ファイナンシャルプランニングは脚光を浴びています。(たぶん)
子どもの教育費も年々上昇し、サラリーマンの平均年収もやや低下傾向、公的年金制度の先行きも怪しい…と言ったこともあり、老後を迎えるにあたっていくら貯めなくては…という話も盛り上がっています。
そんなファイナンシャルプランニングにおける大前提は2つのタイプに分けられます。
(1) 自分自身(及び配偶者)の人生で完結する
(2) 自分自身(及び配偶者)の人生で完結しない
この前提の違いによって大きく異なります。
(1) 自分自身(及び配偶者)の人生で完結するファイナンシャルプランニング
今では主流な考え方でしょう。以下のような言葉はこの前提から出てくる答えだと思います。
●老後に必要な資金は○円だから毎月△円ずつ貯蓄する
●年齢が上がったら株式投資の割合を減らしてリスクを下げる
●リバースモーゲージ
これは自分が生きている間にお金が枯渇しないようにすることが目的です。
「60歳時点で3千万円」のように貯めるべき目標額は決まっており、必要な資金が貯められれば、それがゴールになります。ゴールに達成した後はリスクを取った運用はしなくてもよい、のようになります。そうすればプラン通りの人生を過ごせる可能性が高くなり、合理的な解です。(当然、支出はコントロールできている前提です)
(2) 自分自身(及び配偶者)の人生で完結しないファイナンシャルプランニング
補足すると、自分が全部を使い切るのではなく資産を引き継いでいく考えです。これはファイナンシャルプランニングの非主流に思えます。
(1)の「自分自身(及び配偶者)の人生で完結する」前提では、資産が増えれば運用する必要はありません。むしろリスクを抑えて不動産や株式などはなるべく安全性の高い国債等に移すことが推奨されることになります。
しかし、現実的には多くの資産を持っている人程、リスク資産の割合が多い傾向があります。
少し古い2005年のデータに基づいた資料ですが、野村総研の調査によるとリスク性資産の割合は以下のようになっており、資産があるほどポートフォリオにおけるリスク性資産の割合が高くなっています。
・超富裕層 : 71%
・富裕層 : 67%
・準富裕層 : 57%
また、(1)の前提では高齢になるほど取り返すチャンスが少なくなるのでリスク資産は減らせ…が教科書的な回答ですが、野村総研の調査では世代別に富裕層のリスク性資産の割合を見ると、以下のように高齢世代の方がリスク性資産が多くなっています。
・59歳以下の富裕層 : 61%
・60歳以上の富裕層 : 70%
彼らの多くは自分でこの資産を消費しつくすことは考えていません。次の世代に財産を引き継ぐことをスコープに入れています。
資産運用が世代を超える期限の定めがない場合には、その時の主運用者の年齢に応じてリスク資産の比率を下げるのは非合理的です。運用者の年齢に関係なく適切と思われる比率で投資することが合理的になります。
ここからが考察。
(1) 自分自身(及び配偶者)の人生で完結するファイナンシャルプランニングが今では主流と書きましたが、何故でしょう?
これはサラリーマンが増えたことが理由ではないかと思うのです。サラリーマンは会社から給与をもらい、それで生活します。老後の資金もそこから蓄えて賄うのが一般的です。サラリーマンが持っている資源は自分の労働力になります。
このような人が増えると自分の資産は自身及び配偶者で完結し、子どもは子どもで同じように自分で稼いでもらうというサイクルになります。リバースモーゲージのような家を抵当に入れて資金を借りて、死後に家を売って清算という流れにもなります。
しかし、自営業者などの場合はそうではないはずです。
農業をしていれば保有している土地などの資源は自分の代で無くしていいものではありません。次の代に受け継ぎます。漁業における船も同じですし、個人/家族経営の商店などでも同じです。資産は自分の人生のみで完結するものではなく、上から下へ引き継ぐものです。
自営業も多かった当時はファイナンシャルプランニングという言葉は無かったでしょうが、必ずしも(1)自分自身(及び配偶者)の人生で完結するファイナンシャルプランニングの考え方が主流であったとは思えません。
「たくさん資産を持っているなら運用する必要はない」という声もありながら、たくさんお金を持っている人たちほど運用しているという現実があります。
前者は(1)自分自身(及び配偶者)の人生で完結するファイナンシャルプランニングと、後者は(2)自分自身(及び配偶者)の人生で完結しないファイナンシャルプランニングを前提にしています。
どちらが正しい/間違っているという話ではなく、ファイナンシャルプランニングを考える時にはこの2つの異なる前提があることを考えておいた方が良いでしょう。
子どもの教育費も年々上昇し、サラリーマンの平均年収もやや低下傾向、公的年金制度の先行きも怪しい…と言ったこともあり、老後を迎えるにあたっていくら貯めなくては…という話も盛り上がっています。
そんなファイナンシャルプランニングにおける大前提は2つのタイプに分けられます。
(1) 自分自身(及び配偶者)の人生で完結する
(2) 自分自身(及び配偶者)の人生で完結しない
この前提の違いによって大きく異なります。
(1) 自分自身(及び配偶者)の人生で完結するファイナンシャルプランニング
今では主流な考え方でしょう。以下のような言葉はこの前提から出てくる答えだと思います。
●老後に必要な資金は○円だから毎月△円ずつ貯蓄する
●年齢が上がったら株式投資の割合を減らしてリスクを下げる
●リバースモーゲージ
これは自分が生きている間にお金が枯渇しないようにすることが目的です。
「60歳時点で3千万円」のように貯めるべき目標額は決まっており、必要な資金が貯められれば、それがゴールになります。ゴールに達成した後はリスクを取った運用はしなくてもよい、のようになります。そうすればプラン通りの人生を過ごせる可能性が高くなり、合理的な解です。(当然、支出はコントロールできている前提です)
(2) 自分自身(及び配偶者)の人生で完結しないファイナンシャルプランニング
補足すると、自分が全部を使い切るのではなく資産を引き継いでいく考えです。これはファイナンシャルプランニングの非主流に思えます。
(1)の「自分自身(及び配偶者)の人生で完結する」前提では、資産が増えれば運用する必要はありません。むしろリスクを抑えて不動産や株式などはなるべく安全性の高い国債等に移すことが推奨されることになります。
しかし、現実的には多くの資産を持っている人程、リスク資産の割合が多い傾向があります。
少し古い2005年のデータに基づいた資料ですが、野村総研の調査によるとリスク性資産の割合は以下のようになっており、資産があるほどポートフォリオにおけるリスク性資産の割合が高くなっています。
・超富裕層 : 71%
・富裕層 : 67%
・準富裕層 : 57%
また、(1)の前提では高齢になるほど取り返すチャンスが少なくなるのでリスク資産は減らせ…が教科書的な回答ですが、野村総研の調査では世代別に富裕層のリスク性資産の割合を見ると、以下のように高齢世代の方がリスク性資産が多くなっています。
・59歳以下の富裕層 : 61%
・60歳以上の富裕層 : 70%
彼らの多くは自分でこの資産を消費しつくすことは考えていません。次の世代に財産を引き継ぐことをスコープに入れています。
資産運用が世代を超える期限の定めがない場合には、その時の主運用者の年齢に応じてリスク資産の比率を下げるのは非合理的です。運用者の年齢に関係なく適切と思われる比率で投資することが合理的になります。
ここからが考察。
(1) 自分自身(及び配偶者)の人生で完結するファイナンシャルプランニングが今では主流と書きましたが、何故でしょう?
これはサラリーマンが増えたことが理由ではないかと思うのです。サラリーマンは会社から給与をもらい、それで生活します。老後の資金もそこから蓄えて賄うのが一般的です。サラリーマンが持っている資源は自分の労働力になります。
このような人が増えると自分の資産は自身及び配偶者で完結し、子どもは子どもで同じように自分で稼いでもらうというサイクルになります。リバースモーゲージのような家を抵当に入れて資金を借りて、死後に家を売って清算という流れにもなります。
しかし、自営業者などの場合はそうではないはずです。
農業をしていれば保有している土地などの資源は自分の代で無くしていいものではありません。次の代に受け継ぎます。漁業における船も同じですし、個人/家族経営の商店などでも同じです。資産は自分の人生のみで完結するものではなく、上から下へ引き継ぐものです。
自営業も多かった当時はファイナンシャルプランニングという言葉は無かったでしょうが、必ずしも(1)自分自身(及び配偶者)の人生で完結するファイナンシャルプランニングの考え方が主流であったとは思えません。
「たくさん資産を持っているなら運用する必要はない」という声もありながら、たくさんお金を持っている人たちほど運用しているという現実があります。
前者は(1)自分自身(及び配偶者)の人生で完結するファイナンシャルプランニングと、後者は(2)自分自身(及び配偶者)の人生で完結しないファイナンシャルプランニングを前提にしています。
どちらが正しい/間違っているという話ではなく、ファイナンシャルプランニングを考える時にはこの2つの異なる前提があることを考えておいた方が良いでしょう。
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先般満60歳になり、年金事務所に請求手続きに行って来ました。その時オークと妻の90歳までのライフプラン年表を作成して資産棚卸をして下記にまとめました。
60歳から65歳まで(リスク資産はそのまま運用)
オークのセミリタイアの給料・妻のパート給料・オークの年金(減額あり)リスク資産からのインカムゲイン、自宅+海辺の土地(借金無)年2回の海外旅行、仲間との月1回のゴルフ、など楽しむ。
65歳から(リスク資産を取り崩しつつ運用続ける)
日本株式(20%)海外株式(35%)海外債券(25%)日本リート(20%)今迄積み立てた円による投信+ETFをこの比率を維持しながら計画的に取り崩し、できる限り長持ちさせる。
セミリタイヤを終えて、年金生活(フル)に入り足りない部分を取り崩し、人生の楽しみ(旅行・遊び)を満喫する。
基本的に取り崩さず運用を続けるリスク資産
円高を利用してドルを定期的に買い付け今迄取り組んだドルによるアセアロを継続投資する。BND (40%)
VTI(25%)VWO(15%)VGK(10%)GSG(10%)このリスク資産は将来の「投資の楽しみ」にする。