ワインファンドなるものがあります。
内藤忍氏などが推奨していることもあって知りました。

ワインファンドとはどんなものだろうと思い、その一つであるVIN-NET(ヴァンネット)のサイトを見てみました。

結論から言うと非常に怪しげな臭いで大多数の人は手を出すべきではなさそうです。

ワインファンドに関する説明がご都合主義になっており信用できません


通常の公開株に投資する投資信託などでも基本的には良いことが強く喧伝されますが、そのレベルではなく、過去にいくつも存在した問題となった金融商品に近い印象です。


http://www.vin-net.co.jp/intro/index2.htmlというページに以下の3つの項目があるのですが、まずはこのページに注目しました。
 ●投資メリットと安全性は?
 ●投資のリスクは?
 ●投資するワインは?

まず「投資メリットと安全性は?」という見出しでページの最初に書いてある文書がなかなかに秀逸です。
ワイン投資の一番のメリットは、最悪の場合ただの紙切れに成ってしまう債券等と違い、銘醸ワインという現物が必ず有ることです。
ワイン投資は値下がりすることのない投資と言えます。

「ワイン投資は値下がりすることのない投資と言えます」と値下がりしない投資と断定的に言いきっています。これはかなり怪しいものです。


また、続く文章が不思議な上に内容も危うい。
ある年のある銘柄のワインは最初の生産量が決まっており、ワインが消費されることにより絶対数が減ることはあっても増えることはありません。したがって供給量が年々減っていく為に希少価値が上がり価格が上昇します。勿論、投資する期間、銘柄、収穫年により上昇率は異なります。

ある年に生産されるワインは当然翌年以降には作られないので、最初の一文は同意です。
しかし、2番目の文章が少し不思議です。「供給量が年々減っていく」とありますが、ある年のワインが生産されるのは1年限りなので「供給=生産」という意味なら年々減ることはありません。翌年以降は0です。
生産ではなく「供給=市場に出回る量」なら、必ずしも年々供給量が減っていくとも限らないでしょう。希少なワインであればコレクターのため込み具合などで市場に出回る量は増減するはずです。
年々供給量が減ると言い切るのはちょっと不思議です。


そして、問題と思われるのは「供給量が年々減っていく為に希少価値が上がり価格が上昇します」のように価格上昇を言いきっていること
また、ダメ押しするように「勿論、投資する期間、銘柄、収穫年により上昇率は異なります」と銘柄によって上昇率は異なるが、どんな銘柄でも上昇するかのように書いています。(前後の文脈から判断して、この上昇率がマイナスの数字を取るようには読めません)

格付けの高い国内債券に投資するファンドでも「安定的なリターンが期待できる」のように書き、このワインファンドのように「値下がりすることのない投資と言えます」などとは言いません。


やたらと安全性を強調するのは、問題となった過去の金融商品の定番ネタと同じであり非常に不安にさせる誘い文句です。


「投資のリスクは?」というところで「現物価格は内外の経済動向、天候、作柄その他様々な要因により変動するため、収益予測が困難」と言いながら、希少性という1点から「ワイン投資は値下がりすることのない投資と言えます」と言ってしまうあたりにも非常に不安を感じてしまいます。


現在のところは利益も出ているようですし、実態が分かっていない私が外から見ての評価なので的外れな指摘かもしれませんが、少なくとも外から見る限りは問題があった金融商品たちと区別がつきません。

 ●海外崇拝の海外モノはなんか凄そう × やたらと安全性を強調 = 敬遠

普通の投資家にはお勧めできる投資商品ではない、というのが私のワインファンドに関する感想です。


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