保険で貯蓄する危険性 (前編)では、保険会社の破綻の影響を受けることから、保険は社債に近い性質だと書きました。

つまり、保険で貯蓄を考える場合、保険会社の破綻リスクを考慮する必要があります。

仮に子どもの学費として300万円を貯める場合を考えます。
定期預金であれば、元本+利子は100%保護されます。
一方、学資保険では定期預金より高い利回りが掲示されている場合もあります。しかし、生命保険会社の商品である学資保険は生命保険会社の破綻の影響を受けるので、その数字だけを持って学資保険がいい商品とするのは危険です。

生命保険会社の破綻する可能性や破綻時に減額される金額を考慮した上で、定期預金より有利か不利かの判断がされるべきです。


意外と生命保険会社は破綻している

さて、日本人は保険好きと言われ多くの人が保険に加入しているように、あまり保険会社の破綻を考えていないかもしれません。
しかし、意外と生命保険会社は破綻しています。

生命保険契約者保護機構のサイトに「生命保険会社の保険契約者保護制度Q&A」があります。
Q4 生命保険会社が破綻した場合の手続について教えてください。」という質問の中に、過去の生命保険会社の破綻事例が記載されています。

生命保険契約者保護機構が設立された平成10年12月1日以降で7社が破綻しています。(平成9年には日産生命保険が破綻しています)

この破綻社数をどう見るか?

本当は、平成10年以降の生命保険の合併や新規参入の状況を調べて会社数を算出して、そこから破綻確率を求めたいのですが、そのデータが手元にありません。そこで、簡便法を使ってみます。
現在の生命保険契約者保護機構に加入している生命保険会社は47社です。 (参考:生命保険契約者保護機構会員会社一覧)
毎年の生命保険の会社数が今と同数の47社くらいだとすると、47社のうち7社が10年と少しで破綻したということになります。7社のうち1社程度は15年以内に破綻ともなると結構な確率です。

この数字を見ると、貯蓄を保険で行うことが怖いことだと思えてくるのではないでしょうか?


※注意
上では簡便法で7社中1社が倒産と書きましたが、簡単にはそう言いきれません。
戦後の破綻第一号が日産生命であり、戦後65年ほどで8社という言い方もできます。
また、倒産企業の多くは平成9年〜平成13年に集中しており、(個人的には賛同できませんが)この期間が異常であったという考え方もできます。
生命保険会社の破綻確率についてはよく分かりません。
ただし、ここ10年少しのうちに7社が破たんしていることや、保険業界の巨人であったアメリカのAIGですら倒れかけたという事実などは心に留めておくべきかと思います。


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