吊られた男の投資ブログ (インデックス投資)

投資信託を使った低コストインデックス投資/パッシブ投資(バイ&ホールドの国際分散投資)で資産形成を行っている一般サラリーマンの吊られた男が、主に投資やお金のことについて語るブログ。時々、投資やお金以外の話もします。



FX/外為/為替

【日経平均と他国株式指数】 指数としての比較と投資対象としての比較

2013年は日経平均が大きく上昇しています。
2013年初からの各国の代表的な株式インデックスを比較しても日本株は非常に好調です。Yahoo! Financeを使って各国の代表的な指数をグラフ化してみました。
2013年の各国指数のパフォーマンス

1位:日本株 (日経平均)
2位:アメリカ株 (ダウ30)
3位:イギリス株 (FTSE100)
---- ↑プラス↑ ----
---- ↓マイナス↓ ----
4位:スウェーデン株 (OMXストックホルムPI)
5位:ドイツ株 (DAX)
6位:香港株 (ハンセン指数)
7位:インド株 (センセックス)

年初来のパフォーマンスではアメリカやイギリス株も好調でプラスですが、日本株の伸びは圧倒的です。

「世界的にもみんな日本株に投資していれば超儲かっているわけです」


…とはなりません。



上の比較は純粋に各国の株式指数を(その国の通貨建てで)見た場合のチャートです。

実際の投資では為替が影響します。

日本人が外国の株式指数(現実的には投資信託やETF等)に投資しても得られるリターンはインデックスの値動き×為替の値動きです。(為替ヘッジしている場合は除く)

ということで、投資対象としての日本株の魅力は如何ほどかを見てみます。
投資のパフォーマンスを見る場合には為替を揃える必要があるので、日経平均連動ETFのドル建 vs ダウ30種インデックスで比較したグラフを作ってみました。
2013_stockindex2

青地が日経平均ETF赤字がダウ30種インデックスです。

通貨を揃えてみると、年初来のパフォーマンスは基本的にダウ30種の方が優れていたが、日経平均が猛追してやっと近い水準まで来たというところです。
今回はドル建てにして比較しましたが、円建てでも同じです。投資対象として見た時には日経平均の方が優れていたわけではありません。

日本株及び外国株(インデックス)に投資をしている人は実感しているかとも思いますが、投資としてみた時には為替の影響があって日本を含めた先進国株式のパフォーマンスはほとんど同じ水準です。


よく新聞などでは単純に現地通貨建ての指数を比較して「●●の株式のパフォーマンスは好調」などと言うこともありますが、為替を考慮した投資成績とは違うという点に注意は必要です。







為替レートは金融緩和の度合いで説明できる、と単純ではない

マネックス証券のエコノミックレポートに

どこまでが円高修正なのか

という興味深いレポートが掲載されており、その中では以下のような主張がありました。
≪引用開始≫
Monex_Effective_Rate
過去4年間の、米欧日の通貨の位置の差は、「金融緩和を徹底した米欧中銀」、「金融緩和に出遅れた日本銀行」によって説明できる。その結果、為替レートが割高水準に放置された日本だけが、デフレと株安に苦しんできた。
≪引用終了≫

しかし、「金融緩和の徹底度で為替レートが説明できる」というほど為替の世界は単純ではなさそうです。

先のデータにイギリス(ポンド)のデータも加え、Japan, UK, US, Euroでグラフ化してみましょう。
4FX_200901

イギリス(ポンド)は日本以上に実質実効為替レートが通貨高(ポンド高)に向かっています。
「金融緩和の徹底度で為替レートが説明できる」のであれば、イギリスの金融緩和は日本以上に出遅れていることになります。

では、金融緩和の度合いを測る指標としてマネタリーベースを見てみます。
アダム・スミス2世の経済解説日銀、FRB、ECB、BOEの政策比較という記事にちょうどグラフがありましたので下記に引用します。
monetarybase

イギリス(BOE)はピンクです。
見て分かる通り、各国が金融緩和に走る中でBOEはかなりの金融緩和を行っています。
2009年1月にはBOEとECBはほぼ同じ場所に重なっていたのが、グラフの終わりでは圧倒的にイギリスが上にあります。「金融緩和の徹底度で為替レートが説明できる」のであれば、ポンドはユーロ以上に実質実効為替レートが下がっているはずですが、そうなっていません。

データを見る限り、為替レートが金融緩和の徹底度で単純に説明できるほど簡単なものではなさそうです。


ある少数のサンプルから特定の傾向が見えることはあります。
しかし、それは"たまたま"そういう傾向があっただけということが考えられます。特にたった3つのサンプルでは、偶然に日本/米国/ユーロでは金融緩和と実質実効為替レートに関連性があるように見えたという可能性もあります。
単純に日米欧3つの金融緩和度と実質実効為替レートを比較してもデータの説明力はほとんどないでしょう。

※金融緩和が為替レートに一切影響を及ぼさないと言っているのではありません。



【おまけ:3年/5年/10年/20年/30年で見た実質実効為替レート】(始点=100)
実質実効為替レート3年 実質実効為替レート5年
実質実効為替レート10年 実質実効為替レート20年
実質実効為替レート30年



近い将来に円安になった時、ありそうなマスコミの解説報道

その過剰な臆病さから利益を出せない日本の輸出企業

昨年から続いている円安基調は止まらずに、先のX月X日に久しぶりに1ドル100円の水準を突破した。
自国通貨安は輸出企業にとってはプラスであり、長らく円高で苦しめられていた国内メーカーにとってはこの円安は追い風になるはずだった・・・

しかし、足元の国内メーカーの業績は冴えない。円安で利益は伸びているものの収益改善ペースは遅い。これは国内メーカーがその臆病さから円安メリットを自ら放棄してしまったことが原因だ。

2012年に1ドル80円を切る超円高と言える水準まで円高が進行した時、国内メーカーはさらなる円高を恐れて円高対策に舵を切った。為替ヘッジ、為替マリー、海外への拠点の移動などである。円高で為替損を出ないようにするということは裏を返すと円安によって利益が出ないということである。つまり、国内メーカーは超円高進行時にさらなる円高を恐れることで、円安に戻る時の利益を放棄したのである。これが裏目に出た形だ。

しかし、これを「運が悪かった」で片づけていいものだろうか。為替は円安に進むこともあれば円高に進むこともあるものである。1ドルが80円を切るという歴史的な超円高時にさらなる円高に備える対策をしたのは慎重すぎたのではないだろうか。

現に日本が円高で苦しんでいる時、サムスンやLGといった韓国勢はウォン安を利用して急速に事業を拡大して利益を伸ばした。彼らは自国通貨安という為替の波をもしたたかに利用したのだ。円安によって今度は日本がその恩恵を受ける順番になるはずだったのだが、日本企業はそれを自ら放棄してしまった。

不確定な為替変動をも利用する韓国企業に対して、不確定な要素をただただ恐れた国内メーカー。モノづくりの技術のみならず、ここでも国内メーカーは後れを取っているのかもしれない。

上記は完全に私の妄想記事ですが、仮に近いうちに円安反転があっても円高対策によって自国通貨安メリットを十分に享受できなかった(と説明できそうな)場合、こんな報道をするメディアがあるのではないかと思っています。



FXは2010年2月から全額信託保全が義務化されている

久しぶりにFXの話題。
Twitter上で少し話にもなったのでブログでも書いておきます。

FX業者=危険というイメージはありませんか?
それは正しいイメージでした。

「でした」と過去形を使ったのは、2010年2月1日からFX業者に対して全額を信託保全が義務化されたからです。

FXは歴史の浅い金融商品ということもあり、法律の整備も遅れていました。私がFXをやっている時も顧客の資産を持ち逃げする会社や分別管理すべき顧客の資産を使い込んでいる会社などのニュースもありました。
ここ最近のFXのニュースに触れていないと、分別管理にはなっているけど…というところで情報が止まっていてFX業者次第の危ないものという認識でいる人も多そうです。

しかし、上にも書いたように2010年2月から全額の信託保全が義務化されています。これによって基本的にはFX業者が倒産しても顧客の資産は守られることになっています(短期的な相場変動やFX業者が信託保全義務に違反する…という場合など例外はありますが)。

少し前のFXは業者の破綻リスクが大きなリスクでしたが、今はそのようなリスクは小さくなっています。



イールドカーブがスティープ化している外国債券+為替ヘッジでアルファを狙う

外国債券と国内債券の期待リターンは同じ

長期的には為替レートが両国のインフレ率に応じて調整されるので、名目金利は違っても期待リターンは同じになります。「外国債券と国内債券の期待リターンは同じ」は基本原則として私もよく言ってきた話ですし、一般論として通用する話だと思います。

しかし、以下の2つの条件が満たされている場合には、外国債券を買う超過リターン狙い戦術もあります。
 (1)日本が低金利でイールドカーブがフラット化
 (2)対象の外国債券のイールドカーブがスティープ化している

話を単純化するために、日本円とある外国通貨の金利が以下のようになっているとします。
 ・日本円:短期金利0%、長期金利1%
 ・外国通貨:短期金利0.5%、長期金利5%

対象通貨の残存期間が長い国債を買うと、現地通貨建で5%の年利回りです。5%(外国通貨)-1%(日本円)=4%の差があります。
しかし、金利差は為替変動で打ち消されるので超過リターンは無いというのが長期の法則です。為替変動による期待リターンは-4%/年ということです。
ところが、この国債を保有しつつ短期金利で為替ヘッジをすると、少し風景が変わります。100%為替ヘッジすれば為替変動の影響は0です。短期金利差は0.5%なので、短期金利で為替ヘッジをすれば0.5%のヘッジコストで-4%の為替変動を無しにできます。

※参考:社会保障審議会年金数理部会資料 - 23ページ

(確実に儲かるかは分かりませんが、こんな投資方法はあるということで)



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