以前に『インフレから資産を"守る"最善策は?』というエントリーも書かせていただきましたが、お手軽で元本保証の素晴らしいインフレ対策商品として銀行預金を強力に推奨します。

『「資産を守る」ために、リスク商品を運用する』
私がよく読ませてもらっているダイアモンド・オンラインの記事です。非常に面白く為になる記事もあるので楽しく読ませてもらっています。
しかし、この記事はおかしいと思わざるを得ない。

「1年定期金利と物価上昇率の推移」なる図を示してオイルショックの1970年代に消費者物価上昇率と1年定期預金金利が大幅に乖離して実質金利がマイナスになったことを指して「預金は必ずしもインフレに対応できる商品ではない」と書いている。

これに対して、次ページでは東証第1部の年間収益率と消費者物価上昇率を比較して以下のように述べている。
90年代以降はバブルの崩壊やデフレ傾向を受けて株式投資の収益率がマイナスになることが多かったことが分かる。しかし物価が上昇傾向を辿っていた80年代までは、株式投資の収益率のほうが物価上昇率を基本的に上回っている。
やはり、よく言われるように株式はインフレに強い資産と言ってよいだろう。
これはおかしい!!
まず、預金ではオイルショックを除かずに全期間を通算して考えていたのに、筆者が推奨したい株の話になると株に不利となる期間を除外している。これはズルい。
ただ、非常に納得いかないものの、100億歩譲って"インフレに強い"という話なので、バブル期以降のデフレ期を除外することは、まあ許そう。
##とは言っても、自分で示している図で1985年以降で
##年で1番、2番目に物価が上昇している1990年、
##91年の株収益が大幅にマイナス。これだと物価
##上昇時に株価が上がるという主張はできないよう
##に思いますが・・・^^;


しかし!!
何よりずるいのは、オイルショックの時期にどうして預金の実質金利が長い間大幅にマイナスだったのかという背景を説明せずに、インフレ率の方が高いと主張していることです。

当時は金利規制が存在していました。
この規制のせいで銀行は自由に金利を決められなかった。だから物価が上がってもそれに連動して金利は上がらなかった。昔の金利がいかに物価に連動していなかったかは筆者が示している図の1955年-1970年を見ると良く分かります。物価上昇率に関係なくほぼ金利は一定です。
しかし、このオイルショック時の反省から金利規制見直しが始まり、今はこの金利規制は緩和⇒撤廃されている。だからこそ、規制緩和が進んでからは筆者が示した図が示すように物価上昇率に連動するかのように預金金利が推移していることが分かる。

その結果、1980年以降では1980年、1997年以外は実質金利はプラスであり、ほとんど預金金利は物価上昇率を上回っている。だから、オイルショックのような物価上昇が起こっても昔とは違い、預金金利は上昇するはずである。
株、投資信託、FX、先物、各種リスク商品で投資をする人や関わる人が、その商品の優位性を主張したい気持ちは分かる。しかし、だからと言って他商品を不当に貶めるような発言はいただけない。

金利規制があった時代の話を今でも持ち出して預金がインフレに勝てないかのように喧伝するのはおかしい。車の性能を語る時に、昔の車の燃費などを示して、「車は燃費が悪い」などとは言うのだろうか?


株などのリスク商品は「インフレに負けずに資産を増やす」方法である。「インフレに負けずに資産を守る」方法であれば、銀行預金で十分である。
ところが一部の投資推奨家は「銀行金利はインフレに負ける」と言って、本来なら資産を守るだけで満足で元本割れリスクを取らなくていいような人を、リスク資産への投資に誘い込んでいる。

その結果、余計な損失を出させる結果ともなる。



私は断固主張する。

金利規制が無く、それなりに成熟した資本主義社会でのインフレ対策は預金が最善であると



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@吊られた男


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