メルザルガルド
いいと思うよ。


「投資するには勉強が必要か?」

「投資では勉強が必要か,必要でないのか」という議論がされることがありますが,その議論を見ているといろいろ前提条件を整えないままに話が進んで噛み合っていない議論を見ることがあります。

ある人は「勉強なくして投資で成功することはできない。いろいろ勉強してリスク管理や銘柄選定の方法を身に着けることで勝てるのだ」のように言います。

ある人は「バイ&ホールドといえども,投資している間は株価・為替・金利などを見ておいた方がいい。」と言います。

ある人は「いきなり何もわからずに投資を始めるのは危険。投資の本とかを読んでちゃんと勉強してから始めないと変な投資をして思わぬ損をしてしまうかもしれない。」のように言います。

ある人は「いきなり投資の本とか読んで勉強しろと言っても読む気がしない。少額で始めて実践しながら平行で勉強すればいい」のように言います。

ある人は「バランスファンド買っておいて放っておけばいい。勉強なんて特に必要ない。」と言います。

(※すべて私が脳内で想定した架空の人なので,実際にそんなこと言っている人はいないかも)


いろいろな意見があり,人によって賛同できるものが違ったりもしまいますが,実は結構前提条件が違います。

「投資するには勉強が必要か?」という問いにおいて,これを「投資している全期間中で,投資の勉強をしなくていいのか、それとも学んでおくべきなのか?」といった観点で考える人がいます。
一方,「投資をする」を「投資を開始する」と呼んで「投資を始めるには勉強が必要か?」といった視点で考えている人もいます。

また,「投資を開始する」も2つに大別できます。

本格的に投資に踏み込む」と考えている人もいれば,「小額で始めてみる」という考えもあります。

「投資を開始する」を本格的に投資に踏み込むと考えると,「勉強をせずに投資をしたら,大金を変な商品に投資して資産を失うぞ」という警告をしたくなるのは自然な流れです。
一方,「少額で始めてみる」と考えている人であれば,「数万円〜数十万円という金額で投資をしながら勉強して,分かってきたら大金を投資する」といったような話も筋が通ってくるので,「いやいや,投資をするって誰も最初から大金を全力投資なんて言ってないよ。分かってから大金は投じるって話だから。」となり,噛み合わなくもなります。


ざっくりと投資を開始・継続するまでの流れを見ると次のようになるでしょうか。
1. 事前の学習
2. 小額投資(パイロット)
3. 本格運用
x. 継続的な学習

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一番着実な進め方は4つをすべてやることです。投資に触れる前に入門書を1冊なり2冊なり読んで投資について勉強をして,それから小額で試してみて,そして本格的に投資に挑むことです。さらに継続的な勉強も怠らない。これが最善な道です。
しかし,この手順を実践できる人は非常に少ないでしょう。

サッカー,水泳,将棋などスポーツやゲームなどでも入門書はあります。
しかし,サッカーボールに触らず,水に入らず,将棋の駒に触らずに入門書だけを読んでルールややり方を理解するというのはかなり大変です。本の中の記述や写真などではどんなに詳しく書いていても実際のボールの跳ね方は分かりませんし,水の中で浮かぶ感覚もつかめません。実践なく入門書を読んで理解できる人はそう多くないでしょう。
そこで,実際にはボールを蹴る,水の中で浮かんでみる、駒を動かすといった実践を伴いながらルールや理論を学ぶという人が一般的です。


投資についても同様です。
実際に口座も開かず,投資商品の購入なども行わないままに投資本を読んで,投資のことを理解できるという人はそう多くないでしょう。
やはり,1万円くらいでもいいので少額でなにか (投資信託だったりEUR/JPYだったり) を買ったら翌日には9900円になったというように実際の値動きを見て体験するということで分かるという人が多いのではないでしょうか。

「いやいや,そんな始め方はだめだよ」となると,世の中の大多数の人は最初の事前の勉強の時点でドロップアウトしてしまい,投資できる人は全人口の数%といったところになってしまいそうです。(ボールやシューズや駒に触らずにルールや基本的な動作・戦術などを先に覚えられることを条件にしたら、サッカー・水泳・将棋を始められる人は非常に少なくなるはず)

「事前の勉強ができないから投資をしない」「1番の事前の勉強を飛ばして,小額投資+継続的な勉強でスタート」で考えると後者の方がマシだと思いますので,大多数の人は事前勉強なしでやることもやむを得ないでしょう。

ただし,すでに書いていることでもありますが,あくまで少額投資スタートです。
水泳で言えば足の届く練習用のプールでヘルパーなどをつけて始めましょう。いきなり競泳用の深いプールや海で泳ぎだしてはいけません。


※見出しの画像はワンパンマン第39話のメルザルガルドです


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