【2013年9月6日】
証券取引等監視委員会の検査の結果、アマデウスアドバイザーズ株式会社に対して行政処分が行われました。3か月の新規投資一任契約締結の禁止及び各種業務改善命令です。
※参考:アマデウスアドバイザーズ株式会社に対する行政処分について(金融庁)



時は遡って2012年3月21日。

AIJ投資顧問の事件が世間をにぎわしていたころ、独立系の運用会社が団結した「ファンドの春〜 いまこそ問われるべき運用の質」というシンポジウムが開催されていました。

発起人であるI-Oウェルス・アドバイザーズにはシンポジウムの目的および意気込みが書かれています。
すべてをAIJ投資顧問の責任として、ただ単に規制を強化するだけでは本質的な改善はできないだろうと思います。また、独立系投資顧問は危ないという単純な考え方も非常に危険なものです。いま、問われているのは、あらゆる業態を通じて「運用の質」です。また、投資家が正しくその判断を下せるためには、中立・独立の投資・資産運用の常識の普及が必要です。資産運用に関連するすべての分野でプロとしての知識と倫理観が求められてるのです。

●シンポジウムの様子のUSTREAM配信
http://www.ustream.tv/channel/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E6%98%A5

●シンポジウムをまとめた記事 (ダイヤモンドオンライン)
AIJ事件の本質を語りあった独立系金融ベンチャーの挑戦


ところが・・・
シンポジウムに参加した運用会社は下記の11社の中に、この度行政処分を受けたアマデウスアドバイザーズ株式会社がいました。

【シンポジウム参加企業】
 ・ニューホライゾンキャピタル
 ・ユニゾン・キャピタル
 ・ユナイテッド・マネージャーズ・ジャパン
 ・アマデウス・アドバイザーズ
 ・コモンズ投信
 ・あすかコーポレイトアドバイザリー
 ・セゾン投信
 ・レオス・キャピタル・ワークス
 ・ビーロット
 ・HCアセットマネジメント
 ・GCIキャピタル



さて、行政処分の話に戻ります。行政処分の理由を見るとなかなかに強力です。主なところは以下の3点でしょうか。

●不当に過大な報酬を取っていた
アマデウスアドバイザーズ株式会社がファンドや投資組合を複数組成して入れ込むことで、顧客から過大に報酬を受け取った(8100万円のうち3100万円は過大)

●チェックを行わずに親族会社へ投資して資産の大部分を溶かしていた
運用資金を社長の親族企業に流し、4億8200万円のうち大部分に当たる4億2千万円の大損失を出していた

●顧客に虚偽の純資産価額を報告していた
ファンドの純資産価額が1億3500万円しかないにもかかわらず、年金基金及び信託銀行へは4億8千万円として報告していた


シンポジウムが開かれたのが2012年3月ですが、
 ・報酬の過大受領⇒2009年から
 ・親族会社への投資して大きく毀損⇒2011年末時点
ということなので、シンポジウムで語っていた時にはすでにやっていたわけです。

なお、虚偽の純資産価額報告についても2012年3月27日以降の報告にて行われていたということなので、ほぼ同時期です。



この1本の木を持っても森全体がダメだとは言えません。
しかし、AIJ投資顧問は個別の問題で「俺らは違うんだぜ!」と言っておいてやっていることは、報酬過大受領、ずさんな身内への投資、虚偽報告・・・

これは痛いですね。