吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



生活防衛資金

生活防衛資金の定義

木村剛氏が『投資戦略の発想法』の中で名づけた「生活防衛資金」。
投資家の間ではそれなりに通用する言葉になっています。しかし、この定義は意外と曖昧で「生活防衛資金は生活費●か月分(●年分)」とも言いますが、この生活費の定義が人によって違うように感じています。
(『投資戦略の発想法』は借りて読んだ本で手元に無いので、木村氏の定義を再確認できず)


そこで、私の生活防衛資金の定義。
私は生活防衛資金を「それだけで今の生活水準を完全に維持して生活できるだけの資金」として、以下のような資金を全部含んでいます、
・住宅費、光熱費、通信費、生命保険料、食費、各種交通費、飲み代、スカパー代、マッサージ代、海外旅行代、住民税、年金保険料、健康保険料、保育園代金、書籍代、等々。

海外旅行のように毎月は発生しない出費もありますので、「去年1年間の支出÷12」を生活防衛資金1か月分相当としています。ただし、以下のような修正を加えています。

●サラリーマンでは住民税や年金・健康保険料は源泉徴収されているので、この分を支出に加えて計算します。
●会社の福利厚生で確保しているメリットを支出に加算します。福利厚生によって旅行に安く行けているのであれば、その福利厚生が無くなるので支出アップとします。入院時の保障がされているのであれば、それ相応の医療保険料を追加します。
●失業給付等は考慮しません。

いろいろな定義の仕方があるかと思います。実際には何かあれば節約もするでしょうし、生活スタイルも変わるでしょう。しかし、そういう変動を入れてしまうと生活費はどこまででも変わってしまいますので、「同じ生活水準を維持する」が一番シンプルな基準だと考えています。

私の定義は金額がやや高めに出がちだと思うので、私が「生活防衛資金」といった時にはそのバイアスに注意が必要です。







生活防衛資金もポートフォリオの一部

生活防衛資金(投資にまわさずに預貯金など元本確保&流動性に優れた商品で保有しておくべき金融資産)についてはいろいろな意見があります。このお金は日常生活で何かあった時にその生活を維持できるようにするための資金という位置づけです。

この生活防衛資金は・・・
金額が少ない意見だと数十万や生活費3か月分などという意見があります。金額が多い意見だと、生活費2年分という意見があります。(以前のエントリーでは長いと1年と書きましたが、2年くらいまでは主流ですね。)

生活防衛資金はどう考えるべきでしょうか?

以前書いたように簡易的な指標を使うのもありでしょうが、本気で考える人に対してはいきなり金額を決めるやり方はあまり推奨しません。かわりに推奨したいのは、生活防衛資金も投資資金と一緒のポートフォリオにしてみた時のリスクを考えることです。


具体例で考えて見ます。
3000万円の資金を持ち、月の生活費を40万円(≒年500万円)の世帯があるとします。
●パターンA
生活防衛資金100万円(生活費2.5か月分)
投資資金2900万円(国内株式20%、先進国株式10%、国内債券50%、外国債券20%)
●パターンB
生活防衛資金1000万円(生活費約2年分)
投資資金2000万円(国内株式20%、先進国株式30%、新興国株式50%)


どちらの方が、日常生活に何かあったときに生活を支えるお金を捻出できるでしょうか?
金融危機で投資資産が目減りして会社もクビになった時、どちらの方が生活を支えられるでしょうか?

生活防衛資金だけ見るとパターンBですが、総資産で見るとどうでしょう。
2008年からの金融危機が発生すればパターンBでは元本の2000万円は最大で半分以上目減りします。投資資産が-60%とすると投資資金は800万円になります。その結果、パターンBでは総資産が1800万円になります。
一方の、パターンAはどうなるでしょう?1450万円を投じている国内債券はほぼ元本確保です。投資資金残りの半分の最大損失はパターンBほど高くなく50%程度でしょうか?そうすると生活防衛資金と合わせて2300万円弱になります。
生活防衛資金が少ないパターンAの方が、パターンBより危機時に保有資産が多いということになります。

この簡単なシミュレーションから言えることは、生活防衛資金の多い少ないだけでは生活防衛は語れないということです。本当に「必要な金額を確保したい」という観点で考えると、ポートフォリオ全体で考えた時にいくらの資金を確保できるかを考える必要があります。
"投資"と一言で言ってもリスクは様々です。パターンAのようにリスクの少ない投資をしている場合は生活防衛資金は少なくても、いざという時に資金を捻出できます。一方、生活防衛資金がある程度あっても投資資金がハイリスクすぎると全体で確保できる金額は意外と小さくなることもあります。


生活防衛資金を考える時は、生活防衛資金も投資資金と一緒のひとつのポートフォリオをしてみた時のリスクを考え、全体として何かあった時にいくら確保しておきたいかを考えるべきでしょう。

投資のことをよく分かっていない人に勧めるにはまずは分かりやすく「生活費●か月分」「●万円」のように簡易で教えてもいいかと思いますが、ある程度分かってきたらこういう考え方をしてもいいのではないでしょうか?



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
連絡先
私への連絡は下記メールアドレスまでお願いします
tsurao@gmail.com

tsuraolife_banner_s

follow us in feedly

にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ


Recent Comments
ブログ内記事検索
PR
お勧め銀行・証券会社
■証券会社■
○SBI証券

○セゾン投信


■銀行■
○住信SBIネット銀行


■401k(確定拠出年金)■
○SBI証券
タグ
Archives