先日のエントリーで「長期投資においてはアセット・アロケーションがそのパフォーマンスの大部分(8割とか90%とか)をしめる」という主張は根拠が無い嘘である。
と書かせてもらいました。


それでは、長期投資においてアセット・アロケーションが与える影響度はどの程度なのでしょうか?




ここである人物を紹介したいと思います。その方はイボットソン氏です。ご存知でしょうか?

イボットソン・アソシエイツの創始者です。

このイボットソン氏の研究からよく引用されて目に付くのは「アセット・アロケーションでパフォーマンスの90%以上が説明できる」という主張である。

しかし、これはブリンソン氏の研究の引用と同じように誤用されているようである。


では、イボットソン氏の研究成果はどうなっているのだろう?
なんとイボットソン氏の研究では

「10年間のファンド間収益率をアセット・アロケーションで説明できるのは40%であり、ファンド間ではアセット・アロケーションよりもタイミングや銘柄選択で差が出ている」

と結論付けているのだ!!

10年という長期投資ではアセットアロケーションより売買タイミングや銘柄選択の方が重要だというのだ!!


では、イボットソン氏が90%云々と言ったという話はどこからやってきたのだろうか?
これは、上記の研究結果を1年毎のパフォーマンスを見た場合に90%以上はアセット・アロケーションで説明がつくと言っているのだ。



つ  ま  り  …

アセット・アロケーションが多大な影響力を与えるのは四半期や1年という短期(中期)の運用においてであり、長期投資においてアセット・アロケーションの影響度は半分以下に低下する

のだ。
このように長期投資でアセット・アロケーションを無視していいとは言えないが、「長期投資でアセット・アロケーションが重要」という主張は非常におかしいのです。




正しくは以下のようになるはずです。

1ヶ月、四半期、1年といった限られた短期・中期投資においてアセット・アロケーションは非常に重要である。
アセット・アロケーションがそのパフォーマンスの8割〜9割を決定するからだ。
しかし、長期投資ではアセット・アロケーションの重要度は劇的に低下し、銘柄選択等他要因の影響度が10-20%程度から60%程度と劇的に増加する。しかし、それでもなお40%程度の影響度を持っているので低下してからといって無視できる要素ではない



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@吊られた男


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