私も記事を転載いただいているBLOGOSにて、近藤駿介氏の投資後進国ならではの「投信の監督強化」 〜「長期投資」は目的ではありませんという記事を読みました。
近藤氏は「ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来ました」とのことですのでまさに金融業界にかかわれてきた方です。

が、そのような方でも「日本人の投資=日本株、アメリカ人の投資=アメリカ株」というイメージに囚われているようです。

平均保有年数2年強は短期間で、米国の平均保有年数3.5年が「長期保有」で「健全な投資信託市場」であるかのような指摘には、正直、首を傾げずにはいられません。
要するに、特にバブル崩壊後の日本の株式市場では、「長期保有」をするとプラスの収益を得られる確率も得られる収益も下がってしまっているのです。ですから、意図した結果か否かは別として、平均投資期間が米国に比べて短いのは、合理的な判断だともいえるのです。
要するに、特にバブル崩壊後の日本の株式市場では、「長期保有」をするとプラスの収益を得られる確率も得られる収益も下がってしまっているのです。ですから、意図した結果か否かは別として、平均投資期間が米国に比べて短いのは、合理的な判断だともいえるのです。

近藤氏は上のように日本株の成績が悪いから日本の投資信託環境においては保有期間が短いのが合理的と述べています。


ここに論理的な大きな誤りがあります。
近藤氏は「日本株式市場&日本投信市場」「アメリカ株式市場&アメリカ投信市場」としています。ところが、日本の投資信託は日本株に投資するものばかりではありません。

投資信託協会の公募投資信託の資産増減状況(実額) 株式投信の新商品分類内訳で前年の公募投信の設定額/解約額を見ると国内株式は以下のようになります。
2012年 設定 2012年 解約

日本株は設定/解約額共に全設定/解約額の10%台半ばに過ぎません。(なお、前年の2011年を見ても設定で15%、解約で13%のシェアとなっています。)

つまり、日本の投資信託において売買されているのはほとんどが日本株式以外であり、日本株式市場のパフォーマンスで投資信託保有期間を語ることは問題があります


いまや日本の投資信託の主流は海外の各種債券です。海外REITもあります。「海外アセットが人気を集め、海外アセットが売買される場」が日本の投資信託市場です。(直近はアベノミクスなどといって日本株の取引も盛況になっていますが)

日本株式市場の低迷を持って「投資信託なんて儲からない」と語られることもありますが、金融関連業務に20年以上もかかわっているという近藤氏でも日本の投資信託と日本株をほぼイコールで結び付けてしまうことがあるようです。


日本人の投資=日本株という思考の罠は根深い・・・

投資信託は自国の株式にに限らず、世界のさまざまなアセットに投資できる金融商品です。


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