10年分の法人税還付を請求=過払い利息で得た利益課税分−武富士管財人 (時事ドットコム)
 会社更生手続き中の消費者金融会社「武富士」(東京)が、利息制限法の上限金利を超えて顧客から受け取った「過払い利息」による利益に課された法人税について、過去10年分の還付を国税当局に求める更正請求を昨年末に行ったことが4日、分かった。管財人の小畑英一弁護士が同日の記者会見で明らかにした。

これは面白い請求です。確かにグレー金利が無効だというならば、そこで儲けた利益も無効であり、その利益に課された法人税も無効だという主張は1つのロジックです。

武富士に限らず消費者金融は堂々とグレー金利で貸し出していました。誰でも知っている話です。それで得た利益を利益として報告して税金を支払っていました。国は長きに渡ってそれに対して一切の処分を加えてこなかったのですから、それで問題ないと認識していたと考えてもいい話です。だからこそ武富士もその条件で営業を続け、利益を稼いで税金を納めてきました。
ところが、ある程度期間が過ぎたところで、突然「グレー金利は無効だ。今後のグレー金利が無効なのではなく。遡及して適用する」と言ってそこで稼いだ利益を無効にしたのです。それなのに利益があったものとして計算された税金はいただくとなると、こいつは強力な嵌め込みです。

これが通用すると仮定すると、
怪しいビジネスがあっても黙認します。怪しいビジネスをする企業が利益を上げて税金を納めてくれます。10年くらいはこれで法人税をいただきます。国民の不満がたまって国への不満に変わりそうになったら、急に市民の味方かの顔をして「企業が悪い。奴らの行為は違法行為だ。今までの分を善良な市民に全部返せ」と命令します。でも、自分がその企業からいただいた税金は手元に貰ったままにして返しません。これでウハウハです。
返済を命じられた企業に返済金が足りなくて、被害者とされた人はお金が全額戻ってこなくても国庫に入ったお金は返しません。本来なら彼ら被害者が払ったお金の一部ですが返しません。


仮に法人税の還付が認められないならば、消費者金融の被害者と認定された人はどう思うのでしょう?
 ・武富士はグレー金利の貸し出しで多くの利益を得ました
 ・国は武富士がグレー金利から得た利益から法人税を貰いました
 ・国は武富士のグレー金利を違法としました
 ・武富士は違法行為で稼いだ利益の返還を求められました
 ・被害者の手元に過払い金が戻りつつありますが、武富士の原資が足りず全額は戻りません
 ・国の取り分は元は被害者の資金ですが被害者者救済に使いません


実際にはこんなに単純な構図ではありませんが、武富士が勝つか国(国税)が勝つか、見ものです。

なお、私は遡及的に認められたグレーゾーン金利違法判決からおかしいと思っているので、ここで法人税が還付されないとなるとかなりの怒りです。


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