先の『投資信託の分配金=自動解約』というエントリーでは分配金利回りは自動解約率と同じだと書きました。
これに対して、「分配金が解約金と同じようなものでも、分配金利回りを高くできるファンドは儲かっているから多く分配できる。だから、高い分配金利回りのファンドを選ぶことは悪くない」という反論があるかもしれません。

しかし、これは違います。「高分配金利回り ≠ 成績が良いファンド」です。

【分配金利回りの計算式】 分配金利回り = 1年間分の分配金の金額 ÷ 基準価額

分配金利回りが高くなるには...
 (1)分子の「1年間分の分配金の金額」が大きくなる
 (2)分母の「基準価額」が小さくなる
のどちらかです。

「分配金利回りが高い=儲かっているファンド」という発想は、計算式の分子だけに着目した考え方です。しかし、現実には分母の基準価額も含めた2つの要素によって分配金利回りは決まります。

投資信託の運用成績が悪くて基準価額が下がれば分母が小さくなって分配金利回りが上昇します。つまり、運用が下手で基準価額が低迷しているファンドほど分配金利回りか高くなるとも言えるのです。

それでは現実的にはどうなっているのでしょうか?
具体的にファンドを見てみます。
 ※具体例を見るのが面倒くさい人は以下の比較は飛ばして【まとめ】までいってください

●総資産額1位のグローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)
最近(2011/7/19)の分配金は35円です。その時の基準価額は5079円です。この数字を使って分配金利回りを計算すると8.27%です。
なお、2年程前(2009年7月17日)には分配金は30円で、その時の基準価額は6319円でした。この数字を使って分配金利回りを計算すると5.70%です。
それ以前のグロソブは分配金が40円の時代が長く続きましたが、この時の基準価額は7000円台後半〜8000円あたりのゾーンにあり、分配金利回りは6%強でした。
 ・基準価額5079円:分配金利回り8.27%
 ・基準価額6319円:分配金利回り5.70%
 ・基準価額8000円弱:分配金利回り約6%

●総資産額2位の短期豪ドル債オープン(毎月分配型)
最近(2011/07/07)の分配金は100円で、基準価額は7911円です。
第1回(2003年6月9日)の分配金は35円で、基準価額は10650円です。
 ・基準価額7911円:分配金利回り15.17%
 ・基準価額10650円:分配金利回り3.94%

●総資産額3位の野村 G・ハイ・イールド債券(資源国通貨)毎月
最近(2011/7/15)の分配金は140円です。基準価額は8631円。
第1回(2010/6/15)の分配金も140円で、基準価額は8581円。
 ・基準価額8631円:分配金利回り19.46%
 ・基準価額8581円:分配金利回り19.58%

●ランキングでは6位ですが、大人気なREITの中で総資産額1位のラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)
最新の運用報告書(第77期〜第82期)を見ると、第53期〜第82期までの分配金が載っています。この数字を見ると第53期は基準価額10482円で分配金が100円です。第82期は基準価額4366円で分配金は70円です。なお、設立初期の頃は分配金は40円で基準価額は10000円〜12000円くらいでした。
 ・基準価額10482円:分配金利回り11.4%
 ・基準価額4366円:分配金利回り19.2%
 ・基準価額10000円〜12000円:分配金利回り4.5%程度

【まとめ】
基準価額が低いほど分配金を多く出しているファンドすらあります。
基準価額が低いほど分配金利回りが高くなる傾向があることが分かると思います。
このように分配金利回りが高いファンド=運用成績が低迷して基準価額が低迷しているファンドとも言えます。ラサール・グローバルREITが顕著なように、基準価額が一気に60%も減れば分配金利回りが高くなる道理です。

「高分配金利回り ≠ 成績が良いファンド」です。

むしろ、分配利回りの高さは最近の成績が悪いファンドを選別するための指標にもなりそうです。分配利回りの高さを逆張り指標として使うのは面白いかもしれません。


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