14年度の年金支給、0.7%の減額決定 (日経新聞)
 厚生労働省は31日、2014年度の公的年金支給額を0.7%引き下げると発表した。国民年金と厚生年金を受給する全ての人が対象で4月分から変更する。国民年金を満額で受け取っている人は13年度と比べ月額で475円減の6万4400円となる。厚生年金を受け取る標準世帯では同1666円減の22万6925円だ。
公的年金のマクロスライド未発動分の引き下げ改定が行われました。

公的年金はしばしば話題になります。話題になり方はいろいろありますが、特に多いのが今回のように、現行のままだと制度が持たないための変更です。このブログでも何度か取り上げています。


問題の火種となるのは「世代間格差」
老齢年金を受給しだしている世代何十年後に老齢年金を受給する世代ではずいぶん格差があるのではないかという話です。

例えば、昔の世代は60歳から満額受給ですが、何十年か受給する世代は65歳開始と受給開始年齢が5年後ろにずらされています(更なる引き上げも)。
支給額についても、所得代替率でみると62.3%(2010年/実績)→50.1%(2038年/厚労省の"楽観的"見通し)と下がります。

年金を運用する上で、収支が赤字でそのままでは制度維持が困難であれば制度を変更すること自体は仕方ないでしょう。そして、収支が赤字ならやるべきことは基本的には2パターンです。
  • 収入を増やす
    • 保険料を増額する、保険料徴収期間を延ばす、対象者を増やす(サラリーマンの夫を持つ専業主婦を入れる)、等々が考えられます。
  • 支出を減らす
    • 給付額を減らす、支給開始年齢を遅らす、支給対象者を減らす、等々が考えられます。

現状のままでは制度維持が難しく制度変更を逼られている年金改革の中身を超単純にしてイメージ化すると以下のような感じです。
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何やら「貰い損世代」への負担が大きくないでしょうか。

道徳的に考えてみます。
ある仕組みの中で貰いすぎの人と貰い損の人がいて、そのままでは破綻するという場合、まずは貰いすぎの人に何とかしてもらいましょうというのが筋じゃないでしょうか。
しかし、年金制度改革では「貰い損の人への負担」「両者への負担」ばかりです。何か「貰い得世代のみ」もしくは「貰い得世代の方が負担が大きい」ような負担があってもいいんじゃないでしょうかね。

例えば、時限付きで給付額を下げる手も考えられます。今後10年間は[年齢-60]%を老齢年金受給額から減額するとか。こうすると70歳だと10%減額、80歳だと20%減額…となります。(0.数%の引き下げでもオオゴトですから上のような10%や20%も下がるような改定が通る可能性は非常に低いですけど)
「君たちがたくさんもらっちゃうと後の世代がもらうお金がなくなるからちょっと我慢してね。もう保険料の納付額と比較したら十分なリターンは受け取ったでしょう」ということです。

実際には、受給世代の政治的影響力や、受給額引き下げによる社会的影響などを考えると、貰い得世代のみに負担を求めるような仕組みの実現可能性は低いでしょう。
ただ、世代間の貰い得/貰い損というギャップは存在するわけで、制度を維持するにしても貰い得世代にもう少し負担してもらわないと貰い損世代の不満は残るのではないだろうか。



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