吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



宝くじ

「インデックス投資家の父」と「宝くじの当選を夢見る娘」

takarakuji

私は,昔こそギャンブラーでしたが,今は競馬もやめてすっかり草食系のインデックス投資家(パッシブ投資家)です。

トウカイテイオー、ノースフライト、ホクトベガ、サクラバクシンオー、ダンズインザダーク、メジロドーベル、エルコンドルパサー、アグネスデジタル、テイエムオペラオー、タップダンスシチー……と思い出すのもここらまで。最近の馬の名前が出てこなくなり、随分と時間がたったことを痛感します。

…と余談はここまで。今日の本題の宝くじへ。

宝くじは、総購入額に対して賞金支払額が約50% (総務省の宝くじ・公営競技・サッカーくじの実効還元率という資料によると45.7%)となっており、お金が増えるかという観点で評価すると非常に分の悪いモノです。
2011年には宝くじというボッタクリ商品を売っている行政が金融機関を責める道理は無いかもしれないといったことを書きました。このように宝くじをボロクソに貶す私は宝くじは買っていません。

しかし……続きを読む







論理的に考える(不適切な比較対象)

興味深い記事を見つけました。

「宝くじなんて損」は本当orウソ…カジノより儲けられる! (Business Journal)

論理学の少しマジメな話として、「宝くじは損だ」という主張を否定しています。
とはいえ、その論理的なはずの反論の中に論理的な問題点が散見されます。

ここでのギャンブルの目的は儲けることだとしよう
 わかりやすくルーレットの例で説明しよう。1万円を元手にルーレットで儲けるためには、次のふたつの戦術のうち、どちらが正しいだろうか?

(1)100円ずつ一晩中、赤の目に賭ける
(2)1000円ずつ10回、1の目に賭ける

上のような2つの方法で比較して、(2)で36000円を手にした瞬間にゲームをやめると1/4は儲かるから(2)が正解で、だからこそギャンブルで儲けることを目的にするならば、確率よりもボラティリティ(変動の激しさ)が高いことのほうが重要だ、と言っています。

ここに大きな論理的な問題があります。この問題点は不適切な比較対象を設定していることです。

新薬開発の治験でも、新薬候補と対照薬を比較することがあります。
当然、この時に何を対照薬とするかは重要です。すでに効果が薄くて市場で流通していないような薬を対照薬に選んで、それより新薬候補が優れていると立証しても意味がありません。(現在の標準治療薬となっている薬の方がはるかに安全性も効果も高いかもしれない)

上のように考えた時、(2)の有効性を検証する時の比較対象として(1)は適切なのだろうか?

以下のようにマーチンゲールの法則(倍々プッシュ)を追加してみます。
(3)まず100円を赤の目に賭け、当たったらギャンブル終了。外れたら倍の200円を赤の目に賭けて、当たったらギャンブル終了。外れたら倍の…を繰り返す。

1万円の持ち金だと、3200円をベットする6回目の施行まで挑戦可能です(7回目の6400円は資金不足でできない)。
18/38というルーレットの赤or黒の的中確率で、(3)を実施した場合、6回目終了時点で全部外れになっている確率は2.1%です。つまり、97.9%の人は翌朝に「儲ける」ことができています。

儲かっている人の比率は以下のようになります。
 (1) ほぼ0%
 (2) 23.4%
 (3) 97.9%


ここでのギャンブルの目的は儲けることだとしようという当初の目的を考えた時、勝利を手繰り寄せる正しい戦術は(1)でも(2)でもないことは分かります。(マーチンゲールの法則が最強かは別問題)

「つまりギャンブルで儲けることを目的にするならば、確率よりもボラティリティ(変動の激しさ)が高いことのほうが重要なのだ」という言葉を借りるなら、「(マーチンゲールの法則が勝った。)つまりギャンブルで儲けることを目的にするならば、ボラティリティよりも勝率が高いことの方が重要なのだ。」となります。


【おまけ】
「確率的には宝くじに当らないだろうけれど、万一のことがあるから宝くじを買っておこう」という人は、「きっと交通事故にはあわないだろうけれど、万一のことがあるから生命保険に入っておこう」と考えるべき。これが論理的に正しい解釈だ。

これも論理的誤りでしょう。
「可能性が高いかどうか(確率)や期待値が掛け金に近いかどうかよりも、可能性があるかどうか(ボラティリティが十分に高いかどうか)のほうが重要」として確率や期待値を無視して可能性の有無で万が一を考えていてはキリがない。
その論理が正しいなら「今日、子どもが暴漢に襲われて撲殺される可能性もあるからボディーガードを雇っておこう」です。

確率を無視してボラティリティの大小のみで判断するなら、生命保険なんてものよりもボディーガードだろう。家に武装集団が侵入してきて家族全員が殺されたらどうするんだ。その可能性は0じゃないぞ。
「きっと家が襲撃されないだろうけれど、万一のことがあるからボディーガードを雇っておこう」と考えるべき。これが論理的に正しい解釈だ。



宝くじというボッタクリ商品を売っている行政が金融機関を責める道理は無いかもしれない

2011年現在、日本の宝くじの控除率(胴元がいただく手数料)は50%前後です。

つまり、宝くじはお金を投資するとその50%前後しか返ってこない(1万円買うと5000円)という極めて割の悪いギャンブルです。
この控除率は競馬などでは約20〜25%です(1万円投資すると7500-8000円程度のリターンが期待リターン)。ラスベガスやマカオのカジノやパチンコも宝くじより明らかに控除率は低い。つまり、一般的なギャンブルにおいて世界で最悪なボッタクリ商品と言っても過言でもないギャンブルが宝くじです。


そんなボッタクリ宝くじの購入方法は簡単です。窓口に行って「連番で30枚ください」のように言えば何の説明も書面の同意も無しに買えてしまいます。

2010年末の年末ジャンボ宝くじではテレビCMで「今年は億万長者が倍増」という煽りがありました。テレビCMなので詳細まで説明はできませんが、これだけだとあたかも期待値が上がったという印象を持たせかねない内容です。まあ、他の金融商品でもテレビCMでは詳細まで説明していないのでそのあたりは同じでしょう。
しかし、宝くじは購入時の説明の有無が他金融商品と決定的に違います。
一般的な金融商品は原則として事前に商品の特性やリスクについての説明があります。MRFのようなほとんど元本保証のような商品でさえ購入前に説明があります。
宝くじの場合はこのような説明がありません。

法律の上では金融商品取引法などの対象外だから説明不要ということですが、紙切れにお金を払っていくらになるかに身を任せるのですから宝くじの本質は他金融商品と類似しています。加えて「投資額の約半分が胴元に回収される各種金融商品中で最もボッタクリ手数料を取り」、「最低0円〜数万倍までの振れ幅がある」商品で一切の説明無しは甘いのではないでしょうか。


銀行の営業が年寄りをだまして投資信託を回転売買させて手数料を稼いでいたなんて話もありますが、販売手数料3%の投資信託を10回回転売買させても金融機関の取り分は30%弱(信託報酬を入れても30%前後)です。宝くじを1回買わせた方が売り手側の取り分は多いのです。


宝くじというボッタクリ商品を売っている行政が金融機関を責める道理は無いかもしれません。



私の著書 - ズボラ投資
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