このブログで何度も取り上げている子ども手当関連ネタです。

子ども手当の財源確保ということで、高所得者の配偶者控除廃止案などが報じされています。これに関してもに子ども手当不要論をよく見かけます。そして、子ども手当なんかより、出産一時金の増額や保育園の増設に当てろという意見もあります。
保育園の増設や出産一時金の増額は家計を助けるのでしょうか?


今回は出産育児一時金について。

出産時に出産費用の補助として、出産育児一時金があります。子育て家庭支援という理由でこの増額を求める声があります。しかし、これは家計を助けるのでしょうか?
出産育児一時金は2009年10月に38万円から42万円に引き上げられました。これで家計が助かったかというと・・・日本産婦人科医会の調査にあったように、値上げした病院が多数ありました。出産育児一時金が増額されても、その分が出産費用が増えたので、家計にゆとりを出す効果が小さかったのが実情でした。
「子育て世代支援としての出産育児一時金増額」派はこの現実を踏まえて主張しているのでしょうか?子ども手当が子どものために使われるとは限らないと言いますが、出産育児一時金は子育て世代の家計ではなく産科に渡ってしまいました。

出産費用」のような、どうしてもその時に必要な費用は、値上げをしやすい項目です。例えば、大学の学費も物価上昇率以上に上昇していますが、これも学歴が社会で重要だから大学に行くことが必要と思われているからこそ値上げできます。
特定の項目(例えば出産時のみ)にだけお金を払う形にすると、このような現象を呼び起こしやくくなります。
児童手当や子ども手当のような現金給付の場合は、このような値上げは起こりにくくなります。どこにお金が使うかは利用者側の判断ですので、勝手にあるサービス提供者だけが値上げをするのは難しくなります。所得税減税なども便乗値上げを引き起こしません。
出産育児一時金を増額した場合、増額分はどこかに消えうせるわけではありません。苦境の産科の収入アップにつながり産科にとっては助かる話です。しかし、出産育児一時金増額が、目的の子育て世帯支援になるかについては議論がなされるべきでしょう。一時金増額が本来の趣旨を果たせるようになるには、産科に関する医療制度・体制の変革まで考慮しないといけないのです。単なるポピュリズムで理念だけ立派で実効性がない政策のでは意味がありません。(これは子ども手当にも言えます)


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