吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



長期分散投資

合理的で儲かる可能性が高い≠必ず儲かる

梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーにて書かれていた、当たり前だが、意外と勘違いしている人がいそうな重要な点です。

超低コストで国際分散投資すれば必ず儲かるわけではない

超低コストで広範に国際分散投資してさえいれば、必ず儲かるというわけではありません。

「えっ!?」
と思われたかた、そのままもう少し読み進めてください。
「そんなの当たり前じゃん」
と思われたかた、当たり前の話をするので、さっさと仕事に戻ってください(笑)

とのことです。まずは梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーのエントリーをお読みください。


このブログでも何度か書いていますが、国際分散投資の長期保有は合理的な投資方法であり、儲かる可能性が高い投資方法です。だからこそ私もこの投資方法を実践しています。

しかし、合理的で儲かる可能性が高い≠必ず儲かるです。

長期分散投資の分かりやすい解説本が出たり、マネー関係の雑誌でも取り上げられることが増えてきました。しかし、そこでの紹介方法が知ってか知らずかあまりにも単純化されていて、あたかも長期保有していれば必ず儲かるかのように事実と違って伝わっていることがあります。
残念ながらファイナンシャルプランナーの方の発言、投資について書かれているブログ、長期分散投資を推奨する人、長期分散投資に否定的な見方をする人、等々でも、この点を勘違いされていることが結構見受けられます。


長期分散投資は、あくまで不確定な投資の世界の中で勝ちやすくするための方法です。必ずしも勝てるわけではありません。

当たれば掛け金2倍、外れれば掛け金没収のくじ引きがあるときに、以下の条件なら箱Aを選ぶようなものです。
 ・箱A:当たり51本、外れ49本
 ・箱B:当たり50本、外れ50本
 ・箱C:当たり49本、外れ51本

大数の法則から試行回数を十分に大きな数にすれば、毎回同額投資をしていれば箱Aは儲かります。期待リターンはプラスです。しかし、10回試行したからといって必ず儲かるわけではありません。4回当たりで6回外れる可能性は十分に考えられます。
逆に箱Cは期待リターンはマイナスですが、10回試行した"結果として"儲かることもあります。

長期分散投資は、上のようなくじ引きなら箱Aを選ぶように合理的に有利で儲かりやすいというものです。
より正確に言えば、儲けるための特別な投資方法ではなく最も不利ではない投資を選んでいるとも言えます。

間違っても「長期分散投資すれば必ず儲かる」とか「株価は必ず右肩上がりに上がる」などと言っていないわけです。上の箱からのくじ引きの例同様、儲かる可能性が高くても期待通りに儲かるとは限りません。

紹介した 超低コストで国際分散投資すれば必ず儲かるわけではない にもあるように「長期でならすと年率で期待リターン程度が見込めるだろうと考えるのがインデックス投資です。」


長期分散投資をするにしろ、しないにしろ、この点はしっかりと認識されるべきでしょう。







[バイ&ホールド]+[分散]+[長期]投資のメトリックス

投資では1年間を区切りとして成果を振り返ることがあります。

●[バイ&ホールド]+[分散]+[長期]投資のスタイルで1年を振り返った時に、成功/失敗のメトリックスは何でしょう?

30年といった長期であれば、その投資スタイルの結果であるパフォーマンスで測定してもいいでしょう。
しかし、[バイ&ホールド]+[分散]+[長期]では短期のパフォーマンスはコントロールできません。1年間のように短期のパフォーマンスはその時の市場環境任せです。パフォーマンスで良い投資をできたかどうかを測定するのはふさわしくなさそうです。

そこで、メトリックス(案)は次の3つを考えてみました。

(1) 年間でどれだけの資金を投入できたか?
(2) リスクを適切にコントロールできたか?
(3) 狼狽売り・右往左往しなかったか?



(1) 年間でどれだけの資金を投入できたか?
(アセットアロケーションでリスクを下げてマイナスを減らすことはできますが、)基本的にパフォーマンスは市場任せです。
そうすると[バイ&ホールド]+[分散]+[長期]投資を継続する限り、最後の果実を増やすのは投入する資金の量です。どれだけ資金を投じることができたかは成功基準になるでしょう。

(2) リスクを適切にコントロールできたか?
「リスクを過剰に取りすぎなかったか?」もしくは「臆病になりすぎなかったか?」。
特に前者の意味合いが強い。儲けに目がくらんで許容リスクを超えるハイリスクな投資をしてしまうのはアウトです。
また、「今がチャンス」と思って生活防衛資金などまでもスポット買いで使ってしまうこともアウトでしょう。相場が下がった時こそチャンスとも言いますが、そこで逆張りに"賭けて"はいけません。

(3) 狼狽売り・右往左往しなかったか?
これは基本です。2009年のように相場が急落した時に市場から逃げてしまったらアウトです(タイミング投資の場合はOK)。ブラジルがいいと聞けばブラジル、ゴールドがいいと聞けばゴールドという右往左往する投資スタイルもよくありません。


まとめると、[バイ&ホールド]+[分散]+[長期]投資においては、以下の様であれば良い投資をした年と言っていいのではないでしょうか。
(1) 稼ぎを増やしたり支出をコントロールすることで、しっかりと投資資金をねん出し、
(2) 投資にのめりこみすぎず、
(3) 粛々と計画通りに投資を実行する



長期分散投資(≒インデックス投資)は万人にはお勧めできない

このブログでも書いているように、私は(低コスト)長期分散投資を実践しています。
そして、この投資法は他の多くの人にもお勧めできる有力な投資法の1つだと思っています。

しかし、万人にお勧めできる投資法ではありません。低コストなインデックスファンドを使った長期分散投資投資は、あくまで「資産が中長期的に少し増えてくれていたらいいな」という投資法です。


「俺はビッグになる」

こんな夢や野望を持つ人に、長期分散投資はお勧めできません。年に数%程度のリターンでは上のようなことは実現できません。上のような夢を実現するならば、自分の資金を突っ込んで事業を起こすなどの方が合理的です。

柳井正氏、佐治信忠氏、森章氏、孫正義氏、毒島邦雄氏、三木谷浩史氏、山内溥氏、糸山英太郎氏・・・彼らは日本の富豪の方々です。
彼らの多くはその資産を特定企業の株に集中させています。そうすることによって大きな資産を築きました。しかも、そのほとんどが自分の本業と重なる自社株に投資しています。
長期分散投資の世界では「自分の勤める会社と投資先を一緒にするな」などと言わますが、富豪がやってきたことは長期分散投資派のタブーです。このように自らの本業に資金を集中投資してこそ財産を築いてきたのです。

長期投資家の代表であるウォーレン・バフェット氏もそのようにして財を築いてきました。「1つのバスケットに、すべての卵を入れて常に観察する」がバフェット流投資の真髄です。

チャーティストで財をなした人を聞かないように、長期分散投資で財をなした人も聞きません。人生の目的をどこに置くかで適切な投資手法は異ります。



長期分散投資の各アセット間の相関係数は何を使うべきか?

「複数のアセットに分散投資しておくと、あるアセットが値下がりした時に、あるアセットが値上がりしたりするのでリスクが軽減できる。」

分散投資の意義を伝える時にこのような説明がされます。
これは真でしょう。昨今の金融危機下でも、この効果は発揮されました。分散投資していても損していた人は多いですが、集中投資で外した人よりははるかにダメージは小さかった。


この分散投資の分散効果を試算するために相関係数を使うことがあります。相関係数がマイナスや0であるようなアセットを組み合わせるとリスク分散効果が高いということです。

さて、それでは相関係数はどんな数字を使えばいいのでしょうか?
相関係数の誤解(梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー)にもあるように、相関係数はその時々で大きく異なります。一定ではありません。どのデータを使うかで大きく異なります。


私の、長期分散個人投資家へ対する推奨は今回の金融危機の時のように「(1)相場不調時(2)相関が強まった時の数字」を使うことです。
これは、「個人投資家が一番懸念すべきことは許容できる最大損失額を超えないこと」と考えているからです。

2008年頃からの金融危機でも見られたように、世界的な金融危機下では各アセット間の相関が強まるという主張もあります。世界的に景気が悪くなると株式も下がれば、不動産価格も下がり・・・といろいろ相関も高まっても不思議ではありません。
長期分散個人投資家にとって最大のマイナス時はこの時です。この時に許容最大損失額を超えなければ、長期投資を続けられます。


悪いケースは、相関係数の長期間の平均値のような一見妥当そうな数字を使って分散効果を想定したのに、今回のような金融危機にぶつかった場合です。
数学的にはこれで正しいでしょうが、個人投資家が懸念すべきはリスクの大きさではありません。個人投資家が最も気にかけるべきは損失方向の可能性です、特に最大損失です。
最大損失=ワーストケースですので、「今回の金融危機の時のように、(1)相場不調時(2)相関が強まった時の数字」を使うべきでしょう。



『長期投資と分散投資「合わせ技」で一本!』 - シンプルでGood

NIKKEI NETでシンプルで良い記事を見つけましたのでご紹介です。


I-Oウェルス・アドバイザーズ社長の岡本和久氏の記事です。

長期投資と分散投資「合わせ技」で一本! (NIKKEI NET)
 「投資に関する本を読んで、長期投資と分散投資が非常に重要であることを学んだのだが、それらがまったく効果を生み出していないのではないかと思います。投資の理論はもう、マーケットでは通用しないのではないでしょうか?」――。最近、セミナーなどで講師をしていると、よく受ける質問です。
◆抜け落ちている視点

 どちらもおっしゃっていることはよくわかります。でも、ひとつ、抜け落ちている視点があるのです。「長期投資と分散投資は合わせて一本!」だということです。つまり、分散されたポートフォリオを長期にわたって保有することで本当の効果がでるのです。
岡本氏が書かれているように、最近の世界的な株式相場の低迷や為替相場の円高から、長期投資と分散投資を否定するような意見が散見されます。

「バブルの最高値までいつになっても届くか分からない。」「最近は全部の資産がいっせいに下がっている。分散効果が無い。」
岡本氏が書かれている、このような話がその否定派の主流でしょうか。


でも、岡本氏の言われているように長期分散投資は、ただの長期投資でもただの分散投資でもありません。



 要するに長期と分散は「合わせ技」だということなのです。この点を知らずにただ、長期はダメだ、分散も効かないというのは大きな誤りだと思います。

まさにこういうことです。



私の著書 - ズボラ投資
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