idc_otsukakagu私は結婚当初に大塚家具でダイニングセット及びカウチとカウチ用のテーブルをまとめて購入しました。
それらは今ではすべて手放してしまいましたが、今の家でもダイニングセット(テーブル&チェア4脚)、リビングテーブル、リビング/ダイニング/各部屋の全照明、スタンド型照明、デスク…と大塚家具の家具に囲まれています。ソファーやベッドもありました。

そんな多くの大塚家具の商品に囲まれている人間として、大塚家具のお家騒動について少し触れてみます。

しかし、お家騒動そのものよりも感じているのは、大塚家具のイメージや争点について勘違いしている人が結構いるということ。

分析結果に対する解決策はともかく、大塚家具の現在の状況と争点について簡単に知るには目を通しておいた方が良い資料として2月に発表された中期経営計画があります。
これを軸にして見ていきたい。


勘違い1: 現社長はニトリやIKEAのような低価格(&低品質)へシフトする

「ニトリ、イケアを意識したら、間違える。家具は使い捨てじゃない。インターネットで、なんてダメ。われわれのよさは、最終的に商品をお届けしたときに、お客様にわかってもらえる」

会長の勝久氏が上記のようにニトリとIKEAを持ち出したせいなのか、まるで現社長の下では大塚家具がニトリやIKEAのような低価格商品を売るお店に変わるかのように思っている人がいます。

しかし、中期計画を見るとそれは違うことが分かります。
IDC 大塚家具 中期経営計画

高価格帯・中価格帯の「単品買い需要」を当社に取り戻すとあるようにあくまで高価格帯・中価格帯路線は崩していません。会社の強みとしても「高・中価格帯における豊富な品ぞろえ」としており、少なくともこのような資料からは高級/中級路線を捨ててニトリやIKEAのような低価格品にシフトするとは読み取れません。
「今の品質の商品」を「気軽に」買えるようにするという話であり、ニトリやIKEAを意識しているのは後者の「気軽に」の部分であり、前者の品質の部分でニトリやIKEAをまねるという話はしていません。


勘違い2: 大塚家具は「高級」家具店

また、結構見かけたのが、大塚家具は「高級」というイメージがあるようです。各種ネット上のコメントを見ても「高級」「高価格」として話をする人が結構います。

しかし、実際はそうではありません。中期経営計画の中でも語られていますが、大塚家具は中価格~高価格帯です。
実際、ニトリやIKEAなどよりは高いものがほとんどで、高価格なものもありますが、必ずしも高級ではありません。
ニトリやIKEAじゃちょっと質に満足できない…という人が買ってもいいんじゃないかという、ニトリやIKEAの家具よりも少し高い程度の中価格帯の家具も多く取り扱っています。

それなのにどうして「高級」というイメージがあるのか?
これは東洋経済の記事にもあるように、従来の会員制/営業帯同による高付加価値戦略の賜物でしょう。同じ品質のものを売るのでも会員制&営業帯同というシステムにすることで、高級そうなイメージが醸成されました。
これはメリットがあります。同じものを売るのでも高級そうという雰囲気を出すことで、顧客にはそれだけ支払ってもいいという納得感が生まれます。(ただのマッサージ屋でも良い店の雰囲気を作ることで高い値段にしている店などがあるように)
しかし、デメリットもあります。「高そう」「敷居が高い」というイメージのせいで、本来なら自社の製品を買ってくれていたような中価格帯の潜在的顧客を逃しているでしょう。

勘違い3: 常に帯同しての案内営業を止める=店員サービス低下

大塚家具の従来の営業手法は、店舗を訪れた人に営業員がぴったりと張り付いて最初から最後まで説明して回るスタイルです。これを止めると丁寧な説明を聞けなくなるかのような声も聞きますが、そんな事はないでしょう。
四六時中、営業員が隣にいなくてもいいわけです。聞きたいときに店員に声をかけてアドバイスをもらえれば事足りるとも言えます。
ここは、店の工夫次第です。


争点:会員制の営業商法か、自由に見られるか

親娘のお家騒動の最大の争点は、ここでしょうか。
同じ商品を取り扱っていても、それをどう売るかです。
会長の勝久氏の旧来のやり方は、店舗を訪れる客に営業が案内し、テーブルに椅子に照明にソファにベッドに…とまとめ買いさせる方法です。結婚して住宅購入を機に家具一式を揃えるといったような需要を取り込むスタイルです。ですから、決して高級路線ではありません。超金持ち富裕層の目が飛び出るような高価格な家具を売っているわけではなく、普通に稼いでいる中流世帯の大きなライフイベントを狙っての商売です。

しかし、この需要が今は非常に減っています。そもそも結婚やマンション購入を機に家具をまとめ買いする人たちがどれほどいるのか?「とりあえずはダイニングテーブルを買って、ソファは後」のように、今では必要に応じて購入していく人たちが多くなっているように思います。

そのように個別に買うとなると、ぶらっと店舗に寄って自由に見て回りたいところでもありますが、大塚家具に行くと店員に付きまとわれて買いたくない家具の話までされて…となりそうなので、ウザったい。
簡単に20分30分見て回るだけといったような訪れ方はできません。また、営業に推されると買わなきゃいけないのか・・・みたいなプレッシャーも感じてしまいます。その結果、気軽に入れるニトリやIKEAに客が流れてしまう…というのが実情でしょう。

我が家も大塚家具の家具やニトリやIKEAより良いと思いますし好きですが、大塚家具には行く気になりません。よっぽど買いたいものが決まっていない限りは行く気にならず、ぶらっと寄るならニトリやIKEAです。(その結果ニトリでお買い上げしたことも幾度とあり)

今の時代の流れを考えると、気軽に寄れる環境を作るという社長の久美子氏の方が戦略としては当たりだろう。


でも総論賛成、各論は・・・ビミョー

ここは私個人の感想です。
総論としては社長の久美子氏の「高級という間違ったイメージによる中価格帯顧客の取り逃し」「会員制&マンツーマン案内による敷居の高さ」という問題意識は正しいと思います。そういう意味ではそれを解決するのはいいと思います。
しかし、施策としての「インテリアアクセサリーの強化」などいくつか疑問もありますし、実際のオペレーションレベルへの落とし込みに関しては未知数でよく分かりません。



Anyway...大塚家具はフツーのサラリーマン世帯でも買えるような中価格帯の家具が結構あるわけで、そういう層をニトリやIKEAなどに取り逃がしているのはもったいない。



【関連コンテンツ】