怪しい

書店に平積みになっていた『あやしい投資話に乗ってみた』という本を手に取って読んでみました。

これは読み物として面白い!

著者は 藤原久敏氏というファイナンシャルプランナー(FP)の方なのですが、本のタイトル通り、いろいろ怪しい投資に手を出しています。

目次からしても非常に怪しい投資が並んでいます。
1章 未公開株を買ってみた
2章 新規公開株を買ってみた
3章 和牛オーナーになってみた
4章 海外ファンドを買ってみた
5章 超高金利の銀行に預金してみた
6章 FXで新興国通貨に投資してみた
7章 先物取引をやってみた

未公開株編

未公開株は「未公開株を買いませんか?」という業者の人に会って話を聞いてみたり(さすがにここは投資しなかったようですが)、グリーンシートを使って何社か投資して痛い目を見ています。
何社にも投資し、上場を果たした会社はなく倒産した会社もあるという結果です。

新規公開株編

新規公開株(IPO)は本書の中では比較的真っ当な投資法です。実際に公募価格よりも初値が高くつく銘柄は多く、うまく儲けることも可能です。
しかし、藤原氏も体験されていますがIPOは簡単には当たらない。そもそも当たらなければ儲けることは不可能です。仮に当選したとしても、当選しやすい銘柄=人気がなく値上がりが見込みにくい銘柄ということが多く、IPOで当選したのを買っていけばいいわけではあり、ません。
藤原氏はジャパンディスプレイでやられています。

和牛オーナー編

和牛オーナーでは、かの有名な安愚楽牧場に長年投資していたようです。しかも、セミナー等でことあるごとに安愚楽牧場に投資していることを喧伝していたようで、安愚楽牧場の破綻が明らかになった後には受講者から「どうなりました?」と聞かれたそうです。

海外ファンド編

海外ファンド編も「海外には素晴らしいファンドがあり、絶対収益追求型なので安定しており、年●%で…」というファンドに投資してリーマンショックを受けた結果が書いてあります。
私が取り上げていたアブラハム・ホールディングスいつかはゆかしではありませんが、本書ではこれについても書いてあります。

高金利の銀行編

日本振興銀行、ペイオフ、以上。

FXで新興国通貨

南アフリカランドにスワップ狙いという素敵な投資方法です。2007年までに積み上げて多少のナンピンが追い付かず、FXの損失を本業で埋めるという本末転倒な事態で強制ロスカットになったようです。
これに懲りて二度とFXなどやるかと誓ったようですが、最近になって(南アフリカランドは金利が低くなっていたので)トルコリラに手を出して痛い目を見ているようです。
懲りない…

●先物取引

こちらは軽く遊んでみた程度ということで少しのマイナスで撤退しています。先物取引をやっている人の心境が書かれています。


論理的な投資方法のお勉強はできない本です。
また、「こんな投資に(いくつかはまじめに)手を出している藤原氏はFPとして信頼できるのかな?」と思わせるような本です。

しかし、「怪しい投資話を実践してみてその内容を公開する」という、普通の投資関連本とは切り口が違うこの本は読み物として非常に面白かった。
投資本が似たり寄ったりになっている中では新鮮でした。



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