吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



就職活動

ある企業が就活生を採用する基準は一つじゃない

就活ネタが続きます。

「思考力や行動力のようにある項目を欲しい人材の要素に挙げておきながら、それで明らかに劣る人材が内定を取って、優れた人材が不合格なことがあっておかしい」というような話も聞きます。

しかし、この批判は少し違います。
受験など点数制のペーパーテストならその通りです。問題ごとに配点があり合計得点で合否が決まります。基本的に順位は1位から最下位まで一列に並び、その順位で採用が決まります。
しかし、企業の採用基準の場合は違います。思考力が大事だからといって思考力が優れた順に並べて取ったり、単純に総合点が高い順に取るとは限りません。

下記は極めて単純なイメージです。思考力、行動力、情熱という3つの評価軸があり、10人の応募者から5人を選ぶ場合を考えます。(実際にこんなきれいに点数化はしていないかもしれませんが、あくまでイメージです)
Saiyou_Sample

大学受験モデルだと総合点評価で、総合点の数字が高い5人が選ばれます。
しかし、企業がそう選ぶとは限りません。「思考力がある学生は欲しいし、行動力がある学生もほしい、そして情熱がある学生もほしい。」これが企業の本音です。
10人の候補者が上記の評価だった場合に注目してほしいのは、情熱の項目と一番下のJです。

10人の候補者を受けて企業はこう思います。

「今年の学生は思考力と行動力に関してはそれなりの人材は集まったな」
「でも、情熱が感じられる学生は少なかったぞ」
「思考力や行動力はあまり感じられなかったけど、情熱という1点に限ってはJさんは良かったね」
「でも、思考力や行動力がある感じではなかった…」
「そうだね。でも、ああいう情熱を持った人は周りに良い影響を与えるから重要だよ」
「Jさん以外でそのような影響を与えられそうな人はいなかった」
「うーん、じゃあ熱意のある新人がいない弊害も大きいのでJさんに内定を出そう」
「そうすると、Eさんは残念ということで・・・」
「Eさんはかわいそうだけど仕方ないね」


こんな裁量が働くこともあり得るのです。
では、情熱さえあれば合格するのかというと違います。
あくまでその時の他候補者とのバランスなどによって変わりえた話です。思考力と行動力に優れて余裕で内定のAさんの情熱度がもう少し高ければJさんは落ちたかもしれません。
総合点の順位順方式だと合格が決まっているAさんの点数がさらに上がっても下位の順位には影響はありませんが採用の論理では違うことがあります。

EさんとJさんの順位は2人の直接的な能力比較というよりも、他内定者の能力がどうなっているかに依存していたのです。それによって合否の決め手が総合点か情熱かに変わりました。
このような論理が働く場合、以下のように合否ラインの人同士の比較をしても別の回答になり得ます。

・他候補者(Aさん)の情熱が高かった場合
 Q:なんでJさんが落ちてEさんが合格したんだ
 A:Eさんの方が総合力が高かったから

・他候補者(Aさん)の情熱が低かった場合
 Q:なんでEさんが落ちてJさんが合格したんだ
 A:Jさんの方が熱意があったから

回答だけ見れば、総合力と言ったり、熱意と言ったりでバラバラのように聞こえます。しかし、裏には全体的なバランスを考慮しているという事情がありもするのです。
企業は応募者の中で一番優秀な人と同じ人のコピーが欲しいのではありません。同じ方向性で偏るのではなく、違った個性のある人材を求めてもいます。
フランス語を話せる候補者が多ければフランス語ができるというメリットが埋没するかもしれませんが、フランス語が話せる人材がたまたまいなければフランス語が話せるだけで1人や2人採用されるかもしれません。

このような全体のバランスという視点を持たずに「合格の基準を明確で客観的なものにしろ」というのは無理な話です。
あなたは友達の選びの基準を明確で客観的な指標に絞ることができますか?







企業や学生のバカな事例を挙げて批判するのは就活問題解決にあたって百害あって一利無し

日経新聞オンライン版でもトップで『就活生は見た あきれた面接官】という特集記事がありました。

日経新聞の記事では以下のような事例が紹介されています。
 ・「ゆとりだから〜」と説教を始める面接官
 ・居眠りをしてしまう面接官
 ・途中でたばこを吸いに離席する面接官
 ・同じ質問を2度繰り返す面接官
 ・遅刻してくる面接官

確かにオイオイと思う事例です。そして、この手の特集や本はいくつもあります。面接官バージョンだけではなく就職活動をする学生のおバカ行動を集めたものがあります。
読み物としては非常に面白い。「そりゃダメすぎだろ…」と思ってツッコミながら楽しく読ます。そういう分には非常によいのです。

しかし、就活問題を解決しようとする場合には、ほぼ無価値です。むしろ有害ですらあります。

学生のおバカな事例を紹介→学生は無能→無能だから就職難になっている

これは学生バージョンですが、企業/面接官の場合も同じでバカ事例を持ち出して「企業がだらしないから・・・」というのは典型的なスタイルです。

上は「AはXである。だからその母集団も同じくXである」という推論ですが、このアプローチは大きな問題です。ごく少ない少数の事例を一般化してしまう少数の法則に陥っています。

(例1)ある日本人が自分の欲のために殺人を犯した → 日本人はみんなが殺人を犯す殺す民族だ
(例2)ある企業は考える力を求めていなかった → 企業はみんな考える力を求めていない

共に「AはXだ。だからAの母集団も同じくXだ」というロジックです。これは正しいでしょうか?
例1を見ればそのおかしさが分かるかと思います。
日本では年間で約1000件の殺人事例がありますから惨い殺人事例は簡単に提示できます。しかし、いくつかの惨い殺人事例があるからといって日本人全体がそうだと一般化できません。

就職活動においても同じことが言えます。

毎年、大学卒業生だけでも何十万人という学生が活動します。1人の学生が何十社受けることを考えると、企業と学生の接点の数はのべ数千万規模です。
これだけの接点があれば、その中でおバカなエピソードはいくつか見つかります。数千万の接点がすべて素晴らしく問題ない内容だったなんてことはあり得ないでしょう。
自分の書いたエントリーシートの内容を覚えていない学生もいれば、ドタキャンで連絡もなしに面接に来ない学生もいるでしょう。
口の聞き方がなっていない態度がでかい面接官もいれば、的外れな質問をする面接官もいるだろう。

それが当然のことです。
就活も面接官も神でもなければパーフェクト超人でもありません。ただの卒業見込みの学生とただのサラリーマンであり、人間です。

2-6-2の法則などともいわれますが、どんなに優秀な人間たちだけを集めても、その集団ではある一定数のロクでもない人間が生まれるといいます(2-6-2の法則の場合は下位20%)。
そこがダメだといって全体を否定することは正しいアプローチではありません。

バカ面接官の事例もありますが、30社受けて数社はバカ面接官がいたかもしれませんが30社ともバカ面接官だったということはないでしょう。
面接官にしても100人面接すれば数十人はおバカ学生でしょう。でもそんなものです。
そんなおバカは無視しておバカではないところで話を進めればいいのですし、進めるしかありません。おバカ学生/企業を0にすることは現実的に不可能です。

あまりに過剰な相手に極度な損害を与えるようなケースは個別に糾弾されるべきでしょうが、基本的には全体としての動きを見るべきです。
「必ず学生の能力/適正順に応じて内定が決まっているか」というのではなく、「全体として学生の能力/適正に応じた内定状況という傾向があるか」を語るべきであり、あとはその精度を如何に高めていくかという話でしょう。


企業や学生のおバカな個別事例を挙げて批判することはやめてはいかがでしょうか。(ネタとしていじるのは有り)



採用活動のスカウトとセレクション

コネ採用は正当? の続きです。

コネ採用 vs 公平、公正、開かれた採用」はサッカーなどのプロスポーツチームの「スカウトとセレクション」の関係に近い。
(ドラフト制度など特殊な採用制度を設けているケースは除外します)

Jリーグなどのチームを思う浮かべてもらうとよいが、プロスポーツチームには選手獲得の担当者がいて優秀な選手を探してオファーを出します。全国高校サッカーの放送でも「鹿島アントラーズ入りが決まっている…」のように紹介される選手もいます。
また、選手やチーム関係者も「あいつはすごい」という選手を知っていればチームに推薦することもあります。他にも外部のサッカー関係者から推薦を受けることもあります。このような推薦を受けた場合に、人事権を持つものが審査をして採用可否を決めます。


一方、セレクションという方法もあります。
そのチームに採用されたい人が自ら応募して、チームの担当者の前で自分をアピールして採用される方法です。この採用方法は基本的には上のスカウティングにかからなかったその他大勢のプレーヤーたちに与えられたチャンスです。


スカウトだけで十分にいい人材を確保できるならスカウト採用だけで十分です。わざわざセレクションなど開く必要はありません。
一方、スカウトでは欲しいだけの人材が集まらない場合には広く公募することが重要になるでしょう。


企業の採用活動もこのように考えるとよいのではないでしょうか?
コネ採用のお声が掛からないということは自分が二軍だということを認識した方がよいでしょう。



コネ採用は正当?

岩波書店の2013年度の社員採用が話題になっています。
岩波書店、採用で「著者か社員の紹介必要」(YOMIURI ONLINE)

「2013年度の社員採用は一般公募ではなく、岩波書店著者もしくは岩波書店社員の紹介を応募条件として行います。」
 (※岩波書店の採用情報より)

これに対して賛否両論ですが、私はコネ採用自体には賛成したいと思います。

「公平、公正、開かれた」採用活動は立派なお題目ですが、限界に来ています。

今やインターネットでの採用活動が一般化しており、「公平、公正、開かれた」採用活動では数人の応募のところに何百倍もの応募があります。お題目に従うなら、「応募者全員のエントリーシートの内容を読み公正な審査をして、各自に対して複数回の面接を実施して採用」ということでしょう。

インターネットの普及によって、学生は説明会にも簡単に申し込めるようになりました。エントリーシートも基本部分はコピペで大量に提出できます。1人の学生が何十~何百もの企業にエントリーする事態です。
そのため、岩波書店のように応募人数が募集人数の数十~数百倍と昔より膨れ上がりやすくなっています。そのくせ、母集団は昔と同じように、その年代の大学卒業生なので優秀さは変わりません。
これを昔と同じような方法で審査していたら、コストだけが膨大に膨れ上がっていきます。

仮に3人の募集のところに1500人の応募があれば倍率は500倍です。エントリーシートを1枚3分で読むとして75時間(4500分)です。ここで判定時間まで入れると100時間ほどでしょうか。
そして、半分の750人を面接に進めて15分の面接を行うと187.5時間(11250分)。交代時間などを考えると200時間は超えるでしょう。さらに2次面接、3次面接・・・とあります。1つの面接を複数人で実施すれば、時間×人数分の労働力を使うことになります。また、面接のための事前準備期間やその他の準備も必要です。

これだけの採用コストを投じて、昔と変わらぬ母集団からどれほどの人材を取れるのでしょうか?実施した審査は以下のような薄っぺらい内容です。
 ・エントリーシート
 ・15分ほどの面接×数回

この程度の審査で選ばれた人材が優秀でしょうか?


それよりも、信頼できる人物からのお墨付きの方が信頼できるでしょう。

以下はとある事例です。
Aさんが海外の大学を卒業して日本に帰国することになりました。すると、企業Xのアメリカにいる人が、「あのAが日本に帰国するぞ。彼は優秀だから何が何でも採用するべきだ」と日本法人に推薦してきました。それを受けて企業Xの日本法人ではAさんにコンタクトを取って採用しました。
Aさんの研究や論文などを知っていて彼の優秀さを長く見ていた人からの評価の方が、ペラペラのエントリーシートや数回の面接などより信頼できます。
「公平、公正、開かれた」採用活動では、そのような紹介は一切無視して、他の人同様にエントリーシートを書かせて同じように面接して、そのやり取りの中の内容で公平に判定しろということでしょう。しかし、このような採用はロクでもない。


自身の採用ネットワークの中だけで優秀な人材を確保できる場合は、採用枠を一般に開かなくてもよいでしょう。



就活はマッチングにすぎない

就活関係の話を時々書いていますが、就活とは何でしょうか?
これは採用希望企業と就職希望者の需要と供給に基づいたマッチングの一種です。
 ※参考1:日本の雇用や日本への投資を守るのは外資の日本法人
 ※参考2:就活生組合は代表及び執行役員のモノ(≠就活生のモノ)

今のように不況で買い手市場の時には、企業も強気に出ます。
 ・面接の時間は、学生の都合を考えない
 ・面接官の態度が偉そう、もしくは事務的
 ・etc

しかし、好況で売り手市場の時は違います。
 ・学生に対して、ぜひとも我が社に来てくださいとオファーを出す
 ・面接の日時はデートだというと、別の日に変更してくれる
 ・学生を海外旅行などに連れてってあげる
 ・etc

不況が長いせいか、「就活は企業が学生を選ぶ場」だという考えが強く広まっていますが、ただのマッチングの場です。環境によってこのパワーバランスは変わるものです。

日本の≪企業数≫及び≪常用雇用者数≫、≪大卒求人倍率≫、≪大学進学率≫の状況は以下の通りです。

≪企業数≫ (中小企業白書より)
 ・大企業:0.3%
 ・中小企業:99.7% (うち小規模企業87.1)
≪常用雇用者数≫ (中小企業白書より)
 ・大企業:37.1%
 ・中小企業:62.9% (うち小規模企業16.1)

※中小企業=常用雇用者300人以下(卸売業、サービス業は100人以下、小売業、飲食店は50人以下)、または資本金3億円以下(卸売業は1億円以下、小売業、飲食店、サービス業は5000万円以下)の企業

≪大卒求人倍率≫ (ワークス研究所より)
2012年3月卒の大卒求人倍率は1.23倍です。参考までに前年の2011年3月卒は1.28倍です。
就職氷河期はどうだったかというと1994年〜2005年は0.99-1.68倍です(ワーストは2000年3月が0.99倍、1996年が1.08倍、2001年が1.09倍)

≪大学進学率≫ (学校基本調査より)
2008年:49.1%
2009年:50.2%


大卒求人倍率を見れば、全員就職しても余りがあるくらい募集枠があるのです。

大学生は狙いがズレてはいないだろうか?
就活生が説明会に参加できないなどと文句を言っているのは、主に大企業、特にその中でも東証一部に上場するような大企業中の大企業や人気企業がほとんどです。
しかし、常用雇用者数を見ればわかるように大企業の雇用者数は全体の37.1%に過ぎず、多くは中小企業です。また、大企業の中でも東証一部に上場するような企業や人気企業はさらに極一部です。

大学進学者が世代全体の半分を占めるようになっており、仮に大卒のみが大企業に就職するとしても大卒の26%は大企業に就職できません。当然、非大卒でも大企業で働く人はいますから、実際の大卒の大企業就職はより厳しくなります。

つまり、並の大学生であれば従業員300人以上の大企業に入れるか入れないかレベルということです。
学生の人気企業ランキングでトップ200に入ってくるような企業に就職できる学生はごく限られた学生であることを認識すべきでしょう。(1社平均の採用数が200人なら4万人)

ところが、明らかに上の企業を狙っている学生が多数です。希望として狙うのは自由なのですが、当然落ちる可能性は高くなります。そうすれば50社や100社や200社にエントリーしても内定が出ないという人も出るだろうし、就活に時間がとられてしまうこともあるでしょう。
また、選考する企業側も採用活動に使える資源は有限なので、応募数が無駄に増えれば機械的に切って捨てていかざるを得ません。

大学受験も数多くの大学を受験することができます。
大手予備校の模試成績が偏差値40程度にも関わらず、難易度が高い大学をたくさん受験しても不合格通知が増えるだけでしょう。
受験を経て大学に入った学生なら分かると思いますが、自分の実力では届かないような大学を何十校も受験するような受験生はまずいません。ほとんどの学生は自分の実力に見合った大学を選びでしょう。

就活においても同じルールが当てはまります。
50社、100社、200社にエントリーしても内定が出ないという人は自分を分かっていないとも言えます。そして、彼らのような無謀な挑戦者が増えることが企業の機械的選別に拍車をかけています。


私が過去に取り上げた就活生組合は「企業の側が力が強いため、就活生は言わば温情として、企業から一方的に与えられるルールに縛られる」と言っていますが、これは大企業中の大企業に限った話です(全企業中の0.3%の企業の中のさらに一部の企業)。
むしろ、企業数で87.1%を占めるような小規模企業においては、企業側の力が強いということは当てはまりません。
並の学生は、こういう企業を当たりましょう。

そうすることで、学生も自分の実力に見合った企業に就職できる確率も上がりますし、無駄な就活時間を使うこともなくなります。大企業も応募者が減ることで、1人1人に対して丁寧な対応をすることも可能になるでしょう。


就活制度へ疑問を投げかけるのは良いのですが、需要と供給のバランスを無視するべきではありませんし、企業の多くは中小企業であることを忘れるべきではありません。
極一部の大企業のやっていることを企業一般の傾向として捉えることには大きな問題があります。常用雇用者数で60%以上は中小企業です。割合からすれば中小企業の採用活動こそが標準であって大企業中の大企業は例外と考えるべきでしょう。



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
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