ネット証券4社の資産倍増プロジェクトのReportにも記事を書いていることもあり、投信の世界で注目を集めつつあるカブドットコム証券の臼田琢美氏。
その臼田氏が『ネットマネー 2011年 09月号 [雑誌]』にて面白い記事を載せていました。「目指せ賢者のスマートトレード!」という1ページの記事です。

 ●参考エントリー: カブドットコム証券臼田琢美さんに怒りをおぼえる (医師による積立投資信託de資産運用〜コツコツ投資〜)


イラストにインパクトがあります。
fund_fan
何もその1本のファンドで長期運用しなければならない理由はありませんよね。
 その時々で良さそうなファンドに乗り換えて、トータルで長期投資にしてもいいわけです。というか、その方が自然ではないでしょうか。なぜ、1本のファンドと何十年も心中するかのような運用をしなければならないのか。


臼田氏は、その時々で良さそうなファンドに乗り換えることのほうが自然だと言われていますが、何を持って自然と言われているのかがよく分かりません。

「その時々で良さそうなファンドに乗り換える」に関連して思い出すことが2つあります。

(1)歴史的名著の指摘
次々とファンドを乗り換えて長期的に投資を続けたケースが『敗者のゲーム』にも書かれていました。次々にファンドを乗り換えていった投資家は、平均的なファンドが上げるリターンより1/3も低いリターンしか得られないそうです。

(2)野村総合研究所のレポート
2011年4月19日の「投資家リターンはファンドリターンを下回る」でも取り上げたように、投資家のリターンはファンドがたたき出すリターンを下回るという野村総合研究所のレポートがあります。
invester_fund_return

ファンドを持ち続ければ「投資家リターン = ファンドリターン」ですので、ファンドを売買することによって「投資家リターン < ファンドリターン」となっています。一般的には、その時々でファンドを乗り換えると、ファンドを持ち続けるより得られるリターンが小さくなるということがアメリカでも日本でも実証的に報告されています。

さて、そのようなデータがある中で、「その時々で良さそうなファンドに乗り換えることのほうが自然」と臼田氏が言われるのはどういう理由なのでしょうか。

資産倍増プロジェクトでは「お客様の資産形成を全力で支援していくことが証券会社の果たすべき役割だと考え、今回、投資信託を取扱うネット証券4社が集まりました。」とうたっています。
その資産倍増プロジェクトのReportで記事も書いている臼田氏のこの発言は資産倍増プロジェクトの理念と相容れているのでしょうか?

4社共同での『“ネットで投信”フォーラム』も行うそうですが、「その時々で良さそうなファンドに乗り換えることのほうが自然」という説明がされるのか?そして、上のようなイラストが使われるのでしょうか?
気になります。


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