吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



統計

若者は海外旅行しなくなってないさ(統計データの見方)

データの見方として面白い事例がありました。以下の記事です。

十年後、海外旅行はどうなっているだろうか?(前編)〜40代以上の憧憬が牽引した海外旅行
嗜好の多様化に対応した海外旅行のパラダイムシフトが未来を開く!〜十年後、海外旅行はどうなっているだろうか?(後編)

ここでは旅行者数に占める20代の比率が21.9%(2001年)→16.5%(2011年)と減少したことを持って、「昔は若者が旅行したが今は旅行をしなくなった」としていますが、これは大きなデータの読み方の問題があります。

少子高齢化と言われるように高齢世代が増えて若者世代が減っています。ですから各年代の旅行意欲が同じだったとしても若者の数自体が減っていれば旅行者に占める若者の割合は減ります。
各年代の旅行意欲が2001年→2011年で同じとして2001年→2011年の人口構成の変化だけで旅行者数に占める各年代の比率を考えると、以下のような比率になったはずです。

Ryokousha


2001年→2011年の人口比率変化の影響を反映すると、20代の2011年における旅行者数に占める比率は16.3%だったはずです。しかし、実際は16.5%であり、20代の旅行者数に占める割合は人口要因を除くと横ばいか微増です。旅行者数に占める20代の割合が減っているのは若者の旅行意欲が減ったからではなく、20代の人数そのものが少なくなっていることが理由と言えそうです。

単純に旅行者全体に占める各年代の割合を持って「若者が昔に比べて旅行に行かなくなった」というのはデータの見方に問題ありです。


※ポイント
データを使うことは非常に有効です。しかし、データの見方を誤ると全く違った結論に到達してしまいかねません。データは強力な武器ゆえに使い方には注意が必要です。







医薬品の輸入が貿易赤字の陰の主役だって?そんなバカな…

貿易赤字「陰の主役」は薬 輸入超過、10年前の5倍 (日本経済新聞)
 医薬品の輸入が拡大している。新薬開発で米欧の後手に回り、海外から高額な抗がん剤などを買う必要があるためだ。輸入が輸出を上回った額(輸入超過額)は2011年には10年前の5倍の1兆3660億円で、日本の貿易赤字(2.5兆円)の隠れた主役になっている。40兆円規模に膨らんだ日本の医療費を支える税金と保険料は、海外に流れ出ているのが現状だ。


日経新聞の記事によると「医薬品の輸入超過額が1兆3660億円で、2.5兆円の日本の貿易赤字の隠れた主役だそうです。
1兆3660億円÷2.5兆円と計算して「日本の貿易赤字に占める割合が50%超と巨額→主役」ということでしょうか。へー、凄い。


本当に医薬品の輸入は陰の主役と呼べるようなものなのでしょうか?
以下にJETROで公開されているデータを元に2011年の日本の貿易収支情報をまとめてみました。(通貨はドル)
Boueki_Shushi

輸出-輸入の貿易収支は320億ドル(約2兆5千億円)の貿易赤字となります。
そして、注目の医薬品は45億ドルの輸出に対し、216億ドルの輸入なので、差し引き171億ドル(1ドル=80円だと1370億円)の輸入超過です。

このデータを見ても確かに医薬品の輸入超過額は全体の貿易赤字額の1/2以上の数字です。

しかし、他の項目の数字を見ると違った光景が見えてきます。
非常にわかりやすいのが鉱物性燃料何と鉱物性燃料は医薬品の約15倍の2577億ドルの輸入超過です。日本の貿易赤字全体額と対比すると798%です。

他を見ても、食料品は688億ドルと医薬品の4倍以上の輸入超過です。原材料も538億ドルの輸入超過と医薬品の3倍以上です。
他にも衣類など輸入超過額が大きい項目は多数あります。

さて、医薬品の3倍や4倍や15倍という輸入超過になっている項目があるにもかかわらず、医薬品が陰の主役と言えるのでしょうか?
「主役」を作ろうとするなら、どう考えても鉱物性燃料であり、医薬品と同じレベルまで細分化してもその中の原油及び粗油です。医薬品は赤字項目ではあっても主役クラスには到底及びません。

日経新聞の陰の主役という呼び方は非常に残念なデータ解釈の典型例です。
2.5兆円が売上のような全てプラス方向の数字を積み上げる性質のデータであり、全ての項目の数字が正で合計が100%になります。その中で1兆3千億円超と約半分なら主役と言えます。
しかし、貿易収支のようなプラスマイナスがあるデータでは、合計金額に対する比率で主役/脇役を語るのは大きな間違いです。

このようなデータの読み方の残念な間違いは、以前も紹介した吉本佳生氏の数字のカラクリを見抜け!でも紹介されています。


[Note] 私は製薬関連の業界にいる人間です



群としての優位性と個別データの優位性 [大企業がいい]

「やはり」・・・、というところでしょうか。
同じく登録されている内藤忍氏も書かれていたように、BLOGOSファイナンスでは「投資信託のコストの話よりは、就活問題や英語、キャリアといったテーマの方がランキング上位」に来る傾向があります。
先日の『どう考えても中小企業より大企業がいい』はブログへのコメントも多くありましたが、BLOGOSファイナンスの方でコメント/Tweet数が多かったです。

ブログへのコメントなども含めていろいろな意見もあったので、そのテーマの続きというか補足を少し。
同意する声の他は「大企業の方がいいなんて当たり前の話を何を今さら」「そんなに大企業、大企業っておかしくないか」という意見が強かったように思います。

まあ、最初の「当たり前の話をいまさら・・・」というコメントは、当たり前の話を書こうとしたので仕方ないですね。
一部の先鋭的な就職問題に切り込む論者が主張を先鋭化させすぎて大企業なんて・・・という風潮になりつつあったので、当たり前の話を書きたくなったものですから。(そもそも私のようなただの1of60億人の一人に毎回毎回当然ではないことを書くことなど期待できないわけです)
今のところ学生もそんな人に乗せられることもなく、"着実"に大企業就職希望が増えているようですので安心です。(←ここは一応皮肉)


次の「そんなに大企業、大企業っておかしくないか」については補足しておきたいと思ったところが今回のエントリーのきっかけです。

まず、大企業勤めは悪くないでしょうが、いわゆる「勝ち組」にはなりにくい。大企業勤めでは、良いとされる大企業でそれなりに出世して定年を迎えてもせいぜい年収は5億円や6億円程度。良いとされる大企業でもこの程度で、10億円を超えるような大企業勤めのサラリーマンはほとんどいません。
生涯収入で何十億円も稼ぐような勝ち組になるには起業するか、ベンチャーに早期から入るかした方がはるかに近道です。まあ、大企業の中で出世していくという手もありますが、人数の大きさと最終的なポストを考えると確率はかなり低く、大企業ではまず勝ち組にはなれません。金銭的なインセンティブだけが仕事の意義ではありませんが、大きなものを目指すなら大企業以外を目指すのは極めてまっとうなやり方です。しかし、統計的には大企業の方が有利です。
(これは後述の話ともつながりますが、)やりたい仕事や働き方と自分との適性を考えても大企業以外を選択も当然選択肢となります。

このように、当たり前の話ですが、群間比較での優位性は個別データ同士の優位性を説明しません。
治験において被験薬と対照薬で被験薬群に優位性が認められたとしても、被験薬群の被験者Aが対照薬群の被験者Bより治療効果が優れていることを意味しません。「大企業or中小企業」の比較もこれと同じです。
この比較の性質の意味を読み取らずに「大企業絶対主義」などと言われるのは、全くもって私の意図するところと違います。


そもそもの「大企業がいい」というテーマ」からずれてしまいましたが、最後の「群の優位性とその中の個別データの優位性を混同してほしくない」というのは重要なポイントで、一番言いたいことかもしれません。



日本が初戦で勝利。3戦全敗を予想した勇者達は・・・

南アフリカで開催されているワールドカップ、日本はカメルーンとの初戦を1-0で勝利。

さて、日本では3戦全敗を予想していた人が結構居たように思います。
セルジオ越後氏は堂々と3戦全敗を公言し、杉山茂樹氏は「3戦全敗の可能性はかなり高いだろう」と言っていました。他にもブログやコメントなどで3戦全敗を予想する声も結構あった。
私の身近な人の中でも3戦全敗をほぼ断言するかのような口調で予想する人もいました。


セルジオ氏とか杉山氏などはサッカーに詳しいのですから、どちらが強いかという戦力分析はある程度の制度でできているのでしょう。しかし、全敗というのは勇気ある予想です。かなりチャレンジングです。

サッカーは意外なほどに前評判どおりに進まないことがよくあるんです。後付け解説ならジャイアント・キリングの説明はできても、前評判時点でそれをするのはかなり難しい。(セビージャがバルサに勝ったことやPSVの躍進を後付けで解説できても、事前予想でそれを織り込むのは困難です)

しかし、今回書きたいことはそういう2チームの戦力差が勝敗を決定付けないというだけではありません。



以下の予想が秀逸。
英国ブックメーカー予想は「日本全敗」(デイリースポーツ)
いよいよ14日に迫ったサッカー日本代表のW杯初戦(対カメルーン)。英大手ブックメーカー「ウィリアムヒル」で日本戦のオッズを調べてみると…。優勝候補と目されるオランダとの試合(19日)は、「オランダ勝利」の賭け率が0・75倍。圧倒的にオランダ勝利を確信する人が多いことが分かる。日本は14日のカメルーン戦、24日のデンマーク戦といずれも相手チームの勝ち予想が約2倍に対し、日本の勝ち予想は約3・5倍。賭け率だけでみると、1次リーグの日本は3戦全敗予想となっている。
どう考えても、ウィリアムヒルの各試合のオッズから【1次リーグの日本は3戦全敗予想となっている。】とは読めません、
ブックメーカーの取り分を無視して考えると、デンマークとカメルーンの勝ちオッズが2倍だと日本が負ける確率は50%です。
デンマークとカメルーンの両方に負ける可能性は50%×50%=25%です。その上でオランダにも負ける可能性を考えると・・・
実際はブックメーカの取り分があるので、日本の対戦国の勝率をもう少し高めにする必要はありますが、それでも日本全敗という確率は30%程度です。
どの相手に対しても不利なオッズになっていることから日本が"最弱"とか"予選脱落候補最有力"とはいえても「3戦全敗予想になっている」とは言えません。

同じウィリアムヒルの予選突破オッズで日本の倍率は3.75倍でした。オランダは1.14倍。カメルーンとデンマークは2倍。これを見ても日本が最弱だという評価なのは一目瞭然です。これに胴元取り分の補正をして計算すると日本の予選突破確率は約25%です。75%の確率で予選落ちという予想です。
しかし、予選落ちでも3戦全敗のほかに、1分2敗、2分1敗、1勝2敗、1勝1分1敗、1勝2分、2勝1敗といろいろなパターンがあります。それを含めての75%なので、やはり3戦全敗の確率はそう高くありません。


日本が他対戦国に負けるという1つ1つの事象が起こる確率は高くても、それが全部同時に発生する確率は全く別です。確率90%の事象でも10回連続で起こる可能性は35%弱、20回連続だと12%です。


事実、過去のワールドカップ予選のデータを見ても3戦全敗でグループリーグを敗退する国はそう多くありません。弱いと思われたチームでも必ずしも全敗で終わるわけではなく、1回くらい引き分けたりもするものです。
プレミアリーグでも上位チームが意外と下位チームに取りこぼします。今期のマンUは昇格組のバーンリーにまさかの黒星を喫しています。プレミアリーグではなくFAカップでは下部リーグのリーズにやられたりと意外と順当に行きません。





投資ブログでなんでこんな話を書いたかというと・・・

「感情ではなく、確率をちゃんと冷静に判断しようね」ということです。

行動経済学でも言われていますが、ちょっとした差が過大に評価されることが多いように感じます。
 ・格下の日本代表は勝てない (実際は日本の方が不利だが、それほど圧倒的な差は無い)
 ・就活では大学格差があって学歴は重要 (実際に大学の差はあるが、言うほどの差は無い)


これは投資の世界でも同じことでしょう。
ちょっとした危機があるとそれを恐れてパニックになってしまったりと、過剰に反応することがしばしばあります。そういう時に冷静に判断しましょう。

デイリースポーツの記者のように3戦全敗を導き出すのは危険です。



P.S.
杉山氏は自身のブログの「可能性はある」という空虚な答にて
可能性は「ある」に決まっている。
問われているのは、それがどれほどかってこと。
1%なのか 80%なのか。50%以下なら難しい。可能性は「低い」と答えるべきだろうし、50%以上あると思えば、可能性は「高い」と答えるべきなのだ。
のように書いています。ただ可能性が高いだけで50%以上なのだから、かなり高いと言うからには70%や80%の確率で3戦全敗を予想していたのでしょうか。いや、断言するからにはそうなのでしょう。どういうロジックで日本の全敗確率がそれほどと予想したのか解説してほしいものです。
また、
だから僕は、20%以下なら「低い」ではなく「ない」と言うことにしている。
確率20%以下が「ない」なら、Pinnaclesportsの直前優勝オッズから優勝確率を算出すると、ワールドカップで優勝する可能性がある国は1国も無くなります。
杉山氏はこのように何やら数字に弱い気がしてします。



[メモ] 統計局から「日本の統計2010」が公開

データ関連でお世話になることも多い総務省の統計局。ここの新着情報の4月8日に日本の統計2010がありました。

「日本の統計2010」は,我が国の国土,人口,経済,社会,文化などの広範な分野に関して,基本的な統計を選んで手軽に利用しやすい形に編集したものです。
2010年版は,26の分野,約500の統計表,約60のグラフから構成されています。
日本の統計のページの最初の説明にこうあるように、広い分野に関する基本的な統計を分かりやすく整理して公開されています。

調べものをする時に役に立ちますので、メモです。


例えば、「日本の各世帯の収入と支出はどうなっているのかな?」なんて思った時には第19章 家計 ⇒ 世帯の属性別1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出(勤労者世帯)(エクセル:35KB)などが参考になります。

この資料から、勤労者世帯の平均では月の収入は534,235円で支出は416,415円で毎月の黒字は117,820円ということが分かります。(平成20年)
また、世帯人数別、世帯主の世代別、住居の所有関係別、年間収入十分位階級別等の基準でも見ることもできます。

概略だけですが、年度別の推移ならば、19-4の1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出(勤労者世帯)(エクセル:29KB)が参考になります。


このようにいろいろなデータがあるので調べものには使えるサイトです。



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
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私への連絡は下記メールアドレスまでお願いします
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