吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



デマ

日本ユニセフ協会に対する不当な批判に対して応えてみる

unicef
日本ユニセフ協会に対する批判は根強くあり、特に災害毎に盛り上がっています。しかし、この手の批判は事実誤認からくるものが多く、あまりにも酷いので少し勝手に答えてみたい。

東日本大震災の寄付が必要額を超えたら全額被災者に使われないのはおかしいという間違った批判

東日本大震災の際にあった話です。
日本ユニセフ協会は東日本大震災に際して、通常の募金とは別の緊急募金として募金をしました。その募金は全額被災者に届けるという性質のものでしたが、「なお、当緊急・復興支援に必要な資金を上回るご協力をいただいた場合、現在行われている他の緊急・復興支援に活用させていただくことがありますので、ご了承願います」といった注記が他の用途に転用するとは何事だと叩かれました。

しかし、この注記はおかしなものではありません。記載が無い場合には別の問題が起こりえます。
青天井で「全額渡します」と言って仮に必要額以上集まったらどうしましょう。
「難病手術のために1億円必要」のような募金があります。1億円を超える金額が集まったらどうしますか。5億円集まっても「僕たちのお金はその手術を受ける子のために払ったのだから余剰の4億円もその子にあげる」でいいのでしょうか?
そうなったら今度は「足りないから足りない分を埋めるために払ったのだ。その人が金持ちになるために払ったのではない」という批判が出てきますよね。

義捐金が集まりすぎて、被災者1人当たり1億円集まって被災者が全員義捐金富裕層になったとしても「義捐金が全額被災者にわたるのは正しいことだ」でしょうか。例え特定の用途に集められた資金であっても、必要額以上の部分まで使えという話はまたおかしな話かと思います。

なお、被災者に全額送られなかったという批判もありますが、それは更に大きな間違いです。結果的には全額が使われました。

熊本の災害で寄付しても25%中抜きされて被災者には75%しか届かないという頓珍漢な批判



これは複合的な勘違いがありますが、最悪なのは熊本の災害で日本ユニセフ協会を攻撃していることです。

過去に、アディダスの店員が、有名サッカー選手を中傷するコメントをTwitterに載せて炎上した事件がありました。
その際、【頭に来たから電凸してやったら「当社は関係ありません」の一点張りだよ ほんと糞みたいな会社だわナイキジャパン】というネタがありました。
これに通じるものがあります。

ユニセフは世界中の子どもたちの命と健康を守るために活動する国連機関であって、そもそも災害復旧を支援する組織ではありません。東日本大震災がそうだったように世界的に大きな災害の場合には緊急支援として別枠で募金を募ることがありますが、原則は違います。日本ユニセフ協会経由のユニセフだろうが、ユニセフに直接だろうが、熊本の災害向けの話ではないのです。

アディダスの問題をナイキに文句言うのはおかしいのですが、それに気づかないような人がいるのが残念です。

日本ユニセフ協会はユニセフとは全く関係ない別の団体というのも大きく事実と異る

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福島第一原発関連で危険デマを流す輩は何なんだろう

大震災に伴う福島第一原発の問題では、いろいろな立場の人がいます。
過剰にリスクを過小評価する人もいるでしょう。

しかし、「あいつら何なんだろう」と思ってしまうのは危険デマを流して広めようとする連中です。


今日も一つの典型例を見つけました。

573 deaths 'related to nuclear crisis'】という読売英語版のニュースにまつわるデマです。

純粋な理知をブログに注ぐとうたった飄(つむじ風)というブログの"核危機に関連した" 573人が死亡−よくぞ見つけてくれた−というエントリーでこの記事を取り上げています。(もしくは、天地の超常現象というブログの"核危機に関連した" 573人が死亡−よくぞ見つけてくれた−")

重要なので、読売のニュースの全文を引用します。
573 deaths 'related to nuclear crisis'

A total of 573 deaths have been certified as "disaster-related" by 13 municipalities affected by the crisis at the crippled Fukushima No. 1 nuclear power plant, according to a Yomiuri Shimbun survey.

This number could rise because certification for 29 people remains pending while further checks are conducted.

The 13 municipalities are three cities--Minami-Soma, Tamura and Iwaki--eight towns and villages in Futaba County--Namie, Futaba, Okuma, Tomioka, Naraha, Hirono, Katsurao and Kawauchi--and Kawamata and Iitate, all in Fukushima Prefecture.

These municipalities are in the no-entry, emergency evacuation preparation or expanded evacuation zones around the nuclear plant, which suffered meltdowns soon after the March 11 disaster.

A disaster-related death certificate is issued when a death is not directly caused by a tragedy, but by fatigue or the aggravation of a chronic disease due to the disaster. If a municipality certifies the cause of death is directly associated to a disaster, a condolence grant is paid to the victim's family. If the person was a breadwinner, 5 million yen is paid.

Applications for certification have been filed for 748 people, and 634 of them have been cleared to undergo screening.

Of the 634, 573 deaths were certified as disaster-related, 28 applications were rejected, four cases had to reapply because of flawed paperwork, and 29 remain pending.

In Minami-Soma, a screening panel of doctors, lawyers and other experts examined 251 applications and approved 234 of them. The panel judged two deaths were not eligible for certification and 15 were put on hold.

"During our examination of the applications, we gave emphasis to the conditions at evacuation sites and how they spent their days before they died," a city government official said. "However, the screening process was difficult in cases when people had stayed in evacuation facilities for an extended time and when there was little evidence of where they had been taking shelter."

(Feb. 5, 2012)

この時点で573人が要するに福島原発事故に関連して死亡したと認定され、29人がPendingということです。別にこれ自体は驚くべきニュースではありません。

読売は日本語版で【災害関連死、573人認定…福島の13市町村】と同様の記事をアップしています。
災害関連死、573人認定…福島の13市町村

 東京電力福島第一原発事故で、政府から避難などを指示された福島県の13市町村で昨年、計573人の災害関連死が認定されたことが、各自治体への取材でわかった。
 避難が複数箇所に及んだり、長期化したりした結果、審査が難航するケースも目立つという。審査入りした634人のうち、29人は再調査が必要として認定が保留されている。
 13市町村は、警戒区域や緊急時避難準備区域(昨年9月末に解除)、計画的避難区域に指定されるなどした南相馬、田村、いわきの3市と、双葉郡8町村(浪江、双葉、大熊、富岡、楢葉、広野町、葛尾、川内村)、川俣町、飯舘村。計748人の認定申請があり、634人が審査を受けた。このうち573人が認定された。不認定は28人。4人は書類不備で再申請を求められ、29人は保留とされた。
(2012年2月4日03時00分 読売新聞)


ところが危険デマの人は一味違います。どういうわけか・・・
 これではっきりした。日本に向けては核災害を過小表現し、海外に向けては見識を示している訳だ。これで『放射能コワイコワイ病』として、揶揄している情報が如何に眉唾の不見識極まりない戯れ言であるかの状況証拠である。
核関連災害死と決して認めないであろう、突然死などを含めると、その数は万に達するか、それを凌駕するであろう。これは、後世、人口動態調査で明らかになるであろう。
「核」を消し「震災災害」と思わせているwww
住民の核被爆死亡者573人!
と主張します。

どうしてこんな理屈をひねり出したのかと思うと、上記の飄(つむじ風)では、読売の英文記事は「死が直接悲劇によってではなく、疲労や災害に起因する慢性疾患の悪化によって引き起こされていないとき災害に関連した死亡証明書が発行されます。」と書いていると説明しています。
原文は"A disaster-related death certificate is issued when a death is not directly caused by a tragedy, but by fatigue or the aggravation of a chronic disease due to the disaster."(疲労や慢性疾患の悪化が原因でも死亡証明書が発行される)であり、飄(つむじ風)が主張する内容とは真逆の内容です。
純粋な理知をブログに注ぐとありますが、これが理知とは……


以下のサイトでは山田花子なる人物が露骨に捏造翻訳をしています。。
追記。英語版では、核で死亡>東電が福島県民573人を殺害したと、政府が認定した。本当にそれだけ?

上記の読売の英文記事を、ご丁寧に項目ごとに対訳を付けています。例えば下記のように。
A total of 573 deaths have been certified as "disaster-related" by 13 municipalities affected by the crisis at the crippled Fukushima No. 1 nuclear power plant, according to a Yomiuri Shimbun survey.

573人の死亡は、読売新聞の調査によると、不安定な福島第1原子力発電所のクライシスの影響を受けた13市町村によって "災害関連"として認定した。

This number could rise because certification for 29 people remains pending while further checks are conducted.

さらに29人の認定が保留のままであるため、この数は上昇する可能性がある。

ところが、肝心の死亡認定の対象となった人が書かれている部分だけは翻訳を避けています。
A disaster-related death certificate is issued when a death is not directly caused by a tragedy, but by fatigue or the aggravation of a chronic disease due to the disaster. If a municipality certifies the cause of death is directly associated to a disaster, a condolence grant is paid to the victim's family. If the person was a breadwinner, 5 million yen is paid.

災害関連死については、上記をご参照。

他は全部翻訳しているのに何故かここだけ翻訳を避けています。そして、「追記。英語版では、核で死亡」と書いています。悪意以外のナニモノでもない。

記事の内容を捏造翻訳してまで危険デマを作り上げ住民の核被曝死亡者が573人もいると恐怖を煽り、その尻馬に乗ってデマを積極的に拡散する人もいて……なんなんでしょう、この人たちは。

英語のソースを読めばデマだとわかりますが、情弱と揶揄されるようなソースを読まないで騒いだり、ブログ/Twitter/2ちゃんねるなどで拡散する残念な人もいます。
そして、危険デマほど拡散しやすくデマが大きく広がっていきます。


福島第一原発関連でこのような危険デマを流す輩は何なんだろう……



【おまけ】
英文記事も邦文記事も関連の死亡認定者は573人と同じ情報を流しているにも関わらず、「国内の報道では被害者0人で海外では573人と別の報道をしている。日本のマスコミの情報操作は…」のように日本のマスコミ叩きをする輩までいます。



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