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ラップ口座とアットコスト

個人が資産運用を証券会社などに一任する「ラップ口座」の残高が急増している。残高は3月末時点で1兆3760億円に達し、前年同月末から8割増加した。

日本投資顧問業協会によると、6月末時点のラップ口座の契約総額は前年比90%増の1兆6430億円。


ラップ口座の資金が増えているようです。昨今の相場環境で運用によって増えた部分もあれば、資金流入の影響もあるでしょう。最近のラップ口座は最低投資額が下がっており、(ファンド)ラップ口座に投資できる層が拡大しています。
そんなラップ口座の拡大に大いに貢献しているファンドラップですが、これはいいサービスなのでしょうか。
インデックス投資家からは否定的な意見が大多数です。単純に言えば、コストが高い

一番預かり資産が多い大和証券のファンドラップの情報を見ると、投資信託の信託報酬などとは別にして、ラップ口座の手数料として年率1.512%の手数料が発生します。(5000万円以下の部分)

この手数料をどう評価するか。
ファンドラップに投資している人は何の対価として年率1.512%の手数料を払っているのでしょうか。

これが「金持ち向けの口座で懇切丁寧に証券会社の素晴らしいプロが運用してくれるから、巧みな運用で素晴らしく資産が増える」対価ならいいでしょう。Vanguard(バンガード)が言うところのアットコスト(適正なコスト)と言えるでしょう。巧みな運用によって素晴らしく資産が増えるなら年率1.512%なんて惜しくないものです。

しかし、ファンドラップはそのような魔法の杖ではありません。

大和証券を含めて各社の説明を見ても、リスク許容度に合わせたポートフォリオを組んでくれる程度のようです。このように考えると明らかに高い。
リスク/リターンに見合ったポートフォリオの作成及び管理コストとしては年率1.5%は高いでしょう。これならば、それなりの人にポートフォリオのアドバイスをもらって、あとは自分でそれに合わせたバランスファンドを買うなり、いくつかのファンドを組み合わせて買えば十分でしょう。


海外ETFとアットコスト

また、インデックス投資にふれましたが、インデックス投資における海外ETFという存在もアットコストを考えるいい題材です。
Vanguardに代表される海外ETFには、国内ETFや投資信託よりも信託報酬が安いものがあります。そういったダイレクトコストを見ると海外ETFの方が国内ETFや投資信託より優位性があります。



しかし、ダイレクトコスト以外の面を考えるとそう簡単ではありません。海外ETFが特定口座対応されていない証券会社も多く、確定申告時の処理が特定口座の国内ETFや投資信託に比べて面倒になります。また、海外ETF購入前に外貨に両替する手間がかかったり、受け取った配当の扱いなど国内ETFや投資信託では無いような手間がかかります。

これらの手間と低い信託報酬を天秤に載せてどちらが勝っているか。
数年前なら「安い信託報酬のメリットの方が大きい」が明らかに優勢だったと思います。
しかし、近年は少し状況が違います。海外のインデックスに連動する国内ETFも増えてきました。投資信託でも信託報酬が低いファンドも出てきています。ダイレクトコストでの海外ETFの優位性が弱くなってきました。
現在では、どちらが良いかの判断は難しいところです。


アットコスト

上ではラップ口座海外ETFについて取り上げましたが、アットコストの考え方は他の取引でも使える考え方です。
何でも低コストがいいわけではありません。それではできることが限られてしまいます。何かをする時に費用が発生するのは仕方ありません。
しかし、そのコストが払うに見合ったものなのかは考えておいた方が良い。





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