Global Investment Returns Yearbook 2014

長期で株や債券はどれほど儲かっているのか?
長期ではいろいろな危機もあったが、その時にどれほどやられたのか?

クレディ・スイスが年毎に発行している『Global Investment Returns Yearbook』には1900年からの世界各国の株式/債券の動きが掲載されています。これで1900年から現在まででどうなのかを見てみます。

Global Investment Returns Yearbook』は現時点では2014年版が発行されており、ありがたいことに日本語版もあります。(Global Investment Returns Yearbook 2014 - 日本語版)


以下は1900年~2013年の世界の株式と債券のリターンのグラフです。この114年の間に相場が絶不調だった時期がいくつかあります。
1900-2013の株式/債券の値動き(世界)
『Global Investment Returns Yearbook 2014』より


●第一次世界大戦/スペインかぜのパンデミック
第一次世界大戦/スペインかぜの1910年代後半〜1920年頃に、株式/債券共に大幅にマイナスになっています。株式+債券の国債分散投資として考えた場合には、唯一かつ圧倒的に悪かった期間と言えそうです。

●1929年からの大恐慌
アメリカのダウ30種が1929年〜1933年で最大で9割近く下落し、世界大恐慌とも言われた時期です。株式市場の暴落としては最も有名なモノでもあり、株式が大きく下がっています。
しかし、この世界株式のグラフで見ると、最も象徴的な暴落として語られる大恐慌のわりにはそこまで酷くはないと思えたのは私だけでしょうか。9割下がったのはアメリカの話ですし、不況で強烈なデフレにもなったので実質リターンはそこまで悪くありません。
また、デフレのせいか債券は絶好調であり、仮に株式:債券=1:1のような国際分散投資ならあまり問題なかったと言えるかもしれません。

●第2次大戦後
株式、債券それぞれの下げ幅は大きくありませんが共に下げています。株式&債券の国債分散投資派にとっては世界大恐慌時と同じかそれ以上に悪い時期だったかもしれません。
なお、この時期に日本の株式は-98%と大きく下落しています。これが114年の期間での新興国株式のパフォーマンスが先進国より下回る要因になっています。

●1970年代
オイルショックでしょうか。債券はヨコヨコでウロウロしていますが、株式相場はそれなりに落ちています。先の3つには劣りますが、これも暴落相場と言えるかも知れません。


この『Global Investment Returns Yearbook 2014』のグラフをそのまま活用すれば、上記4つくらいが近現代で最も大きな下落相場と言えそうです。過去をそのまま現代に適用できるわけではありませんが、歴史から学ぶなら国際分散投資の場合、この程度の下落はあったということを頭に入れておくとよさそうです。
※日本からの投資と考えた場合、注意すべき点
    • 上記グラフは円建てではないので為替を考慮の問題
    • 第2次世界大戦時にそもそも資産を守れているかという問題

●おまけ1: 意外と大したことなかった大恐慌

今回調べていて「100年に一度」とも形容され、最大の下落相場ともいわれるような大恐慌が意外と大したことがなかったことが意外でした。(少し考えれば、世界大戦とも名づけられた戦争の爪痕や世界的なパンデミックが大恐慌より小さいと考えていた方がマヌケ?)

●おまけ2: これ以上は損失あきらめか!?

バイ&ホールドしていると「リスク許容度を超えたらどうするの?」という声もいただきますが、その場合はあきらめの1手かもしれません。
この過去のデータをもって将来が保証されるわけではありません。しかし、一応は2度の世界大戦やパンデミック込みでの実績です。
これらを危機があった暴落を頭に入れた上で、自分のリスク許容度を超えないように国際分散投資したり投資金額を決めたりできます。こうすれば同程度の状況には対応できます。

しかし、過去の世界大戦やパンデミックを超える事態がないとは言えません。その場合には、過去の実績よりもひどいパフォーマンスになるでしょう。ただし、もはや証券投資の投資手法とか投資金額の調整どうこう言っている事態ではない気もします。
東京が空襲にあう中、「株式と債券の比率で株式比率が高すぎる」「生活防衛資金は6か月分かな?いや1年分かな?」とか今の平和な環境でほざいているようなことを呑気に言っている余裕はなさそうです。
どう生きるかを含めてその状況に合わせて対応していくしかないのではないでしょうか。

おまけ3: 債券のチャートが怖い

債券のチャートは不気味です。債券は114年間で7.6倍になっていますが、1900〜1980年頃で見ると上下動はあって±0と言ったところです。114年の債券のリターンはここ30年程度でもたらされています。
パラダイムシフトが起きたのか、それとも最近が好調期であってこの先に低迷期が控えているのか。仮に後者であって好調期がもう終わりにさしかかっていたとしたら……





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