投資信託に関するアンケート調査報告書-2010年(平成22年)
投資信託協会が実施したアンケートの結果です。

いろいろな観点での質問があって興味深いのですが、この中で『分配金の特徴認知状況』というセクションがありました(質問票では問10)。何かと議論の種になる「分配金」に関する項目です。

問10 次にあげる投資信託の「分配金」の特徴について、知っているものをお知らせください。(いくつでも)
(1)分配金額は、預金の利率のようにあらかじめ決まっているものではなく、運用成績によって変動する
 ⇒74.5%の人が知っていると回答
(2)分配金は投資信託の決算ごとに支払われる
 ⇒44.7%の人が知っていると回答
(3)分配金が支払われた額だけ、基準価額が下がる
 ⇒20.4%の人が知っていると回答

(4)投資信託の運用成績がよく、収益が出た場合は、その中から分配金が支払われる
⇒52.2%の人が知っていると回答
(5)投資信託の運用成績がよくないときには、分配金が支払われない場合がある
 ⇒49.0%の人が知っていると回答
(6)毎月分配金が支払われる商品がある
 ⇒45.9%の人が知っていると回答

質問の仕方に疑問符が付きもしますが、それはさておいて、「分配金が支払われた額だけ、基準価額が下がる」を20%しか知らないということは恐怖です。

分配金をほとんど出さないファンドばかりの場合は、この知識が無くても大きな問題にはなりません。
しかし、分配金をウリにする投資信託の購入者が多い昨今では「分配金が支払われた額だけ、基準価額が下がる」という知識がないのは致命的です。

基準価額に対して毎月1%前後の分配金を出す投資信託も少なくありません。分配金は基準価額の変動に多大な影響を与えています。それなのに分配金が出ると基準価額が下がることを知らないというのでは、資産運用として危険すぎます。

「毎月分配型」という投資信託の仕組みそのものへの議論もありますが、現実問題としては毎月分配という仕組みそのものよりも、分配金の仕組みを知らないのに分配金が多い投資信託に投資している人が多いことが問題なのかもしれません。


交付目論見書のトップや販売資料の目立つところに「分配金は特別ボーナスのようなお金ではなく投資資産からの払戻しです」という趣旨の記述が欲しいくらいですね。


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