多くの人は覚えていないでしょう。



競馬やパチンコなどのギャンブルをやっている人に「儲かっている?」と聞くと、「儲かっている」とはいかなくても「それなりに」「トントン」というような回答を比較的よく聞きます。寺銭を取られているギャンブルにしては「儲かっている/損していない人」が多すぎる気がします。

これは人間の脳のゆがんだ仕組みが生む錯覚です。

一般的に、過去の思い出は美化されます。
学生時代に辛かったはずの受験勉強や部活の練習も、大人になった今はいい思い出になります。今より貧しくて空気は汚くて治安が悪かったAlways三丁目時代を古き良き時代と錯覚します。

生物として生き残るためにはいつまでも悪い思い出を引きずっていては大変なので、悪い記憶は劣化していくというのは理にかなった仕組みです。それも人類が今地球上に存在している原動力の一つと言えるかもしれません。

しかし、「投資で儲かっているのか?」という問いに答えるにはよろしくない仕組みです。
このおかげで儲かった時に記憶が強く残り、損した時に記憶は弱くなるので、「儲かっている」「そんなに損はしていない」と事実と異なる回答をしがちになります。
このようなあいまいな記憶に頼るのは不安です。損益をしっかり記録していればこそ儲かって/損しているのかがしっかりと分かります。記憶頼みの「儲かっている」はあまりあてにしない方がよいでしょう。(損していることを隠したいという見栄も加わることあり)


「おまえは今まで食ったパンの枚数をおぼえているのか?」 (by ディオ・ブランドー)



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