吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



経済

そう簡単に超大国アメリカは沈まない〜変化できるアメリカ

中国の台頭もあります。
昨今の金融危機でアメリカ型強欲主義の終わりとも言われます。
テロとの戦争で疲弊しているとも言われます。

「アメリカの時代は終わった」という声も多く聞きます。


しかし、長期的にずっと安定しているとは思いませんが、アメリカはそう簡単に沈まないんじゃないかと思っています。


昨今の金融危機などでアメリカ型モデルに傷がついたのは確かでしょう。
自動車のビッグ3も大きく転びました。

しかし、それでもアメリカは転びません。

その図体に似合わない変わり身こそがアメリカの強みではないでしょうか。


日本証券経済研修虚の2010年5月号にて斉藤惇氏の〔講演〕資本市場の実態と再生に向けての中にもありますが、アメリカの方が主要企業(大企業)の移り変わりを日本とアメリカで比較すると、アメリカの方が激しくなっています。

1980年→2009年で両国の時価総額トップ30を見るとアメリカは21社が入れ替わり、日本の入れ替わりは13社です。
また、ベンチャー(社歴が短い企業)からのトップ30入りということで見ると、アメリカはMicrosoftやGoogleなど7社に対して、日本はソフトバンクの1社です。
アメリカでは「アメリカ企業」と言いつつもその企業の中身は30年もたてばガラッと変わっています。

「入れ替わりが激しい=良い」ではありませんが、時代に応じて変化できることはアメリカの強さではないでしょうか。
フォードで花開いたアメリカの自動車産業はダメになっても金融がこけても、次の産業や企業が生まれてきて引っ張ります。今ではIT系企業が多くランクインしていますが、この業界がダメになってもその業界を追い落とすのは、また別のアメリカ企業かもしれません。

日本は、日本という表面の中身もあまり変わりません。
一方、アメリカはアメリカという表面は同じでも中身は大きく変わっているわけです。主要企業の移り変わりに限らず、アメリカ国民の人種などを見ても大きく変化しています。
少し話はズレますが、スポーツの世界でもMLBやNBAなどがストライキに入ってシーズンが無い/短縮されるような大胆なことも起こりえます(日本のプロ野球ではお情けばかりのストライキがありましたが、大胆な行動は起こらず)。ファンのことなどを考えるとストライキが絶対善とも言えませんが、変化を求めるにはこのような大胆な行動をいとわないアメリカには強さを感じます。


投資先として考えた時、中国、ブラジル、インド、ロシアと言ったBRICsもいいでしょう(すでに死語?)。
インドネシアやトルコなどもいいでしょう。北欧もいいでしょう。

しかし、アメリカを侮ってはいけないように思います。







日本企業はよくdisられるが、それでも世界で3位なのさ

日本の企業に対して批判的なコメントは結構目につきます。

東電、日航、シャープ、パナソニック、エルピーダ…と業績の悪い特定企業に対するものもあれば、日本企業というカテゴリーに対する批判コメントもよくあります。(私もしないわけじゃありません)

「日本企業は完璧でけちの付け所など全くない」なんてことはありませんので、当然に批判されるところもあるでしょう。しかし、考えてほしいのは日本は依然として世界で3位の経済大国であり、日本企業は世界的にそれなりの地位にいるということです。

フォーチュンが発表しているGlobal 500を見ても日本は68社がランクインしており、アメリカ(132社)、中国(73社)に次いで3位です。
 ※Forrune Global 500

参考:国別企業数ランキング上位10か国
 1位: アメリカ(132社)
 2位: 中国(73社)
 3位: 日本(68社)
 4位: ドイツ, フランス(32社)
 6位: イギリス(26社)
 7位: スイス(15社)
 8位: 韓国(13社)
 9位: オランダ(12社)
 10位: カナダ(11社)

企業数で見た時にアメリカの132社は別格ですが、中国とほぼ同じ位置の2位争いで、4位以下にはダブルスコアをつけています。

嫌〜な奴になれば、アメリカや中国以外の国から日本企業はこれがダメだと文句を言われたら「お前らのよう大きな結果を出せていない奴らに文句を言われる筋合いはない。自分達流が素晴らしくて、日本流がダメだと言うなら当然結果を出しているよね?えっ、まさか結果も出せていないのに結果を出している人に文句を言うの?」のように言い返せばいいのかもしれません。
 ※注意:厳密には人口の違い等も考慮しなくてはいけないし、規模=良さと簡単なものではありません


日本企業にもいろいろ問題はあるし、従来のやり方が通用しなくなってきているところもあります。しかし、だからと言って単純に他国のやり方が素晴らしいと崇め奉るのも違います。


「ヨーロッパでは●が常識なのに、日本では■だ。日本はおかしい」のような声もありますが、「日本はヨーロッパにはない■だからヨーロッパのどの国よりも凄いんだ」と言えるのかもしれません。優劣ではなく、文化が違えば価値観が違うということもあります。
この辺りは中身の検証が必要です。



ニュージーランドの苦境

「ほほ笑む暗殺者」の新たな照準−島国NZを富裕層の古里に変えろ (ブルームバーグ)


ニュージーランドの記事です。

"The smiling assassin"ことジョン・キー首相のインタビューに始まりニュージーランドが直面している苦境について簡単にですがよく書かれています。

NZドルは最近では金利低下の影響もあり人気が急落していますが少し前まではキャリートレード通貨として人気でした。そのNZドルに関連する部分もあるので、メモ代わりにエントリー。


「向こう30日以内に訪問してくれれば自ら空港に迎えに行く」と語り、「イングランドのようだが、偉ぶった態度はない」とNZ国民の気さくさを強調した。
こういうジョークを日本の首相が言うのは難しそうですね。日本の首相がこんな発言をしたらネットで「首相自らが空港に迎えに行くなんてありえない。こんな経済危機かに何をふざけたことを言っているんだ。ふざけるな。」のような意見が多く出そうですね。

2008年11月の就任以来、首相は景気押し上げを目指して所得税と法人税を引き下げ、企業幹部向け奨学金制度を導入。観光相も兼任している。
NZではいろいろやっているようです。こんな経済危機下で観光相まで兼任するのは日本の感覚だと疑問符がつきますが、観光への依存が強いNZでは危機だからこそ首相の強いリーダーシップを発揮するために兼任が良いのでしょうか。
税金の引き下げは記事で後述されていますが、所得税は38%から33%に引き下げ済みで法人税は来年に28%(オーストラリアより2%低い)にするようです。

1人当たりの国内総生産(GDP)でみた生活水準は購買力平価に基づく09年の試算で、経済協力開発機構(OECD)の他の加盟国の平均を約15%下回る。また、大学卒業者の約25%を含む100万人が就職のために海外に移住している。4−6月(第2四半期)の失業率は6.8%と、前四半期の6%から悪化した。
大学卒業者の25%が就職で海外移住というのも凄い話です。失業率が6.8%というのは意外に低い数字に感じたのですが、海外で職を求める人が相当数いることを考えると国内に職が無いという状況なのでしょう。
日本のように国民の多くが自国で就職しようとする国とニュージーランドのように外部に多く流出する国では失業率の数字が近くても、実際の仕事のあり具合はかなり違うはずです。単純な失業率の比較はできません。

ただNZ首相の職務は難しい。元ベテラン通貨トレーダーであっても、この10年にNZドルの対米ドル相場は1NZドル=0.39米ドルから0.82米ドルの間で大きく揺れ動いているだけに扱いにくい。NZドルはキャリー取引の人質となっており、海外投資家が高利回り資産への投資で利益を得ようと資金をつぎ込めば値上がりするが、彼らが資金を引き揚げれば下落する。
2007年までの上昇とその後の下落を見てもNZドルの難しさが分かります。
何度もNZ政府関係者が投資家に向けて「NZドル買いすぎ。買うな」という警告を出しても投資家には無視されて金利引き締めに走らざるを得ず、今度は投資資金の引き上げで急激な下落に見舞われるという往復ビンタ。
日本も為替に振り回されていると言いますが、円の値動きなどかわいいものでNZドルはかなりきついですね。



日本人は日本に対して極度に悲観的過ぎでは(隣の芝は青く見える?)

客観的なデータがあるわけではありませんが、日本人は日本に対して悲観的すぎませんか?
メディアの報道、ネット上の書き込み、会う人の意見・・・悲観的意見をよく聞く機会があります。

・少子化
・政府債務残高
・長期的な株価低迷
・中国の台頭(GDPで抜かれる/抜かれた)


上のような理由だけでなく、さまざまな理由から日本を悲観視する意見を聞きます。そして株式投資の世界では、日本の将来は悲観的だから日本株の投資割合を下げて世界株に投資しよう、というような意見も聞きます。

私も日本に上記のような不安材料があることには賛同します。しかし、そこから一足飛びに【日本がダメで諸外国をヨシ】とすることは賛同できません。

【日本がダメで諸外国をヨシ】とするからには、日本と諸外国を比較して、諸外国の方が良いとならなければいけません。
ところが、そのような議論を抜きにして「日本は少子高齢化でお先真っ暗なのに日本円が強く円高になる理由が分からない」というのはあまりにも短絡的ではないでしょうか。
(そもそも短期の為替相場がファンダメンタルで説明できるのかという言う疑問もありますが、)仮にファンダメンタルで説明できたとしても上のような諸外国の状況を考えないでの意見は早計すぎです。


そんなに諸外国は良いのでしょうか?

★アメリカ
アメリカは双子の赤字(財政赤字・経常赤字)を抱え、昨今の金融危機でさらに財政状況は悪化しています。アフガニスタンやイラクのコストも厳しい。
国債消化も外国頼みです。今でこそ何とか消化できていますが、最近はそろそろ危険がささやかれています。
失業率は高く、格差は拡大しています。貧しい層の医療制度は崩壊しています。
世界がアメリカドルの基軸通貨体制から外れようとしています。


★ヨーロッパ
非ユーロ圏の大国イギリスは金融国家を目指しましたが、その道も閉ざされつつあります。ロイヤル・ダッチ・シェルやBPという石油関連企業やGSK、Astra Zenecaという製薬企業などはありますが、国の経済規模と比較すると金融以外で世界的に活躍している企業は多くない。
大陸に目を向けるとギリシア、ポルトガルなど欧州諸国のソブリンリスクが叫ばれています。国債では、債務残高が多いどころか申し込んだ借金を断られている(札割れ)ことさえある。
東欧に目を向けるとこの地域の経済状況は極めて悪い。対外債務が極めて多いこれらの国々の経済状況は極めて悪い。次々とIMFに支援を求めて何とか保っている状態。その東欧諸国への投資の多くが西欧諸国であり、西欧諸国も東欧諸国の経済危機の影響を大きく受けている。
イタリアなどのユーロ離脱もささやかれつづけている。
統一通貨ユーロを利用する国家間では、各国独自の金融政策を実行できないために危機やバブルへの対応の柔軟性がありません。


これらの材料をどう評価するかで、どこが有望かの順位は異なるのでしょう。しかし、少なくとも簡単に「日本だけが特別に悪い」と言えるようには思えません。

中国などに代表される新興国についても、国内の格差や資源頼みの国々など大きなアキレス腱を抱える国が少なくありません。

こうやって見てみると、日本も不安材料がたくさんありますが、アメリカやヨーロッパにも多くの不安材料があります。決して、日本がダメで諸外国がいいとは言えないでしょう。
日本に不安材料が多いからと言って、それだけで隣の芝を青く感じてしまうのはやめた方がよいように思いますが、いかがでしょうか。



株式の長期リターンはプラス仮説を疑ってみる

先に断っておくと、私は「株式の長期リターンはプラス」仮説支持者です。


ですが、時に「株式の長期リターンはプラス」仮説があまりにも誇張されすぎている傾向があるように思います。さらに行きつくところまで行くと、それが当然の真理であって、疑う者は愚か者と言われかねないようなことまでありそう^^;


『ウォール街のランダム・ウォーカー』『インデックス・ファンドの時代』『敗者のゲーム』等々、名著です。これらの名著の中でも株式は長期的にはリターンがプラスになることが書かれています。
日本の書籍でもそのような記述はたくさんあります。
その場合、株式の長期リターンがプラスである根拠が過去データによって示されていることがほとんどです。


しかし、ひねくれ者の吊られた男としてはここで警鐘を鳴らしたくなります。

データで示すことは有力ですが、それに妥当性があるかは別物です。データで示そうとしたときにはそのデータの説得力が重要です。

多くの本などで使われるのは以下のようなデータです。
 (1)超長期のアメリカ株の上昇
 (2)長期の日本の株式の上昇
 (3)中期の世界株の上昇


これらのデータは確かに株価の上昇傾向を示している(だからこそデータとして本で使っている)のですが、それを一般化できるかということには疑問があります。


(1)超長期のアメリカ株の上昇
100年や200年という区切りでデータを取っているので、サンプル数としてはそれなりの信頼性があります。しかし、問題はアメリカという条件です。
アメリカは世界的に見ても極めて特殊な例です。自国へ本格的な侵攻を受けたことは無く、南北戦争以降は内戦もなく、クーデターもなく、20世紀半ばには世界の覇権国になり、(最近は揺らいでいますが・・・)世界の1大超大国です。そのような国家は世界的にも例を見ません。極めて珍しく恵まれた大成功を収めた国家です。
大成功例のBNF氏を持って投機が儲かると一般化できないように、特殊な国の株価が上昇していたからといって一般的に株価が上がるとは言えません。


(2)長期の日本の株式の上昇
バブル崩壊後は低迷していますが、日本株も上昇しています。設定時100だった日経平均が今では10000前後です。日経平均約60年という期間はサンプル数としては微妙ながらもそれなりには説得力があるところです。
しかし、この数字も疑ってかかるべきです。この期間の日本は「世界には日本とアルゼンチンとその他の国がある」と言われる程の奇跡的成長を遂げた特殊なケースです。先のアメリカ同様です。
しかも日経平均はその前の太平洋戦争の影響を受けていません。この日経平均の算出期間は戦争も内戦も無く極めて安定した時代です。指数が1930年くらいからあったらどうなっていたのだろうか?


(3)中期の世界株の上昇
頻度はそれほど多くはありませんが、これも使われることがあります。しかし、これは単純にサンプル数不足です。サンプル数はせいぜい30というところ。30で有効性を示せるかというとこれは厳しい。仮説を立てる根拠にはなっても、仮説の正しさを決定付ける証拠としては弱いでしょう。



知っている世界の話の例で申し訳ありませんが、薬の開発でもデータを使ってその薬がいい薬だという仮説を証明します。

試験によって違いはありますが、以下は一般的な話です。
Phase1では健常者数十例でデータを集めます。この限られた小人数で薬の安全性が確認されれば、仮説が補強されたと考えてPhse2に進みます。
Phase2では実際の患者100例〜程度のデータを集めて安全性と有効性を確認します。ここで結果が良ければ、仮説が補強されたと考えてPhase3に移ります。
Phase3ではさらに症例数を増やして数百〜1000例程度の規模のデータを集めます。これで結果がよければ、この薬は安全で効果がありそうだということで販売する承認許可が出ます。
ようやく仮説の正しさが示されたことになります。
しかし、販売後も市販直後調査で約半年間実際のデータを収集することになり、さらに再審査のために市販後調査で数千例〜数万例の実際のUncontrol下での安全性データ等を取得することを求められます。
これだけのデータの数で薬の有効性・安全性を検証します。


それと比較すると、数十例程度のデータだけで株式の長期リターンはプラスと言われても明らかにデータの信頼性が違います。

信頼性がありそうなのはせいぜいアメリカの約200年のデータくらいですが、先にも書いたようにアメリカのデータは特殊な例で偏りがあります。

また、お薬のお話・・・
上に書いたように新薬開発では多くのデータを集めるとありますが、ただ多ければいい物ではありません。薬の効果だけを測定するために他要因の影響が限りなく0に近づくようにRandomization(無作為割付)を行います。
アメリカ株式の200サンプルのようなその国固有の特殊環境の影響を受けた特定国の株式市場データばかりを集めたものとは全くの別物です。


超長期のアメリカ株の上昇、長期の日本の株式の上昇、中期の世界株の上昇、これらは全部「株式の長期リターンはプラス」仮説を立てる根拠にはなりますが、仮説を実証する証拠としては弱すぎます。


私は、このような点に注意しながら「株式の長期リターンはプラス」仮説は主張されるべきだと考えています。
そうしないと「簡単に月30万儲かる方法!!」などと同じように「いや、確かに儲かることもあったり、儲かる人もいるけどさ、そんなに強くは言い切れないよね」という極めて正当な非難の対象になってしまいます。



とはいえ、そのような薄弱な根拠の下でも私は「株式の長期リターンはプラス」仮説支持者です。



私の著書 - ズボラ投資
「毎月10分のチェックで1000万増やす! 庶民のためのズボラ投資」
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