吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



あゆみトラスト・ホールディングス

「いつかはゆかし」のアブラハム・プライベートバンクに行政処分勧告

いつかはゆかし/アブラハムウォッチャーを自負する私が書かなくてはいけないネタが投下されました。

sesc_logo
アブラハム・プライベートバンク株式会社に対して証券取引等監視委員会が動いたようで、金融商品販売法違反で行政処分勧告がでるようです。


アブラハム処分勧告へ 監視委「投資助言を逸脱」 海外ファンド無登録販売と判断(日経新聞)
証券取引等監視委員会は投資助言大手アブラハム・プライベートバンク(東京・港)を行政処分するように金融庁に勧告する方針を固めた。金融商品販売業者の登録をせずに海外運用会社の商品を実質的に販売し、金融商品取引法に違反したと判断した。金融庁は、業務の一時停止を軸に業務改善を求める構え。一方、アブラハム側は「投資助言業は逸脱していない」と見解の相違を強調している。

これだけですと「ただしソースは日経」ですが、NHK時事通信なども報じています。


思ったより早く金融商品取引法違反の動きがきました。
安愚楽牧場、MRI投資など胡散臭さをぷんぷんさせながらもなかなか指導が入らずに破綻にいたってようやく表に・・・というケースを見ているとこの動きは私の想像をはるかに上回る早さです。

今回のポイントとなっているのは中立の投資助言と言いながら実は特定の運用会社からキックバックを貰ってファンドを販売していたかという点です。
監視委がアブラハムの関連会社と見ている海外企業が運用業者から手数料を受領。さらにアブラハムの親会社、アブラハム・グループ・ホールディングス経由で、事実上の販売手数料を還流させたと監視委は認定しているという。

具体的には、日経新聞の記事も書いてありますが、顧客にハンサード社のサービスを買わせてハンサードからキックバックを受けていたというところです。(ハンサードはIFAに手数料を払って顧客を勧誘するモデルなので通常営業です。)


そして、この手の報道では当然の流れですが、アブラハム社は「本日の日本経済新聞の報道に関して」というプレスリリースを出しています。とは言え、いつもなら「いつかは ゆかし」に対する一部ブロガーによる悪質なデマに対して、被害届の提出を検討」のように強気なのですが、今回は非常に控えめです。
本日、日本経済新聞にて、「証券取引等監視委員会がアブラハム・プライベートバンクに対して、投資助言業を逸脱しているとして処分勧告する予定」との報道がございましたが、当社弁護士より証券取引等監視委員会統括検査官に確認したところ「証券取引等監視委員会は、記事の内容、公表に至った経緯について一切関知しておらず、現時点において、アブラハム・プライベートバンクに関する勧告又は行政処分を行うか否かに関して何ら決定された事実はない。」との正式回答がございましたので、取り急ぎご報告申し上げます。

皆様にはご心配をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げます。


なお、アブラハム社に先立って類似の案件で企業設計という会社が2012年12月に処分を受けています。取引相手はハンサードではなくフレンズプロビデントというところでしたが「顧客をハンサード/フレンズプロビデントと契約させ別会社を迂回して手数料を受け取る」仕組みは同じです。

アブラハム社海外投資新聞なるウェブサイトを持っており、その中で「いつかはゆかし(アブラハム)」と「企業設計」との違いとは?という記事も書いているのが面白いところです。(この説明を読んで違いを認識する凄い方もいるのでしょうが、私にはよく分かりませんでした)

※余談ですが、海外投資新聞のHomeには以下のようなそうそうたる面々が並んでいます。
(1) 元大臣の竹中平蔵氏
(2) 2011年に『1ドル50円時代を生き抜く日本経済』を出版し、2013年には1ドル150円という緻密で正確な分析をされる浜矩子氏
(3) 「当座預金残高が10%増えると、予想インフレ率は0.44ポイント上がる」の日銀副総裁岩田規久男氏


今回の処分がどれほどになるかは近日中に明らかになりますが、このアブラハム社の海外金融商品販売によるキックバックモデルが崩れると事実上の退場宣告の可能性大です。

いつかはゆかし徹底検証 - アブラハム・プライベートバンクの財務・経営状況で書いたように、アブラハム社が表に出している収益は大幅にマイナスでした。(平成23年7月時点の情報ですが)
そこに出ていない収益源(海外関連会社を経由したキックバック)の重要さが良く分かります。
その後も新卒100人採用(実際には100人は採用できなかった模様)などコスト増の施策を打っているので、この事業に関してはまず詰んだと見て間違いなさそうです。


代表の高岡氏は「海外ファンドから一切、金銭を受領していない」と反論しているようですが、この後の展開もいつかはゆかし/アブラハム・プライベートバンクウォッチャーとしては目が離せません。
是非ともオープンな場でどういうことなのかをしっかり説明していただきたいものです。


次回予告:【「いつかはゆかし」を推奨した方々】







MONOQLO(2013年11月号)にて「いつかはゆかし」に関する記事を執筆しました

MONOQLO (モノクロ) 2013年 11月号にて「いつかはゆかし」に関する記事を書かせていただきました。
当該記事は127ページ〜131ページに掲載されています。(まさかの5ページ掲載…)


「いつかはゆかし」についてはこのブログで何度か取り上げてきました。
その縁もあって、毎月5万円積み立てを30年で1億円というキーワードの「いつはかゆかし」ってどうなの、という主旨の記事をMONOQLOにて書かせていただくこととなりました。


興味のある方は雑誌を読んでいただきたい(せっかく書いたので読んでほしいのが本音)のですが、主張は基本的にブログと同じです。

とはいえ、ブログでは「いつかはゆかし」を提供するアブラハム・プライベートバンクの経営状況や契約書の内容などいろいろなことを書いていましたが、今回の記事は毎月5万円積み立てを30年で1億円というキーワードの「いつはかゆかし」ってどうなの、というテーマに絞られています。
また、そこから海外投資をする際に考慮すべき点などには触れています。

なお、記事を執筆するに当たっては一般紙ということもあり以下のような点に注意したつもりです。
 ●内容を簡潔に
 ●私のキャラクターを知らない人でも読めるような表現に


【過去の「いつかはゆかし」に関するブログのエントリー】 (結構書いていた・・・)
 ・「いつかはゆかし」徹底検証 - おかしな解約条件 (2013/2/8)
 ・「いつかはゆかし」徹底検証 - 特徴的な契約の注意点 (2013/2/11)
 ・いつかはゆかし徹底検証 - 本当の投資顧問契約額はいくら? (2013/2/22)
 ・いつかはゆかし徹底検証 - アブラハム・プライベートバンクの財務・経営状況 (2013/2/24)
 ・いつかはゆかし徹底検証 - シミュレーションはいつかはゆかしと無関係? (2013/3/7)
 ・【いつかはゆかし徹底検証番外編】ハンサードのファンドの成績を比較してみた (2013/3/17)
 ・フライデーのいつかはゆかしに関する記事の論調が賛否両論ですと!? (2013/4/20)
 ・いつかはゆかし、アブラハム社社長高岡氏の見事な回答 (2013/4/22)
 ・「いつかはゆかし」の海外トップファンド(ドヤッ は日本で普通に買えるインデックスファンド未満 (2013/5/6)
 ・【半年ぶりに帰ってきたいつかはゆかし徹底検証番外編】ハンサードの実績を検証 (2013/9/3)



【半年ぶりに帰ってきたいつかはゆかし徹底検証番外編】ハンサードの実績を検証

2013年3月10日に下記で「いつかはゆかし」が推奨するハンサードのファンドのパフォーマンスを見てみました。
 ●【いつかはゆかし徹底検証番外編】年平均10%で30年間の可能性をハンサードの実績で検証

約半年ぶりに再確認してみます。

今回のデータソースはFE Trustnet Offshoreです。ここでハンサードのファンドを調べ、127本のファンドが見つかりました。

その127本のパフォーマンスを簡単に表にまとめると以下の通り。
Hansard_201309
6ヶ月以下の短期では相場環境が悪かったのか平均リターンがマイナスになっており、1年以上ではプラスになっています。(1ヶ月や3ヶ月という超短期の運用期間はボラティリティが大きいのであまり気にしなくてよいでしょう)


ここ5年間の成績は?
前回は5年間のトラックレコードがあるファンドのCompound Averageを見ましたが、今回は5年以上のトラックレコードがあるファンドのここ5年間の成績を見てみます。

5年以上のトラックレコードがあるのは127本中82本で、その82本の5年間の平均パフォーマンスは12.33%でした。該当の82本のファンドの成績を年率換算に直してから平均を取ると+1.79%です。

年率10%には非常に心もとない成績です。

なお、5年間の運用期間で年率で+10%を上回る成績を残したファンドは82本中4本でした。(+20.3%, +17.1%, +10.9%, +10.1%)




前回の検証でも同様のことを書きましたが、ハンサードのファンドで運用して30年間を年率10%平均で運用するというのは、かなり上手にファンドを選べないと達成は難しそうです。
  ※上記のパフォーマンスには当然手数料も入っておらず、為替も考慮しておりません。


なお、全ファンドの数字は以下になります。(クリック/タップで画像は拡大します)
Hansard_201309_detail



「いつかはゆかし」の海外トップファンド(ドヤッ は日本で普通に買えるインデックスファンド未満

以前は婉曲的に触れたものですが、ストレートに書いておきましょう。


「いつかはゆかし」アブラハム・プライベートバンクは次のように海外には優秀なファンドがたくさんあり、日本ではそれは宣伝されていない、もしくは出回っていないと言っています。(参考:http://itsukaha-yucasee.jp/about/)
yukashi_topfund01
yukashi_topfund02


で、「いつかはゆかし」は以下のように自身の取り扱うファンドの中で最高の成績を収めているファンドを出して、「おれっちの海外ファンドのパフォーマンスは凄いだろ(ドヤッ 」としています。(参考:http://abraham-bank.co.jp/news/20121206.html
yukashi_topfund03
"注:富士経済調べ"

しかし、この「いつかはゆかし」が誇るトップファンドは先の【いつかはゆかし徹底検証番外編】ハンサードのファンドの成績を比較してみたで検証した通り、日本の証券会社で普通に買えるインデックスファンド(ETF)に惨敗です。

 ●「いつかはゆかし」が自慢するトップファンド=HIL Castlestone Aliquot Gold Bullion
 ●同じくゴールドに投資する世界最大のETF=SPDR Gold

「いつかはゆかし」のご自慢ファドはただのインデックスファンドの過ぎないSPDR Goldに対して5年間で32%も運用成績で負けています。

以下は過去の検証部分の再掲
「いつかは ゆかし」が「積立したい商品」ランキングで第1位に選ばれたという記事では以下のように好成績ファンドの情報が載っていたので、そのファンドも是非とも対象に加えたい。
ゆかしNo.1

グラフを見ると2007年9月~2012年9月で年率換算15.34%ということなので、該当ファンドをハンサードのファンドリストで探すとHIL Castlestone Aliquot Gold Bullionでした。
ハンサードの2012年10月3日のファンド一覧表で見ると、全ファンド中1位で5年リターンが+104.97%(年率換算15.43%)なので、このファンドで間違いないでしょう。

HIL Castlestone Aliquot Gold Bullionが属する以下カテゴリーも比較対象にします。
 (6)Gold

なお、2007年9月末〜2012年9月末のSPDR Goldのリターンは+133.83%であり、HIL Castlestone Aliquot Gold BullionはETFに対しては-32%ほどアンダーパフォームです。(あっ、やめて!「何だよ、いつかはゆかしで一番リターンの良い商品ってのは日本のネット証券で買える市場平均を目指すETFより-30%も成績悪いのかよ。ダメファンドじゃん」とか言わないで…)

インデックスに5年間で32%も劣後するようなファンドをトップファンドとしてドヤッ と紹介するというのもどうなんでしょう。少なくともファンドのパフォーマンス面からはあまり加入する気にはなれません。
SPDR Goldは各種証券会社で積み立て対象になっていませんが、月5万円からなら自力で毎月買えばよいわけです。(クレジットカード手数料や毎年の報酬を考えると手数料も割安です)
「いつかはゆかし」に加入するなら他の理由が必要でしょうね。

「いつかはゆかし」のトップファンドを5年間で32%も上回ったETF(SPDR Gold)はSBI証券、楽天証券、マネックス証券など海外株式口座で普通に買えます。



いつかはゆかし、アブラハム社社長高岡氏の見事な回答

前回はFRIDAYでいつかはゆかしが取り上げられた件について書きました。その中では識者達の話にフォーカスしましたが、アブラハム社の高岡氏のコメントも多く取り上げられています。今回は、その高岡氏のコメントに注目します。
  ※参考:フライデーのいつかはゆかしに関する記事の論調が賛否両論ですと!?


まずは以下のように、一番気になる年平均10%超の利回りとはどうなのか?という質問があります。
コンスタントに10%超の利回りを実現できるものなのか。 (中略) 高岡社長に、仕組みと見込みを説明してもらった。


これに対する高岡氏の回答は以下の通り。
リスクを取れる若い時代はたとえば16%の、年を取った時は2〜3%のリターンで平均10%の利回りを目指しましょうとアドバイスしています。
神のみぞ知るですが、ドル・コスト平均法(毎月一定額を継続する長期投資法)ですので、損をする方が難しいんです。右肩上がりのポートフォリオ(分散投資の組み合わせ)を組みましょうと提案している

これが「コンスタントに10%超の利回りを実現できるものなのか」という質問への答えです。
高岡氏が素晴らしいのは10%なんてせこいことを言わずに16%とより高い数字を目指せと言います。しかもアブラハムが推奨するのは「損することが難しいうにゃらら法」&「うにゃららの組み合わせによる右肩上がりのポートフォリオ」なので、高いリターンを狙っても損をすることは難しく右肩上がりなのです(高岡氏曰く)。

「右肩上がりで損する可能性が低く16%を狙えるのなら、それを30年間続ければ良いんじゃないか」というのが常識人の考え方でしょう。しかし、「いつかはおくゆかし」の精神で何故か年を取ったら2〜3%にリターンを下げています。きっと、儲けすぎて金目当ての殺人に合わないための防衛策なのでしょう。深淵です。

なお、「アドバイスをしている」「神のみぞ知る」という予防線も忘れません。
(「10%超を達成できるのかへの答えがない」とか言ってはいけません)


高岡氏の凄さはさらに続きます。
人間の能力には違いがあり、ウォーレン・バフェット(米の著名な投資家)なら約20%で回します。そんな有名ファンドマネージャ一人の腕に掛けたら危ないので、6本くらいの腕でポートフォリオを組もうと説明しているんです。要は、『バフェットみたいな天才がいるから、それに乗ってみない?」という提案です。

バフェット氏は長期間にわたってハイパフォーマンスを残している偉大な投資家です。高岡氏は彼が天才だと褒め称えます。

バフェット氏を褒めたのならバフェット氏の銘柄であるバークシャー・ハサウェイ株を組み入れるのが普通の考え方です。しかし、高岡氏は天才バフェットを除外します。
バフェットのような天才に投資しようと言いながらバフェットを外すのが、おくゆかしい高岡氏流なのでしょう。凡人や金融関係者には理解できない深遠な考えがあります。
(「バークシャー株を買うだけなら普通の証券会社で買えてしまって手数料を取れないから」とか言ってはいけません)


さらに続きます。
彼らのような海外ファンドがどんな運用をしているかは企業秘密だから、たしかに我々には分からない。でも、(時間と情報のない)サラリーマンが自分で売買するよりマシですよね?

これも至言です。
アブラハムは海外ファンドがどんな運用をしているか情報を持っていないようです。しかし、情報がないアブラハムの助言に基づく売買は情報がないサラリーマンよりマシという、これまた哲学的な深遠な回答です。
(「同じく常識がないならプロの意味なくない?」と言ってはいけません)


このような生業を行うのであれば、是非とも参考にしたい非常に素敵ないつかはゆかしアブラハム社高岡社長でした。



私の著書 - ズボラ投資
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