吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



貧困

グローバル化する今の世界は良い方向に向かっている

「グローバル化」

最近では良い意味よりも悪い意味として使われることも多くなっていると感じる言葉です。特に「一部の富める者がより豊かになり、貧しいものはより貧しく」のような批判があります

しかし、私はグローバル化する今の世界は良い方向に向かっていると思っています。

以下は世界銀行の資料です。
The State of the Poor: Where are the Poor and where are they Poorest?
Poverty01

このレポートによると、途上国で1日1.25ドル未満で暮らす最貧困層は1981年には半分以上でしたが、2011年には21%にまで減少しています。
地域別で見てもほとんどの地域で貧困率は右肩下がりで大きく減少しています。(もともと率の低い地域及びサブサハラの改善率はイマイチですが)

特にグローバル化が進行したとされる最近に注目すると1999年〜2010年はサブサハラを含めてすべての地域で大きな改善が見られます。



また、最貧困層の所得に注目しても、サブサハラを除いては着実に所得が伸びています。
Poverty02

「グローバル化によって先進国が途上国の貧しい人から搾取している」という批判もありますが、途上国の最貧困層はどんどん減り、最貧層の平均所得も上昇しています。


貧困層の減少がすべてグローバル化で説明がつくというわけではありませんが、グローバル化の進展の影響は大きいでしょう。
中国が世界の工場と呼ばれたように安い労働力を求めて工場が先進国から新興国へ移転します。その場合の賃金は先進国よりはるかに低い水準であり、先進国で考えれば搾取といえるような賃金の場合も多々あります。
しかし、それでも彼らの元来の水準から考えれば高い水準なのです。だからこそ中国でも内陸から出稼ぎ出稼ぎに来る人たちが多数いました。
暗黒大陸とも呼ばれ先進国企業がなかなか進出できないでいたサブサハラの貧困率がほとんど改善していなかった点も考慮したい。


先進国基準で見れば低すぎる水準だったとしても、元来の途上国基準では高い水準だった場合、それは途上国を豊かにします。貧困層を引き上げる原動力になります。


「グローバル化は貧困を増やす」であるとか「貧しいものから搾取する仕組み」だという主張をする人は、この貧困率の減少にもっと注目してもらいたい。







最低賃金引き上げは貧困対策にならない

最低賃金は有効な貧困対策か (川口大司氏)

こんなスライドを見つけました。私は感覚的には思っていたがデータが無かったところを見事に説明してくれるスライドでした。

昨今「格差拡大」「ワーキングプア増大」対策の1つとして最低賃金の引き上げが叫ばれています。
しかし、川口氏の資料では最低賃金引き上げによる貧困対策の有効性を否定しており、私も同じ意見です。

なお、最低賃金引き上げが有効ではないという論で最も有名なものは「最低賃金引き上げが企業の人件費上昇圧力になって雇用が減る、または海外に移転してしまう」というものです。川口氏もその点については検討されていますが、素晴らしいと思ったのは別の視点です。

それは、最低賃金で働いているような人がどのような人なのかをしっかり分析していることです。
従来は最低賃金労働者の中身を分析するような議論はあまり聞きませんでした。しかし、川口氏はここを丁寧に分析しています。これによると以下のようになっています。
  • 最低賃金労働者の約70%は世帯主ではない。
  • 最低賃金労働者のうち、貧困世帯(200万以下)の世帯主、の割合はさほど高くない。(約10‐14%)
  • 最低賃金労働者の半数近くが中・上位所得世帯(500万以上)の世帯員である。⇒最低賃金の上昇によって恩恵を受けるのは、貧困世帯の人々ではなく、中所得以上の世帯の配偶者や子供である。
分析の結果によると、、低所得者層を救うはずの最低賃金引き上げが年収500万円以上の世帯の収入アップにつながるということになるようです。
ワーキングプア=低所得者=最低賃金としてしまいがちですが、どうも2つ目と3つ目は必ずしもリンクしないようです。

最低賃金で働いている労働者となると、スーパーレジ係のパートやコンビニバイトの学生など、他に主な収入を稼ぐ世帯主がいる世帯の人という姿が多いようですね。そうするとワーキングプア対策で最低賃金を上げるのはあまりうまい手ではないことになります。一部の最低賃金で働いているワーキングプアの方にお金も渡りますが、それ以外のところに渡る割合があまりにも大きすぎます。しかもそれが年収500万円以上の世帯の収入アップのためとあってはワーキングプアの方も納得いかないでしょう。


こういうデータを見てみるというのはおもしろいものです。



個人的にはベーシックインカムを代案として考えています。
ベーシックインカムなら扶養、配偶者控除、生活保護で発生する働かないメリットが無くなりますし、母子加算はあっても父子加算は無いようなおかしな事態も避けられます。そして、余計な審査コストなどもかかりません。
ただ、負の所得税などと合わせて勉強が必要な分野です。



なお、上は説明用にスライドになっていますが、川口氏のレポートはこちら (Is Minimum Wage an Effective Anti-Poverty Policy in Japan?)



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