「損失繰越制度 × 証券優遇税制撤廃」、2009〜2011年の損失は2012年まで繰越すが吉?
このエントリーで、2012年度に利益が出ることが予想されるなら2011年以前の損失を2012年に繰り越した方が得になるかもしれない、という趣旨のことを書きました。

しかし、一般的に将来に利益が出るかは決まっていません。2012年の利益と相殺するつもりで繰り越しても、相場環境が悪くて2012年に利益が出ずに3年間の損失繰越期限が来てしまう可能性があります。

でも、長期保有の投資家にとっては、確実とは言わなくてもそれなりに有力な繰越法があるように思います。「2012年の配当所得との損益合算」です。

配当所得は利益として認識されます。株式長期保有投資家の場合、年内に株式を売却しないかもしれません。株式の評価額減で含み損は増えていても配当には課税されてしまいます。
配当額と同額だけ損を出しているポジションを売却して年内で損益合算してもいいのですが、前年からの繰越を使うのはいかがでしょうか?

2011年後半に保有している株式の2012年の配当総額を予想します。増配や減配もありますが、ある程度の精度で見積もれるのではないでしょうか。
その予想配当額と同額はあえて2011年中の利益と相殺せずに2012年に持ち越します。
少しシミュレーションしてみましょう。

【前提条件:口座は全て特定口座の源泉徴収有。2011年に配当所得で10万円(課税前)の配当を受け取りました。10%の税率なので課税額は1万円です。別の口座には譲渡損失が10万円あります。】

(1)2011年の確定申告でこの配当所得と譲渡損失を相殺する場合
10万円の配当所得と10万円の譲渡損失が相殺されるので、源泉徴収された10%が返ってきます。2012年への損失の持ち越しはありません。2012年に別途損失を出さない限りは2012年も出る配当(同額の10万円と想定)との損益合算はありません。この場合、税率は20%になっているので税金は2万円払うことになります。
2011年には0円、2012年には2万円の税金を払ったので、合計では20万円の配当所得で2万円の納税となります。

(2)2012年の確定申告で配当所得と譲渡損失を相殺する場合
2011年では損益合算しないので、10万円の配当所得で源泉徴収された1万円はそのまま徴収されます。10万円の譲渡損失は2012年へ持ち越しです。2012年も同じく10万円の株式配当があります。2012年は20%の税率なので2万円源泉徴収されます。しかし、確定申告で繰り越していた10万円の譲渡損失と相殺することでこの2万円は取り返せます。
2011年には1万円、2012年には0円の税金となるので、合計では20万円の配当所得で1万円の納税となります。

どうでしょう?配当も約束されたものではありませんが、キャピタルゲインや分配金よりは精度は高いのではないでしょうか。酔っ払いながら考えた案ですが案外悪くないのでは?


なお、こんなエントリーを書いといてなんですが、個人的にはこの方法はオススメしません。何だかんだ言っても不確実ですし、うまい具合にハマるには2011年までの条件をうまく揃える必要があるので大変そうです。
ただ、「こんなこともできるのではないかな?」という思いつきで書いてみました。