前回のエントリー(アクティブ vs パッシブ (実力で決まるとしたらどっちが有利))にはツッコミどころがあります。

それは、「皆が努力を尽くすプロスポーツリーグと違って、資産運用の世界では全員が必ずしも努力するわけではない。だから、努力をすればそのような下手くそから奪い取ることができる」というツッコミが最大のポイントではないでしょうか?

これは首肯できます。
確かに実力で決まる世界の場合、あまりにも実力不足の素人がいれば彼らから稼ぐことができます。そして、投資の世界にはド素人投資家も混ざっています。


しかし、それでも簡単に個人投資家にアクティブ運用を勧められません。
問題は誰が奪い、誰が奪われるかです。


先のプロスポーツリーグ戦では、ほぼ実力順に比例して勝敗数が決まりました。
ある意味、以下のような直線の関係になります。
Simple

しかし、現実のマネー関係ではこのような直線関係の分布にならないことが多い。
各世帯の平均貯蓄額、所得の分布などのように一部が巨額を得て、平均以下が半数以上という分布になりがちです。Winner takes allという世界でイメージは以下。
WinnerTakes

投資の世界が実力で決まるのであれば同じような分布でしょう。
実力者は雪だるま式に資金を増やしてその資金で圧倒的に稼ぎ、資金を供給する者も集まるでしょう。その結果、トップは年あたり数千億円〜という額を稼ぐことになります。

下手くそが失う金は彼ら一部の上位層が奪い取ります。実力が上位30%くらいのようなポジションに位置する人におこぼれはやってこないでしょう。下手すると、上位20%近辺に位置する者たちすらトップエリートのカモかもしれません。
完全に実力で決まる世界で資金量に制限が無いのであれば、真にWinner Takes Allという世界になりかねません。(100人いたとして、1位の人は100位も喰えますが、自分より実力が下の2位や3位を喰べることも可能です)

「投資は実力で結果が決まる世界」という前提に立った時、自分が喰う側に回れるのか、喰われる側に回るのかが重要です。

ヘッジファンドや投資銀行などプロの投資家たちが日々勝利を目指して戦っています。さらに、実力の反映度合いを強く想定するほど喰う側の人数は少なくなっていきます。
そのような前提条件で考えた時に「一介の個人投資家が喰う側に回れるか」を考えると、簡単にYesとは言えません。単純に平均値であるβを狙うパッシブ運用に徹した方が無難ではないかと思うのです。(もちろん喰う側に回れないとは断言できません)


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