よくレポートを探しにいく日本証券経済研究所で面白いレポートを見つけました。
深見泰孝氏「大手ネット証券を巡る最近の動向」(日本証券経済研究所)

詳しくはレポートを読んでいただくとして気になった点をメモ。

●ネット証券では個人投資家の売買代金がネット取引の9割弱
●収益の多くは売買手数料や信用取引の貸付金利息に依存している
●ネット証券は短期売買を繰り返すディトレーダーが主な顧客
●短期売買を繰り返すデイトレーダー向けの総合サイトを志向する戦略がとられている
●近年、ネット証券を利用した売買回転率が大きく低下している
松井証券では、月間株式売買回転率が2005年第3四半期2.45→2009年第3四半期0.69
●設立当初のネット証券各社は、総合証券化を目指していた
●SBI証券は、総合証券化は難しいとの判断から、まずはリテールNo.1を目指すと戦略を転換した
●楽天証券は、投資銀行業務も視野に入れていたが、IPOを中心とした法人業務はビジネスポテンシャルが低いため全面撤退した
●ディトレーダー向けの次なるアプローチとして、ネット証券は2007年頃からFX取引を本格化させた
●2010年3月にはSBI証券ではFXは営業収益に対する割合で14.4%を占めるまでに拡大した。
●マネックス証券や松井証券などでもFXは営業収益全体の5-6%程度に拡大している。
●ノーロード投信販売など長期投資家層の獲得に勤めているが伸びていない。営業収益に対して2-4%程度で伸び悩んでいる。
●説明が必要な投資信託のネット販売に限界を感じてSBIは店舗、楽天は外部のアドバイザーによる販売を実施しているが効果の程は怪しい
●SBIや楽天はポイント制度などを活用したグループ企業とのシナジー効果を狙っている


依然として、証券会社の人たちの給与は短期で売買を繰り返す顧客の落とす手数料で賄われているということです。少し前にはFX、最近ではCFDなどの商品も投下されていますが、これらも売買手数料を狙っての商品投入。

低コスト投信の長期保有なんてやっている個人投資家相手ではほとんど儲からないのは当然ですから、これらの扱いが小さいのは仕方ありません。特にETFへのリレー投資なんてやられた日にはたまったものではありません。低額投資の時だけ投信保有で信託報酬が取れてもまとまったお金になった途端にETFにいかれてしまっては全く儲かりません。
低コスト投信⇒ETFへのリレーを推奨する奴はネット証券会社の敵です。

このような現状ですが、ネット証券が景気動向に左右されないといわれる長期投資家から安定した収益を稼げる日は来るのだろうか。


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