吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



扶養控除

住民税の扶養控除変更でアップする住民税額は?

この6月25日には、Twitterで「住民税が上がった!」という驚きを伴った声が多く聞かれました。以下のような声もありました。
「住民税6倍になってたwwwwwww死ねwwww死ね民主党wwww」
「慌てて住民税の納付書を見たら自殺したくなってきた」
「俺んちも住民税が爆上げwww」
「うち、一昨年から去年で住民税倍になってるんだよねー…今度はどうなってるのやら…orz」
「給与明細の住民税間違いかと思った。控除廃止と小手先のことやって、実は大増税」
「住民税がハネ上がったんだけどなにこれありがとう民主党」
「住民税が倍額になっていた 引いた」
「今月から住民税二倍になってるんだけど、、、なにこれ。」
「住民税が2倍になった…。キツい!!」


これは、6月から改定された住民税額を源泉徴収されるサラリーマンが見ての声です。
住民税が見直されるのは例年と同じですが、今年は住民税の扶養控除制度の変更によって該当する扶養家族を持つ家庭では納税額が増えます。そのために上のような声が出ているようです。

【改定内容】
 ●年齢16歳未満の扶養控除 : 33万円→廃止
 ●年齢16歳以上19歳未満の扶養控除 : 45万円→33万円


では、どれくらい増えるのでしょうか。

住民税の税率は10%です。(簡略化の為、均等割などは無視します)
扶養控除は所得控除ですから、基本的には以下のようになっています。
 ●16歳未満の扶養控除廃止の影響 = 33万×10% = 3万3千円/年の税額アップ
 ●年齢16歳以上19歳未満の扶養控除減額の影響 = (45万-33万)×10% = 1万2千円の税額アップ

去年まで16歳未満の子どもが2人がいて、今年もそれに変わりがない場合は3万3千円×2人=6万6千円の住民税アップです。

Twitterで叫ばれていた「住民税2倍」というのは、1人の16歳未満の子どもの扶養控除の廃止の場合、その人の前年までの住民税の納税額は3万3千円ということです。
6倍となると、1人の16歳未満の子どもの扶養控除の廃止の場合、その人の前年までの住民税の納税額は6600円です。
「住民税が2倍!」という数字を見るととてつもなく大きいような印象も受けますが、3万3千円(扶養控除廃止のケース)ということを考えるとそこまで大きな影響ではないと言えるかもしれません。


ところで、この扶養控除の廃止・縮小とセットで導入された新しい児童手当を旧児童手当と比較します。
jido_teate

中学生への支給や所得制限金額の変更など違いはありますが、原則として月5千円(年6万円)の支給額アップです。
新政権後の各家庭の損得を考えるのであれば「扶養控除制度変更の影響(所得税/住民税)」&「新児童手当」として考えるべきでしょう。


なお、制度変更について賛同/反対の意見もあるでしょうが、政治を批判するにしても各政党のスタンスや経緯を踏まえて批判すべきかと思います。
従来の民主党のマニュフェストの子ども手当は最大で2万6千円/人で、高所得者ほど大きな減税を受けられる扶養控除を無くして均等に配ることで高所得者に厳しく低所得者にやさしい制度でした。
それを自民党・公明党などの野党は強力に反対して子ども手当(児童手当)の支給額を引き下げを要求しました。民主党はこの自民党・公明党に所得制限も含めて大きく譲歩しました。


※参考:楽天家業さんの住民税に関する記事







扶養・配偶者控除、所得制限で打ち切りは税金の基本思想上問題あり

さて、先の2回のエントリーで税金や給付に関する制度に対して怒りをぶつけてきました。
 ・また子ども手当に所得制限とか言ってやがるのか・・・
 ・どこまで年収1000万超世帯を狙い撃ちするのか

今回は【扶養控除・配偶者控除の問題点】【ある水準で所得制限を設けてそこでいきなり線引きするやり方の問題点】について書きます。

(1)扶養控除・配偶者控除の問題点
所得税の考え方は「収入の多い人ほど税金の負担が増え、収入が少ない人ほど税金の負担が少ない」という税金の原理原則的な考え方です。同率でも収入が増えると絶対額が増えますが、所得が増えるに従って税率が上がることで、所得に応じた税額アップをより強固にしています。
この制度と扶養控除・配偶者控除は相性が悪すぎます。

扶養控除・配偶者控除は課税所得から一定額を控除するという制度です。そのために課税税率が高い高所得者ほど、実際に払う税金が多く控除されます。
最高税率40%の人の場合、親族を扶養に入れて38万の控除を受けると納める所得税は38万×40%=15万2千円減ります。一方、税率10%の人が頑張って親族を扶養しても38万×10%=3万8千円の税額免除に過ぎません。同じように親族を扶養しているのに所得が多い人ほど大きく税金負担が減るように、扶養控除・配偶者控除は強烈な逆累進性を持っています。

せっかく所得税が綺麗な累進性を持っているのに、ここに逆累進性の制度を入れ込むことで、せっかくの累進性が失われています。これは今検討されている所得制限が実現すれば、その領域での上位所得者層の有利はなくなりますが、それでも中位所得者と低位所得者の間での逆累進性は残ります。
まだ、課税所得の控除ではなく、納税する所得税そのものの定額控除の方がはるかにマシです。(定額控除額以下しか所得税を納めていない人にはメリットが小さくなるという考え方で給付付という制度もありでしょう)

(2)ある水準で所得制限を設けてそこでいきなり線引きするやり方の問題点
税金の原則は、(1)所得に応じた累進、(2)定率、(3)定額のどれかでしょう。
所得制限は所得が多い人が利益を受けるのはおかしいという考え方なので、累進性に近いものになります。しかし、ある水準を超えると突然「給付を受けられない、控除が無くなる」制度には大きな問題があります。

少し所得税に話を移します。(他の控除などを一切考えないと)所得税はきわめて美しい税率です。累進性なので収入が増えると税率は上っていきますが、1円でも多く稼いだ人は、稼ぎが1円でも少ない人より手取りが増える仕組みです。まさに累進性のお手本です。このような税金制度だと、少しでも多く稼げば手取りが増えるので労働のインセンティブになります。

しかし、今検討されている子ども手当の所得制限のような制度には問題があります。この制度だと所得制限の水準を越える直前までは手当を受け取れます。そして、1円でも越えた瞬間にいきなり手当が無くなります。このように、ある水準で断崖絶壁になる制度だと、多く稼いだ人の方が、稼ぎが少ない人より手取りが少なくなる逆転現象が発生してしまいます。
これでは正当な労働のインセンティブが得られません。また、この水準ギリギリで恩恵を受ける人と、恩恵を受けられない人の間での不公平感が広がります。
避けるべき制度です。


なお、過去には配偶者控除を正当化する理由があったのでしょう。
女性は結婚したら「仕事を辞めて」「家庭に入って」「子どもを生んで育てる」ことが良いとされました。男は「稼いで」「女性を養って」一人前という時代でした。
それが正しいとされる世界では、「結婚して」「妻は家に入って夫を支える」正しい行為をした人に報酬を与える一方で、「結婚しない」「女性なのに働いてしまう」という正しくないことをしている人には報酬は与えないことは、正当化できたのでしょう。(口に出してこんなことは言わないでしょうが、潜在的な認識ではそうだったと推測されます)
しかし、時代は変わってもいます。女性が家に入っていればいいという世界ではありません。女性の間でも働くか働かないかは人生の選択の問題になっています。一方にだけ控除を与える意味もないでしょう。


年齢に関係なく扶養控除も配偶者控除も廃止してしまえばいい。
今の税制では子ども以外の人の扶養控除も残されていますがおかしな話です。高所得者ほどメリットが大きい制度を温存するなど、それこそやりたい所得再分配に反する行為です。こういう制度から無くすことで簡単に所得の再分配が実現します。



また子ども手当に所得制限とか言ってやがるのか・・・

子ども手当て所得制限案、年収1千万か2千万(YOMIURI ONLINE)
 2011年度の子ども手当について、受給対象となる世帯に一定の所得制限を設ける案が政府内で浮上している。
 具体的な目安として、年収1000万円または2000万円の世帯を上限とする案が有力視されている。

また子ども手当の所得制限案が再燃ですか・・・

大いに反対です。

年収2000万円で所得制限を掛けて何になる?所得制限の事務コストがどれだけかかるのだ?所得制限を設ければ、日本全国でそれだけ公務員の仕事が生まれるから公務員は利権を守れて喜べるだろうが、歳出削減効果は極めて小さい。
かといって所得制限の金額を下げれば、事務コストに対する歳出削減効果は高まっても、本来お金を必要としている世帯にお金が行き渡りにくくなるし、公務員が利権を守れるという点は変わらない。むしろ所得制限のボーダーライン近くの人が増えるほうが公務員利権は増える?
せっかくの手当なのにこういうところに消えてしまうのはもったいない。できる限り中間コストを無くしてより多くのお金を国民に届けることを考えるべきではないか?

高所得者が得するのがおかしいというのであれば、例えば所得税の税率を上げればよい。これならば余計な所得制限のための事務コストなど発生せずに高所得者から多く徴収できる。
仮に課税所得100万の人の税金が1%増えても税金はアップは1万円。手当の額がこれより多ければ得をする。課税所得が1千万円ある人なら税金は10万円。同額の手当をバラまいても低所得者ほどメリットが大きい仕組みは作れる。しかも公務員に利権を与えずに。

そもそも今の制度の中で子ども手当に所得制限を設けると本来の趣旨とは大いにねじれた現象が発生します。「子どものいない世帯から子どものいる世帯への移転か、子どもがいない人間は差別されるのか」のような意見も聞きますが、トンでもありません。所得制限を設けることは「子どものいる高所得世帯から子どものいる中・低所得世帯への富の移転」です。


1千万円で所得制限を設けたとして、年収1000万円で妻+子ども二人(16歳未満)の4人家族というモデルケースを考えてみます。
子ども手当導入の「控除から手当へ」の流れで扶養控除がなくなります。所属税は扶養控除の廃止で76万円×20%=15万2千円のアップ、住民税は(平成24年から)66万×10%=6万6千円のアップ、合計で21万8千円の税金アップです。
子ども手当は子育て世帯支援のための制度のはずでは?
ところが、子育て世帯支援のための制度によって年収1000万円で2人の子どもを育てる世帯では負担が21万8千円のアップです。
不思議ですね。

子どもを持たない年収1000万円のDINKSでは扶養控除の廃止の影響を受けないので負担は増えません。実際には所得税などの一部が子ども手当の財源には割り振られるのでDINKSも多少の負担はありますが、これは高所得の子持ち世帯も同じです。
このように、所得制限を設けた子ども手当制度の導入は、「子どものいる高所得世帯から、子どものいる中・低所得世帯への富の移転」という特色が強くなります。

年収が1億も2億もあるような人にならば、「子どもがいても多少負担してよ」と言ってもいいとは思います。
しかし、所得制限が歳出削減に効果のありそうな水準の世帯に要求することはどうなのでしょう?年収1000万超は世間一般からすれば高収入です。しかし、「高収入だから負担せよ。それは当然だ」という義務を押し付けられるほどのものでしょうか?
年収1000万ちょっとで3人の子育てをする場合、そんなに裕福で余裕綽々の生活をできるわけではありません。最近だと大学まで進学することも普通になっていることをそんなに余裕はありません。
「それでも普通より多いんだから我慢しろ!」という意見もあるかもしれませんが、下から足を引っ張るような平等を目指す考え方でいいのでしょうか?よほどの格差になれば別ですが、平均より多少稼ぐ者が出たら、その分を平均以下に分配しろと要求することが当然というのはおかしい気がします。
仮に高所得者は遠慮しろという話を是としても、子育て世帯の負担が大きく増えて、子どもがいない世帯の負担はあまり増えないというでは、おかしな話です。


所得制限を加えるとなると、子ども手当は「子ども手当」という名を借りた子育て世帯内の高所得者から低所得者への所得移転制度になります。
高所得世帯に少し厚く負担してもらって子育て世帯を支援するような仕組みにすればいいのに、どうして高収入の子育て世帯が一番多く負担をしなくてはいけない制度を目指すのか大いに疑問です。


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今年の年末調整は「平成23年 給与所得者の扶養控除等申告書」に注意

サラリーマンは年末調整の季節です。
その年末調整ですが、今年の年末調整では「平成23年 給与所得者の扶養控除等申告書」に注意が必要です。

扶養控除に大きな変更が加わっています。所得税において、平成23年から16歳未満の子(平成8年1月2日以後生まれ)は扶養控除の対象になりません。所得税の税率が10%の場合は、38,000円の税金アップです。税率20%の場合は、76,000円の税金アップです。

この制度変更のために、今年まで小さい子がいて扶養控除を受けていた家庭は、平成22年の控除対象扶養親族欄に子どもの名前があったでしょうが平成23年の用紙からは消えています。16歳未満であれば名前がないからといって書くことはできません。
その一方で、住民税に関する事項として別枠が設けられており、そこに16歳未満の扶養親族欄がありますので、こちらには名前が記載されている必要があります。これは注意が必要です。

16歳未満の子の場合、平成23年の扶養控除等申告書には
 ・所得税の控除対象扶養親族には記載できない
 ・住民税に関する事項の扶養親族欄には記載する

少し分かりにくいですね。

なお、住民税の扶養控除は平成24年度から16歳未満の子の扶養控除が撤廃されます



520パターンにわたる「子ども手当の導入が家計に与える影響」のシミュレーション

『ビッグツリー 私は仕事も家族も決してあきらめない』の著書の佐々木常夫氏が社長を務める東レ経営研究所から、子ども手当に関する家計のシミュレーションが出ていました。

妻の就労の有無 ⇒ 2ケース
子どもの数・年齢 ⇒ 20 ケース
世帯年収 ⇒ 13 ケース
で、妻の就労の有無×子どもの数・年齢×世帯年収で520ケースのシミュレーションとのことです。


民主党政権になって、目玉(?)だった子ども手当によって家計がどれだけ影響を受けるのか興味がある人は多いのではないでしょうか?
そんな時にこのシミュレーションは使えるかもしれません。
簡単なレポートでグラフと表で分かりやすく説明されているので、「子ども手当でいくら得するの?(損するの?)」ということに興味がある方は一読の価値有りです。



配偶者控除や児童手当が無くなることなどの影響で家族構成や年収によって恩恵が大きい世帯や負担が増える世帯などが分かれますが、このシミュレーションの中でもそれが顕著に現れています。
その中で私が一番気になったのは、「片働き」&「3歳未満の子どもが1人」というケース。ここに該当する世帯は結構多いのではないでしょうか?このケースで、年収別に見ると、何と年収700-800万円のゾーンのメリットが極端に小さくなっています。
  年収300万円:+15.4万円
  年収400万円:+15.4万円
  年収500万円:+12.7万円
  年収600万円:+11.6万円
  年収700万円:+ 5.6万円
  年収800万円:+ 4.0万円
  年収900万円:+16.0万円
  年収1000万円:+15.7万円
  年収1100万円:+15.7万円
  年収1200万円:+13.7万円
一人っ子で年収700万くらいという世帯はそれなりに標準的で、子ども手当を望んでいる世帯も多いと思います。しかし、子ども手当導入&それに伴う制度変更では、どうやら残念な結果に終わりそうです。年収が900万円だったら、今と比較しての恩恵は多かったのですが残念なことです。
この差は児童手当の有無ですかね。今まで児童手当を貰っていた800万の世帯は児童手当がなくなる分だけマイナス。900万の世帯はもとから児童手当が無かったから今回の制度変更で児童手当分のマイナスは無い。この差が大きく出たようです。



なお、この520ケースで一番マイナスが大きかったのは「片働き」「高校生/大学生3人」「年収1500万円」の世帯で-41.5万円でした。
逆に一番プラスが大きかったのは「共働き」「3歳〜小学生1人&中学生2人」「年収300万円」の世帯で+79.2万円でした。



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