最も複雑な仕組みを持っている公募投資信託はどのようなものでしょう?
スノーボードのハーフパイプでどんどん難易度の高い技が増えていくかのように、投資信託も複雑な商品が増えています。

投資対象は先進国の株式や債券のみならず、商品や新興国債券やCBなどにも拡大しました。
為替ヘッジプレミアムを利用した通貨選択型という2階建ての仕組みも生まれました。
そして、今ではオプションの売りを使ったカバード・コール戦略を組み合わせた商品まで出ています。

1,2年前ならば2階建て商品で勝負になったのですが、今ではレベルが上がって3階建てでないと勝負にならないレベルです。
そんな中で、私が選ぶ現時点の候補は以下4つ。


●エントリーNo.1 : 野村グローバル高配当株プレミアム
新技開発といえば何をおいても野村AMです。野村AMから候補を出さないわけにはいきません。その野村AMを代表する最高難易度商品として、このファンドをとりあげたい。
「高配当株」+「通貨選択型」+「カバード・コール戦略」としっかりと3階建ての基準はクリアしています。
さらにこのファンドには凄い点があります。それは為替ヘッジプレミアムをかける通貨を、ファンドマネージャが何十の通貨の中から5つを選ぶということです。
ファンドマネージャが選択し、選択通貨の候補が多い(野村AMの資料によると2011年8月末時点で、以下の30通貨)というのは際立った特徴です。
[対象通貨] カナダ、米国、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、中国、韓国、香港、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、日本、タイ、チェコ、ポーランド、デンマーク、ロシア、ユーロ圏、スウェーデン、ハンガリー、英国、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエル、南アフリカ、トルコ


●エントリーNo.2 : ダイワ米国株ストラテジーα(通貨選択型)
野村に続くのはダイワでしょう。ダイワからはNo1の野村のファンドと類似コンセプトのこのファンド。
「米国割安株」+「通貨選択型」+「カバード・コール戦略」という3階建てです。
こちらは野村の商品より王道です。為替ヘッジ通貨選択は投資家自身が選びますし、円・豪ドル・レアル・米ドルの4通貨と選択肢も少なくなっています。
特徴といえるのかはわかりませんが、ドイツ銀行グループが独自に開発したクロッキーモデルなる分析手法で割安と判断される40銘柄を選定するそうです。


●エントリーNo.3 : 楽天USリート・トリプルエンジン
ネット証券で人気の3階建て商品です。楽天証券に限らずSBI証券でも売上ランキングの上位に顔を出してきます。
「米国REIT」+「通貨選択型」+「カバード・コール戦略」の3階建てです。3階建ての特徴は先に語った2つのファンドと同じです。
このファンドの場合は、米国REIT部分がリンク債を使って投資している点がちょっとしたポイントでしょうか。


●エントリーNo.4 : T&D通貨トレード新興国社債
先の3つは全て3階建てファンドでしたが、このファンドは通貨選択型の2階建てです。しかし、ここで候補に出すくらいですので普通の2階建てとはわけが違います。
≪ここが凄いよT&D通貨トレード新興国社債≫
 1. 投資アセットが新興国の社債
 2. 米ドルとユーロはブルだけではなくベアも選択可能
まず、新興国の社債というアセットがすでに高難易度です。高配当株、米国株、US REITなどとはわけが違います。
次に通貨選択型でベアがあるのは初めてではないでしょうか?
2階建てではありますが、それぞれのフロアに際立った特徴があるファンドです。



これたのファンドを見ていても更なる進化が考えられます。野村とT&Dのファンドの考え方を組み合わせると面白いことになりそうです。
「新興国社債の劣後債を買い、豪ドル・ルーブル・ルピーをロングし、ペソ・レアルをショートして、何かのオプションを売る」なんてファンドもできそうです。こうなってくると、どんな値動きをするのかもはやよく分かりません。

2011年はまだ残っていますが、2012年にはどんなファンドが出てくるのでしょうか。


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