梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーにて、『投資信託の「基準価額」?「基準価格」?』というエントリーがありました。これに触発されたエントリーです。(そこでのやり取りもベースになっています)
基準価額
基準価格
投資信託では、この2つの言葉が同じような意味で使われています。どちらかが素人の誤用ならば誤用と言い切って結論付けられるのですが、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーでも書かれているように、日経新聞などがあえて基準価格を使っています。
さて、基準価額と基準価格、どちらが正しいのでしょうか、またどちらを使うべきなのでしょうか?
まず基準価額と基準価格の違いが日本語だと分かりにくいので、英語にしてみます。
野村證券のページによると基準価額=Constant Valueとなっています。基準=Constant、価額=Valueですね。基準価格は正式とはされていないので英訳が見つかりませんが、Market Priceのように価格=Priceでしょう。それでは、これらの言葉を順にどういう意味かを考えてみます。
●"基準=Constant"
"価額"や"価格"だけではそのものの値段も価値も分かりません。
「新米が3000円」で高いか安いか、どれほどの価値があるかは分かりません。1kgなのか、3kgなのか、5kgなのか。10kgなのか・・・量が決まらないと分かりません。ある日「新米が(5kg)3000円」で、翌日には「新米が(10kg)4000円」かもしれません。この時に「3000円だから安い」とは言えません。
投資信託も同じです。常に過去と比較をするためには共通の基準となる単位が必要です。これが基準=Constant(通常は1万口)でしょう。
●"価格=Price"
日用品の売買で牛乳の価格が200円とあるように、一般的に価格=Priceは売買するときの値段を指します。ですから投信においても価格=Priceとあれば、売買するときの値段と考えていいでしょう。
●"価額=Value"
Value≠Price。タイムセールで150円になった「明治おいしい牛乳1000ml」とタイムセール直前に220円で買った「明治おいしい牛乳1000ml」(賞味期限同じ)は、価格は違ってもモノの"価値=Value"は同じです。
Valueは、ETFなどでよく使われるNAV(Net Asset Value)のように、投資信託が保有している有価証券等の価値を表す意図が強いと考えられます。投資信託では運用会社が毎日保有する資産を値洗いして基準価額を算出しているのですから、それを表すには価額=Valueという表現がふさわしいのでしょう。
さて、上で分解して考えたように、["価額=Value"]≠["価格=Price"]なので、基準価額≠基準価格と考えて、より正確にファンドの売買を説明する文を書いてみます。
【「基準価額12000円」のファンドは「基準価格12000円」で買える】
これが基準価額と基準価格を区別したより正確な表現ではないでしょうか。
さらに調子に乗って、上の文章の「(かっこ)」の中を以下のように基準価額/基準価格と言う言葉を使わずに書いてみます。
・「基準価額●円」=「1万口当たり●円の価値がある」
・「基準価格●円」=「1万口当たり●円の価格」
【「基準価額12000円」のファンドは「基準価格12000円」で買える】
→【「1万口当たり12000円の価値がある」ファンドは「1万口当たり12000円の価格」で買える】
(投資信託の場合は左と右の価格が同じですが、マーケットの裁定に任せているETFの場合はこの左と右の数字に乖離が起こりえます)
"基準価額"と"基準価格"という言葉を使わずにくだけた表現で説明する正しい表現でしょう。でも、これでいいのでしょうか?
"基準価額"と"基準価格"を使っても使わなくても回りくどい。投資家には分かりにくいですね。「何で同じ金額を2つの似たような表現で説明するんだ!これだから金融商品は分かりにくい!」となりそうです。
基準価額だけを使うと、運用会社が値洗いしたファンド保有資産の価値に重点を置いた考え方になるでしょう。「保有しているファンドにはこれだけの価値があるんだ」と伝えるにはいい表現でしょう。ただ、モノの取引の時の価格に注目しがちな個人投資家には「価額って何?」という疑問が付きまといそうです。
基準価格だけを使うと、売買する投資家に分かりやすくなります。しかし、取引価格だけに着目した視点になるのでファンドの価値というニュアンスが弱くなります。「取引価格は●円だけど、本当にそれだけの資産を持っているの?」のような素人質問が増えるかもしれません。
また、ファンド運用側に「俺達が算出しているのは取引価格じゃない。ファンドの価値だ」なんて反感も生まれるかもしれません。目論見書に取引価格とは書きたくないでしょう。
どのやり方も一長一短です。決め手は何を重要視するかだと思います。個人的には金融商品ということもあり、ある程度の正確さは必要と考えて基準価額だけを使う方法が好みです。
皆様はいかがでしょうか。
なお、基準価額になったのは投資家ではなく、金融機関側(金融機関及びそちらに違い人たち)が用語を作ったからと推測します。
基準価額
基準価格
投資信託では、この2つの言葉が同じような意味で使われています。どちらかが素人の誤用ならば誤用と言い切って結論付けられるのですが、梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーでも書かれているように、日経新聞などがあえて基準価格を使っています。
さて、基準価額と基準価格、どちらが正しいのでしょうか、またどちらを使うべきなのでしょうか?
まず基準価額と基準価格の違いが日本語だと分かりにくいので、英語にしてみます。
野村證券のページによると基準価額=Constant Valueとなっています。基準=Constant、価額=Valueですね。基準価格は正式とはされていないので英訳が見つかりませんが、Market Priceのように価格=Priceでしょう。それでは、これらの言葉を順にどういう意味かを考えてみます。
●"基準=Constant"
"価額"や"価格"だけではそのものの値段も価値も分かりません。
「新米が3000円」で高いか安いか、どれほどの価値があるかは分かりません。1kgなのか、3kgなのか、5kgなのか。10kgなのか・・・量が決まらないと分かりません。ある日「新米が(5kg)3000円」で、翌日には「新米が(10kg)4000円」かもしれません。この時に「3000円だから安い」とは言えません。
投資信託も同じです。常に過去と比較をするためには共通の基準となる単位が必要です。これが基準=Constant(通常は1万口)でしょう。
●"価格=Price"
日用品の売買で牛乳の価格が200円とあるように、一般的に価格=Priceは売買するときの値段を指します。ですから投信においても価格=Priceとあれば、売買するときの値段と考えていいでしょう。
●"価額=Value"
Value≠Price。タイムセールで150円になった「明治おいしい牛乳1000ml」とタイムセール直前に220円で買った「明治おいしい牛乳1000ml」(賞味期限同じ)は、価格は違ってもモノの"価値=Value"は同じです。
Valueは、ETFなどでよく使われるNAV(Net Asset Value)のように、投資信託が保有している有価証券等の価値を表す意図が強いと考えられます。投資信託では運用会社が毎日保有する資産を値洗いして基準価額を算出しているのですから、それを表すには価額=Valueという表現がふさわしいのでしょう。
さて、上で分解して考えたように、["価額=Value"]≠["価格=Price"]なので、基準価額≠基準価格と考えて、より正確にファンドの売買を説明する文を書いてみます。
【「基準価額12000円」のファンドは「基準価格12000円」で買える】
これが基準価額と基準価格を区別したより正確な表現ではないでしょうか。
さらに調子に乗って、上の文章の「(かっこ)」の中を以下のように基準価額/基準価格と言う言葉を使わずに書いてみます。
・「基準価額●円」=「1万口当たり●円の価値がある」
・「基準価格●円」=「1万口当たり●円の価格」
【「基準価額12000円」のファンドは「基準価格12000円」で買える】
→【「1万口当たり12000円の価値がある」ファンドは「1万口当たり12000円の価格」で買える】
(投資信託の場合は左と右の価格が同じですが、マーケットの裁定に任せているETFの場合はこの左と右の数字に乖離が起こりえます)
"基準価額"と"基準価格"という言葉を使わずにくだけた表現で説明する正しい表現でしょう。でも、これでいいのでしょうか?
"基準価額"と"基準価格"を使っても使わなくても回りくどい。投資家には分かりにくいですね。「何で同じ金額を2つの似たような表現で説明するんだ!これだから金融商品は分かりにくい!」となりそうです。
基準価額だけを使うと、運用会社が値洗いしたファンド保有資産の価値に重点を置いた考え方になるでしょう。「保有しているファンドにはこれだけの価値があるんだ」と伝えるにはいい表現でしょう。ただ、モノの取引の時の価格に注目しがちな個人投資家には「価額って何?」という疑問が付きまといそうです。
基準価格だけを使うと、売買する投資家に分かりやすくなります。しかし、取引価格だけに着目した視点になるのでファンドの価値というニュアンスが弱くなります。「取引価格は●円だけど、本当にそれだけの資産を持っているの?」のような素人質問が増えるかもしれません。
また、ファンド運用側に「俺達が算出しているのは取引価格じゃない。ファンドの価値だ」なんて反感も生まれるかもしれません。目論見書に取引価格とは書きたくないでしょう。
どのやり方も一長一短です。決め手は何を重要視するかだと思います。個人的には金融商品ということもあり、ある程度の正確さは必要と考えて基準価額だけを使う方法が好みです。
皆様はいかがでしょうか。
なお、基準価額になったのは投資家ではなく、金融機関側(金融機関及びそちらに違い人たち)が用語を作ったからと推測します。