その過剰な臆病さから利益を出せない日本の輸出企業

昨年から続いている円安基調は止まらずに、先のX月X日に久しぶりに1ドル100円の水準を突破した。
自国通貨安は輸出企業にとってはプラスであり、長らく円高で苦しめられていた国内メーカーにとってはこの円安は追い風になるはずだった・・・

しかし、足元の国内メーカーの業績は冴えない。円安で利益は伸びているものの収益改善ペースは遅い。これは国内メーカーがその臆病さから円安メリットを自ら放棄してしまったことが原因だ。

2012年に1ドル80円を切る超円高と言える水準まで円高が進行した時、国内メーカーはさらなる円高を恐れて円高対策に舵を切った。為替ヘッジ、為替マリー、海外への拠点の移動などである。円高で為替損を出ないようにするということは裏を返すと円安によって利益が出ないということである。つまり、国内メーカーは超円高進行時にさらなる円高を恐れることで、円安に戻る時の利益を放棄したのである。これが裏目に出た形だ。

しかし、これを「運が悪かった」で片づけていいものだろうか。為替は円安に進むこともあれば円高に進むこともあるものである。1ドルが80円を切るという歴史的な超円高時にさらなる円高に備える対策をしたのは慎重すぎたのではないだろうか。

現に日本が円高で苦しんでいる時、サムスンやLGといった韓国勢はウォン安を利用して急速に事業を拡大して利益を伸ばした。彼らは自国通貨安という為替の波をもしたたかに利用したのだ。円安によって今度は日本がその恩恵を受ける順番になるはずだったのだが、日本企業はそれを自ら放棄してしまった。

不確定な為替変動をも利用する韓国企業に対して、不確定な要素をただただ恐れた国内メーカー。モノづくりの技術のみならず、ここでも国内メーカーは後れを取っているのかもしれない。

上記は完全に私の妄想記事ですが、仮に近いうちに円安反転があっても円高対策によって自国通貨安メリットを十分に享受できなかった(と説明できそうな)場合、こんな報道をするメディアがあるのではないかと思っています。


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