10月28日にもいろいろなところで報じられていましたが、今日の日経も報じていました。

高額療養費、高所得層の限度額引き上げ試算 (YOMIURI ONLINE)
 70歳未満で年収約800万〜1000万円の世帯では現行の月約15万円を18万円に、年収がさらに多い世帯は月約25万円に、それぞれ限度額を引き上げると想定。必要な保険料と税財源を合わせて年360億円減らせるとしている。
  厚労省は、低所得層の負担を軽減する方針。70歳未満で年収約300万円以下(住民税が非課税の世帯を除く)の限度額を、現行の月約8万100円から約4万4400円に引き下げる案をすでに公表している。

この試算によると70歳未満の高額療養費制度の自己負担割合は以下のようになるそうです。
所得階層従来の負担新試算
[超上位所得者]
標準報酬68万超
旧ただし書き所得770万超
15万+(医療費-50万)×1%25万+(医療費-83.3万)×1%
[上位所得者]
標準報酬53万超
旧ただし書き所得600万超
15万+(医療費-50万)×1%18万+(医療費-60万)×1%
[一般所得者]8万100+(医療費-26.7万)×1%8万100+(医療費-26.7万)×1%
[低位一般所得者]
標準報酬22万以下
旧ただし書き所得160万以下
8万100+(医療費-26.7万)×1%4万4400+(医療費-14.8万)×1%
[低所得者層]
住民税非課税
35,40035,400

この試算によると合計で2200億円の負担増となるようです。各種変更による影響は以下。
・一般所得者のうち低位層(年収300万以下)の自己負担額を80,100⇒44,400とすることで2600億円の負担増
・上位所得者の低位層の自己負担額を15万⇒18万とすることで250億円の負担減
・上位所得者の上位層の自己負担額を15万⇒25万とすることで110億円の負担減

年収約1000万円以上の層の負担上限を15万円⇒25万円と大幅に引き上げても焼け石に水という数字ですね。それだけ年収300万以下が多く、年収1000万円以上の人が少ないということがあるのでしょう。(年収300万以下の場合は共働きの妻が派遣社員等の非正規社員で健康保険に加入しているケースなどもあるので、これも数を増やしています)

高額療養費制度があるから医療保険はあまり必要はないという意見がありますが、自己負担が上限が引き上げられた層に対しては「高額療養費制度があると入っても、自己負担額はけっこう多いから保険に入ったほうが良い」といセールストークもありそう。


【参考資料】
第41回社会保障審議会医療保険部会配布資料


【関連コンテンツ】