吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



生命保険

「ライフネット生命の代理店手数料開示」に関する後田亨氏の良コラム(日経)

 ・ライフネット生命が風穴 代理店手数料開示の意義 (日経「保険会社が言わないホントの保険の話」)

いつも読んでいる日経電子版の後田亨氏のコラム「保険会社が言わないホントの保険の話」ですが、特にこの10月26日のライフネット生命が風穴 代理店手数料開示の意義は興味深い記事。

ライフネット生命が10月4日にその代理店手数料を開示した(月額保険料の7.5%、最長60ヶ月=最大で5年間で年間保険料の37.5%)ことは他でも報じられました。ライフネット生命の手数料水準は相対的に安い水準のようで保険業界の関係者以外からはかねがね好意的な反応です。
このコラムではオリックス生命のCUREと比較していますが、オリックス生命のCUREは最大で年間保険料の103%(5年間)ということで、他の報道と同じようにライフネット生命の手数料が安くて代理店があまり儲からないレベルだということを書いています。

しかし、私がこのコラムを推す本質はそこではありません。

以下のような記述があります。

手数料に注目すると、ライフネット生命の商品の方がお客様にとって有利なように感じられると思います。しかし、現実はそれほど単純ではありません。次の表を見てみましょう。「CURE」の方が「じぶんへの保険」より保障内容が手厚い上に低価格であることが分かります。(「じぶんへの保険」の手術給付金はオプションですが、比較条件を近づけるため給付金ありのプランにしています)
hoken_hikaku

これ大事です。テストに出ます。

重要なポイントだけを繰り返します。
「CURE」の方が「じぶんへの保険」より保障内容が手厚い上に低価格であることが分かります。

なんと代理店の受取手数料が5年間で年間保険料65.5%相当も違うのに、オリックス生命の方が保証内容が手厚くて保険料が安いのです。


単純に「代理店の手数料安い=顧客のこと考えている=ライフネット生命万歳」となりがちですが、このコラムでは代理店手数料のみに縛られずに最終的な商品の質をしっかりと比較しています。図らずしも、ライフネット生命は代理店の手数料が安いことを開示したことで(少なくともオリックス生命に対しては)他の要素が高く設定されることも明らかになりました。

それに気づかせてくれる良いコラムです。


なお、これだけ書くとまるで私がライフネット生命を批判しているかに聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。付加保険料の開示に始まったライフネット生命が進めている保険のコスト開示は非常に高く評価しています。

(その多くが保険相互会社で始まり、その形態を維持する会社もあるのが保険会社です。その存在が契約者に対して情報を公開しないというのは何か筋が違うんじゃないかとも思ったりしています)







保険料の安さだけで安易にネット生保の保険に飛びくのは危険

徐々にですがネット生保が生保の一業態としての地位を確立しつつあります。
ネット生保の登場によって保険料が下がり、第二次世界大戦後初の独立系生命保険会社として誕生したライフネット生命がその流れを加速させました。

そのような気流もあってか保険の見直しも一つの大きな商売になっています。

今のところはネット生保が店舗型の大手保険会社から顧客を奪うには至っていませんが、それでも若い人を中心にネットで生命・医療保険に加入する人の数は増えています。

オリックス、ネクスティア、ライフネット…とネット系の保険会社はありますが、ネット生保の主な特徴は保険料の安さです。「今までの日本人は無駄に高い保険に入っていたが、これからは必要な分だけを安い保険料でカバーしよう」という流れになっています。

私もこの流れに賛成です。賛成なのです。

しかし、ネット生保称賛の流れの中で一つ懸念があります。それは「ネット生保ならなんでも安いわけじゃない。大手生保だって健康体なら保険料が安くなるような保険があって、場合によってはそちらの方が安い」というようなものではありません。


懸念は「いざという時にちゃんと保険金・給付金の請求をできるの?」という話です。

このブログを読んでいる人でも保険に加入している人は多いでしょう。今日・明日にあなたの身に何かあった時に保険金・給付金の請求ができますか?

病気や怪我で倒れたとなれば一大事です。病院との治療方針等の話し合い、会社への連絡、子どもの面倒をだれがどう見るか、etc…やるべきことはたくさんあります。
亡くなった時に配偶者は保険請求のためにどんな資料が必要で、どう請求していいか対応できるか?自分が亡くなった時に配偶者がネット生保の保険申請をできますか?平常時であれば、時間をかけて保険会社のサイトを見て申請方法や必要書類を確認して対応することも可能でしょう。しかし、いざ事が起きた時も同じとは限りません。

そんな時、担当営業がいる対面型保険会社には大きなアドバンテージがあります。
担当の営業に電話をして保険金・給付金の請求手続きをどうしたらいいかと相談すれば、基本的には「●●という書類を▲▲で貰ってください」のように必要な書類等を教えてくれます。保険証券が見つからないなど想定外があっても、どうすればいいかも教えてくれます。(こんなサポートもできないダメ営業も混ざっている可能性は否定できませんが…)

「だから店舗型にすべき。ネット生保なんてダメ。」と言うつもりは全くありません。
それは私の本意ではありません。

しかし、遠足は家に帰るまでが遠足・・・もとい、保険は請求して保険金・給付金を貰うまでが保険です。


ネット生保で保険に加入する時は、担当営業がいない分、店舗型保険会社以上に保険金・給付金請求できるように準備することを心に留めておいた方が良いでしょう。それが不安ならば、保険料が高くても店舗型の保険会社という選択肢も考慮してみる価値があります。



生命保険・医療保険は加入すると損。だから

生命保険、医療保険…世の中にはいろいろな保険があります。
その中で特に家計見直しで名前が出てくる保険は生命保険・医療保険です。

「どんな保険が得か?」と聞かれたら、「得する保険は無く、どの保険も損。保険は加入しないで済むなら加入しない方が得」が基本です。

これは保険/保険会社の仕組みを考えるとわかります。
皆から集めた保険料が全額そのまま保険金の支払いに使われていれば損はありません。しかし、以下のように保険料の一部が保険会社の運用経費と儲け(付加保険料)に取られてしまうので、支払われる保険金総額は、保険の契約者たちが支払った金額より少なくなります。

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保険に加入するということは「損する金融商品を買う」ことに他なりません。必要性が無ければ加入する必要はないのです。だから保険に加入するのは「損してまで得たいものがある」場合に限れば良しです。

損してまで得たいものとは、例えば稼ぎ主死亡時に備えた数千万円の生命保険です。
稼ぎ主が死亡すれば、世帯の収入が激減します。その時に貯蓄が数千万円あれば残された遺族も生活に困らないかもしれませんが、そんな貯蓄があるとは限りません。そこで死亡時の保険金数千万円のような保険に加入します。
期待値では損な取引でも、何かあった時に自力では用意できないお金を用意するために保険を活用します。


「そのお金を自力で用意できるか/用意できないか」

これが保険に入る時の重要な基準の1つです。
最近の保険会社は医療保険の販売にも力を入れていますが、医療保険で支払われる保険金の金額は自分で用意できないものでしょうか。用意できる人はまず医療保険に加入する必要性は感じられません。

医療保険の加入方法の一つとして、それなりの貯蓄ができるまでの期間だけは加入して、ある程度貯蓄できたら医療保険は解約というのもありでしょう。

※参考:お金があれば「保険」はいらない (日経新聞Web版 / 保険会社が言わないホントの保険の話)



あなたの保険はインフレで大丈夫?

生命保険・医療保険・等々、多くの保険がありますが、ここでは比較的契約期間が長い生命保険と医療保険を対象に話をします。

生命保険や医療保険を契約する時、必要/欲しい保障額を考えて保険を契約します。「死亡時に2000万円」や「入院1日当たり1万円」のようにです。
それだけの金額をもらえれば残された人や怪我をしても経済的に助かるという金額を計算してのことが多いかと思います。
しかし、貰う時にその金額で本当に大丈夫でしょうか?

大学を卒業して新社会人になった時や結婚した時に保険の加入を考えるかもしれません。

仮に30歳で「60歳までに死亡したら2000万円」「終身で入院1日当たり1万円」という保険に加入したとしましょう。さて、この保険でいくら貰えるか?
名目の金額は保険証券にある「死亡時2000万円」「1万円/入院日数」です。しかし、実質でどれほどの価値があるかが問題です。
30歳の男性より40歳の男性の方が1年間に死亡する確率は高く、40歳の男性より50歳の男性の方が…と年齢が上がるほど死亡率が上がります。
つまり、死亡保険金が支払われるケースは年をとってからの可能性が非常に高い(=契約時の30歳から時間が過ぎている)。入院についても同じことが言えます。
契約時から20〜30年後の「2000万円」「1万円/入院日数」はどれほどの価値があるのでしょうか。

インフレ率が年2%で30年たつと貨幣の価値は1/1.81になります。インフレ率が2%の場合、30年後の2000万円は今の1104万円の価値しかありません。
インフレ率3%で30年だと、30年後の2000万円は今の824万円の価値です。
インフレ率4%で30年だと、30年後の2000万円は今の617万円の価値です。
インフレ率5%で30年だと、30年後の2000万円は今の463万円の価値です。


遠い将来に保険金を受け取る可能性が高い生命保険や医療保険の場合、インフレによる実質価値の減少には気を付けなければなりません。



10年更新と収入保障のどちらが有利か (本題は割引現在価値)

「10年更新」は誰にとって合理的なのか?』(生保のトリセツ)

上記は、生命保険を10年更新の定期保険で補償額を引き下げていく方法と収入保障保険を比較している大変興味深い記事なのですが、ありがちな重大なミスを犯しているために残念な結果になっています。

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詳しくは元記事を見て欲しいのですが、図のように「収入保障保険で毎月15万円ずつ30年にわたってもらえる保険金の合計額(5400万円)」と「定期保険で一括で貰える保険金(3800万円)」を比較しています。
そして、前者の方が多いという比較で「ほとんどのケースで収入保険が有利」と結論付けています。
しかし、これは大きな誤りです。

お金の価値を比較する時に欠かせない割引現在価値が欠落しています。
生保のトリセツの考え方は、現在の1万円も30年後の1万円も同じ価値という考え方です。これは非現実的です。
今の1万円を30年間運用すれば、30年後には1万円より大きな価値になっている可能性が高い。超低金利の今でさえ30年国債の金利は2%あります。

収入保障と定期保険の保険金を比較する場合は現在価値で比較する必要があるのです。(そうでない比較は無意味。もしくは、あえて割引現在価値を使わずに収入保障を有利と言うならば、騙そうとしていると怪しんだ方がよい)
上のエントリーで収入保障代表に使われたオリックスのKEEPを見ると30歳時点で一括で受け取ると4198万、40歳だと3046万とのことです。

つまり、生保のトリセツの記事中で取り上げられた収入保障保険の保険金はずいぶんと過大評価されています。スタートの30歳時点で言えば、5400万円ではなく4198万円です。


割引現在価値の考え方を知らないと、見事に金融機関のカモになってしまいます。
保険業界での長年の勤務経験があって個別相談に乗っているような方でも見落とされているものですが、割引現在価値は重要です。



私の著書 - ズボラ投資
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