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1週間ほど前になりますが,S&Pダウ・ジョーンズも中国通信3社除外へ、NY証取の方針転換で (ロイター)>アリババ、テンセントへ投資禁止も 米、中国軍支援と認定か―報道 (時事ドットコムニュース)といったニュースが報じられました。

アリババとテンセントといえば、2020年末で世界で時価総額トップ10に入るような大企業です。もちろんチャイナモバイルなどの通信3社も大企業です。

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続報として,米国、アリババやテンセントを投資禁止対象に追加せず−関係者 (Bloomberg) といったニュースも出ており,アリババとテンセントへの投資禁止はは回避されるのかもしれませんが,世界的な大企業を投資禁止にしていくという強烈なニュースでした。

アメリカ政府の言い分としては,中国軍に協力している企業への投資を禁止するということなので,(仮想)敵国への政治的な対抗策ということなのでしょうが,投資家としては厳しい話。

特にアメリカにも中国にもに肩入れしているわけではない投資家という立場で見ると「中国軍へ協力している企業への投資がダメなら,イギリス軍に協力している企業やロシア軍に協力している企業,アメリカ軍に協力している企業もダメでは?」とも思えてしまいます。

政治は自国の利益を守ることが重要なので,強引にも思いますがアメリカ側の態度も政治的観点からは理解できます。今まではとるに足らぬ存在だった中国なので無視していてもよかったけど,急速に伸びてきているので脅威ですよね。対抗策を取りたくもなります。

しかし,それによってS&PやMSCIなどインデックスプロバイダーがアメリカ政権の言いなりになって,その企業達を指数から除外する…というのはいかがなものでしょう。
中国政府が対抗措置でアップルへの投資を禁止としたらS&PやMSCIの指数からアップルを除外するのか?

アメリカを主戦場とする企業としてはアメリカ政権に逆らえないという企業の論理なのかもしれませんが,その指数を介して投資している側としては,ある国の政権の声によって指数の中身を決められてしまうというのは困りものです。

仮にこれがエスカレートして、アメリカにとって都合の悪い企業が除外されていったとすると「全世界株式インデックス」といっても実態は「全世界株式インデックス (アメリカ政府によるフィルター適用)」になってしまいそうです。

MSCIなどのインデックスを使った国際分散投資が「国際分散投資(ただし親米企業のみ)」になったら困る・・・


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