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投資のパフォーマンス、特に投資信託の話をする時にコストの重要性は意見が割れることがあります。

例えば以下はその一例です。
  • コスト重要派
    • 値動きはどうなるか分からないが、売買手数料や信託報酬でかかるコストは確実
    • 期待リターンが数%/年の中で0.数%/年は十分に影響は大きい
  • コストはそれほど重要じゃない派
    • 株なんて1日でも数%、月や年なら数十%も動くのだから年0.数%程度のコストなんて大したことない

    そこで、「コストが投資パフォーマンスにどれほど影響力があるのか」を少し整理します。

    信託報酬1%の日経平均連動インデックスファンドがあったとします

    ●1日の値動きを考える
    コストの1%を日割りすると1/365になるので、0.00274%です。一方、構成銘柄の株価変動による影響は数%ということはしょっちゅうあります。
    試しに2013年の日経平均の日次変化率を計算したところ、以下のようになりました。
    • 平均値=1.298%
    • 中央値=1.043%
    • 最大値=7.316%
    構成銘柄の値動きの平均値:コスト = 1.298%:0.00274%
    ⇒「構成銘柄の値動きの平均値= コストの473.8倍


    この473.8倍をボラティリティ/コスト比率などとすれば、コストの影響は非常に小さく投資判断においてかなり無視してよいと言えるでしょう。

    しかし、期間を延ばすと違った風景が見えてきます。

    ●1年の値動きを考える
    コストは1%です。 1日→365日と期間が365倍になるとコストも365倍と比例して増えます。
    一方、「構成銘柄の値動き」は1950年~2013年の年次データで計算しました。
    • 平均値=22.26%
    • 中央値=16.60%
    • 最大値=118.4%
    当然、日次の365倍にはならず、だいたい日次の16倍というところです。

    構成銘柄の値動きの平均値:コスト = 22.26%:1% ⇒ 「構成銘柄の値動きの平均値= コストの22.26倍
    ボラティリティ/コスト比率は22.26倍と、日次の時と比較してずいぶん小さくなりました。

    短期での決済においてはコストの影響度は小さいが、期間を延ばすとコストの影響度は大きくなります。これが長期投資においてコストは重要と言われる理由でもあります。


    ※短期売買でも頻回に取引をすればその積み重ねは大きくなるので、短期トレーディングはコストを無視していいという話ではありません



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