指標に連動する投資成果を目的として発行された有価証券が投資信託財産等に組み入れられることが見込まれること。
(c) 新規上場申請銘柄の一口あたりの純資産額と特定の指標との間に高い相関があり、当該指標の変動が当該一口あたりの純資産額に適正に反映されると見込まれること。

dの4
特定の指標に連動する投資成果を目的として発行された有価証券又は特定の者との契約に係る権利(法第2条第22項に規定する店頭デリバティブ取引に係る権利、商品投資等取引に係る権利又は投資信託法施行令第3条第7号に掲げる金銭債権に限る。)を投資信託財産等に組み入れることによって、特定の指標に連動する仕組みである新規上場申請銘柄にあっては、上場後継続的に運用が行われる見込みがあり、かつ、運用の継続性の確保及び投資信託財産等の毀損の可能性の軽減のための当該有価証券の発行者又は当該契約の相手方の信用状況等に関する管理体制その他の適切な体制が管理会社において整備されていること。

規則なだけあって他の法令への参照やカッコがネストされたりしていて分かりにくい文言です。しかし、主張は単純です。
dの2は簡単に言うと「連動を指数との連動性が極めて高いものを組み入れなさい」。
dの4は簡単に言うと「デリバティブの発行者、権利取引の取引相手の信用度をチェックしなさい」。

これが主に国内ETFの資産の裏づけに関連する基準です。外国の証券所のETF上場審査基準については知りませんが、シンセティック・レプリケーション、デリバティブ、空売りなどが認められていることを考えると似たようなものだと推測しています。

なお、東証の上場規定では内国ETF以外にも他にも以下のようなものに対してそれぞれの基準が設けられていますが、1306条もある有価証券上場規程のどこを見ても資産の裏づけのないETNに関する記述はありません。そこで、ETNを上場できるように上場規定を改定するようです。
 ・外国ETFの上場審査基準
 ・外国ETF信託受益証券の上場審査基準
 ・内国商品現物型ETFの上場審査基準
 ・外国商品現物型ETFの上場審査基準
 ・外国商品現物型ETF信託受益証券の上場審査基準







ETFとETNの定義

1月27日の日経新聞に東証がETNの上場を4月をめどに目指しているという記事がありました。

『貴金属やアジア株…、新型の指数連動証券、東証、4月めど上場。』 (日経新聞)
東京証券取引所はETN(上場投資証券)と呼ばれる新しい証券の上場を4月をめどに解禁する。貴金属やアジア株で設定した指数などに価格を連動させる金融商品で、上場投資信託(ETF)と違って現物の資産で運用しなくてもよいのが特徴だ。


このニュースは様々なブログなどで取り上げられているので、ここではETFとETNの違いについて少し確認しておきます。

日経新聞の記事はミスリードを誘う記述があります。日経新聞の記事を読むと「ETFは現物の資産で運用しなくてはならない」と解釈してしまう人がいるかもしれませんが、これは間違いです。

最も原始的なETFは現物拠出の運用であり、これが基本形です。しかし、ETFは全部が指数同様の現物拠出とは限りません。

例えば、東証ではMSCI KOKUSAI連動の「上場インデックスファンド海外先進国株式」(1680)がありますが、これはファンドに投資しており、そのファンドは先物を主体として投資しています。
LyxorのETFが導入された時に話題になったETF組成方法として、シンセティック・レプリケーションという方法もあります。ヨーロッパの方で流行っているようですが、指数に近い構成銘柄で資産の大部分を保有しつつ、細かい部分はインデックスとのギャップ部分を埋めるようなデリバティブに投資することでインデックスとの連動性を目指しています。

海外に目を向けても、様々なETFがあります。
Rafferty Asset Managementという会社は「Direxion Daily Large Cap Bear 3X Shares」というETFを提供しています。(BGZ:Google Financeのデータ)
BGZはRussell 1000 Indexの日々の値動きと逆の方向に3倍の値動きをするというベアETFです。ベアETFですから現物拠出はできません。どのように組成されているかというと、80%が指数構成銘柄のショートポジションとして残りで3倍の値動きを実現するための証券等に投資しています。
コモディティに投資するETFもいろいろありますが、必ずしも大豆やトウモロコシや原油の貯蔵庫を持って現物を確保しているわけではなく、コモディティの分野のETFは先物を大いに活用しています。

私も一時期は勘違いしていましたが、現物の裏づけが無いETFはETFじゃなくてETNだ。海外ではそういうものはETNと(略)」という風潮の批判も結構ありました。そして、Googleでいろいろ検索していても基本的にはこの考え方に近い記述が極めて多く見つかります。Wikipediaもそうです。
しかし、このような批判は残念ながら間違いで、ETFは現物資産で運用するものとは限らないのです。
これが今回のエントリーで一番重要なポイントです。
※少し前に見つけたRussell Investmentの『ETFs, Swaps, and Futures』のレポートでも多様なETFについての説明があります。


「ETFは現物資産の裏づけがあるものだ」という誤解を解いたところで、本題に戻ります。
「ETFとETNでは何が違うのか?」の回答は「資産の裏づけ」です。「現物資産の裏づけ」ではなく、「資産の裏づけ」という点が重要です。

このように書くと、次には「何が資産の裏づけなの?」という質問が出るかもしれません。
この問いに答えるには、東証の規則にETFに要求されている「資産の裏づけ」に関する記述があり(当然ですね)、これに触れながら書きたいのですが、長くなるので次のエントリーで書きます。



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