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日本ではこの2月に関東や東北などを中心に記録的な大雪に見舞われました。
積雪記録の観測史上最高を更新した地域が多数あります。甲府などでは大きな騒ぎになりました。

天下の上杉隆御大が山梨の大雪災害がぜんぜん報じてられていないとも書いていますが、今回の大雪でこのような「ちゃんと報道されていない。しっかり報道せよ。」という意見は散見されます。
※上杉隆大先生の立派な活躍はこちらなどをご参考に ⇒ 前代未聞の過去記事の一括訂正


しかし、これは「取材して放送すればいい」とそう単純な問題ではないでしょう。

以下に報道すべきか悩ましい理由を挙げてみます。

(1)マスコミの取材が引き起こす問題

マスコミが各種活動を邪魔するというケースがあります。
阪神淡路大震災や新潟中越地震で良く言われたのは、取材のための中継車やマスコミ車両が道路を占拠していて災害復興等の邪魔になったという声。また、マスコミが映像をとるためにヘリを低空飛行させることで家屋の倒壊等の危険があったという話もあります。
救助隊等が簡単に到達できない状況でマスコミが報道するために取材に行けば、それが十分に迷惑をかけることもあるわけです。ただでさえ救助隊が通る道がない中で取材用の車を止める場所を確保するのは誰がやる?


(2)2次災害の可能性

今回の積雪では除雪作業員と一時連絡が取れないという話や除雪車が脱線などという話もありました。このように除雪作業をしている人たちも危険にさらされています。
積雪で取り残されているところを取材しようとすれば、それこそ2次災害の可能性があります。一方、踏み込まなければ大したニュースにはなりません。(「ネットのつぶやきでは●●ってことになっているらしい」では報道できないでしょう)


(3)そもそもマスコミが報じたところでどうなる?

また、そもそもリアルタイムで報道する意義があるかも疑問です。大地震の場合は、被害にあった後の被災地での長い生活における支援等があるので、被災地の状況を伝えることに意義はあります。それによって必要な支援物資、寄付金、ボランティア等が集まったりと各種支援に影響を与えます。
しかし、今回の積雪被害で電車や車に取り残されている人たちのことを報道しても何の意義があるのか。彼らが無事に救出されればおしまいの話であり、その報道を聞いたところで外部の人にできることはありません。
車に取り残された人たちのケアは地元住民が食料を渡したり、救助隊が頑張ったり…としている話でそれは全国ネットの報道がなくても起こっている事です。

マスコミがリアルタイムで報じたところで、今回の災害救助に大した影響がなく害を及ぼす影響もあるということを考えると、必ずしもリアルタイムで報じることが良いこととは言えないでしょう。
「リアルタイムでもっと報じるべきだ」という声は聞きますが、なぜそうすべきかという声は聞きません。(私のアンテナの感度が低いだけかもしれませんが)

逮捕された殺人事件の犯人の過去について詳しく報じるワイドショーなどもそうですが、視聴者の知りたいという好奇心を満たす以上ではない報道については、報道の量やタイミングについてもう少し考えられてもいいんじゃないですかね。

※「国道●号線が▲▲から■■の区間で通行止め」「○線は全線で運転見合わせ」「今夜からは雨も予想され…」のように視聴者が今後の行動を起こす上で役に立つ情報にはリアルタイムでの報道に意義があるかと思います。


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