最近は「下流老人」や「老後貧乏」など老後生活が不安になるような言葉が増えているように感じます。
さて、そのような話の中で「老後資金のために投資は必要」という声も聞きます。しかし、この考え方危険ではないか。
確かに老後資金を潤沢にする方法として投資は有力な選択肢です。しかし、これを「必要」としてしまうと非常に怖い。
「老後資金のために投資は必要」とは
「老後資金のために投資は必要」をもう少し詳しく説明すると、「下流老人にならないためには老後資金を確保する必要がある。それには普通の稼ぎでは足りないので、投資をしてお金を増やす必要がある。」というような話です。投資する行為自体が必要なのでなく、投資によってお金を増やすことが必要という主旨です。
なぜ「老後資金のために投資は必要」は危険なのか
投資でお金を増やすことが必要ということは、お金が増えないとアウトということになります。特定の要素が予定通りにうまくいかないと破綻するような計画は非常に脆い。
投資において多少はリスクコントロールはできますが、リスクを完全に制御することはできません。
長期分散投資のバイ&ホールドは長期的には儲かる可能性が高いんじゃないか、とは思いますが絶対ではありません。また最終的に利益が出ているとしても予定していたほどの高い利益が得られるとも限りません。
投資が成功することが「必要」というのは非常に危険な人生設計でありマインドセットです。
では、どう考えるべきか
では、どうしましょう?現実問題として、投資で成功すれば手元にそれなりのお金があることになりますが、投資をしなかった場合にはそれほどの多くのお金がありません。また、投資が上手くいかなかった場合も資金は潤沢とも言えないでしょう。
そんな時にどうする?
一つのプランに凝り固まらず、複数のバックアッププランを用意しておきましょう。
「投資が成功したら老後人生にやりたいことリストの100個のアイテムのうち80個ををやる」
「投資がイマイチだったら老後人生にやりたいことリストの100個のアイテムのうち50個ををやる」
「投資が失敗したら老後人生にやりたいことリストの100個のアイテムのうち25個ををやる」
こんな感じで考えます。
確かに豊かな老後を目指すならお金は必要となることでしょう。しかし、そうでないと人生がどうにもならないという思想は非常に危うい。人生において予定外なことはよく起こることですから、そうなった場合にもそれなりに幸せに生きる方法を考えておいた方がいいでしょう。
そうしないとくだらないことに拘って自分の人生を不幸にする呪いに縛られることになりかねません。
何が起こるか分からない人生において楽しく生きるにはフレキシビリティは非常に役に立ちます。(※必要ではない)
【関連コンテンツ】
平成25年の生命保険文化センター「生活保障に関する調査」によると、老後の最低日常生活費は平均22.0万円のようなのですが、これって手取り年収300万円で全部生活費に回しても、最低日常生活費が足りないことに…
現役時代にどのようなライフスタイルで過ごしているのかという点も、重要な気がしてなりません。