私が書いた生活保護ネタに寄せられたコメントにもありましたし、世間でも有力な意見として「クーポンなどにして使用用途を限定すれば、不正利用は防げて当初の目的に使われる」というロジックがあります。
しかし、以前も[子ども手当]バウチャー等の用途限定は無意味と書きましたが、用途限定はほとんど効果がありません。


アフリカの途上国の教育支援を考えます。

無条件で現金を渡すとと軍事費などに使われたりして国民まで行き渡りません。
そこで、学校運営/教材などの用途に限って使えるお金として渡すことがあります。これで問題は解決するように思えますが国民は豊かになりません。

支援されたお金は学校運営/教材などの用途に使われます。
しかし、下図のように従来学校運営/教材などに回していたお金を軍事費などに回してしまうのです。
Shien

支援部分だけを見れば目的のところに使われますが、従来の正しい目的で使われていたお金が不正利用に流用されるだけで軍事費を渡したのと同じ結果になります。


生活保護費や児童手当のケースを考える
不正受給した生活保護費や子育て支援のための児童手当のパチンコ流用も同じです。
下図の右側のように、生活保護費や児童手当そのものは正当な利用に限定できても、それで浮いたお金を遊興費に使えてしまいます。
shien04

結局のところ、クーポンにすると部分最適は可能ですが、全体でみるとあまり効率的ではないことが分かります。


じゃあ、「遊興費に回す余裕がないくらいに"きつーく"支給額を絞ればいいんだ」という意見も出てきそうですが、そうなると今度は誠実な受給者が損を見ることになり、本来の制度の意義がなくなってしまいます。
(子育て世帯支援のはずの児童手当は支給されない。生活保護はどんなに工夫しても1円もパチンコに回す余裕がない額しか支給されない)


※参考1:[子ども手当]バウチャー等の用途限定は無意味
※参考2:続・用途限定支援の欠点 (アフリカ支援)


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