『分配金利回り』

これに関しては先のエントリーでも書きました。

その実態を知っても知らずでも投資家側が使う分には構わないと思います。しかし、プロとされる売り手側が販売促進のためにこの言葉を使うのは反則ではないでしょうか?


投資信託の収益はキャピタルゲインとインカムゲインに二分されます。
 ・キャピタルゲイン:投資信託の基準価額の値上がり益
 ・インカムゲイン:投資信託から出る分配金

この2つを合わせたものが、投資家が得る投資信託の損益です。
ところが、『分配金利回り』では、キャピタルゲインが一切考慮されていません。『分配金利回り』を考える時には自動的に(1年間)基準価額が変動しないとするとということが前提とされています。
分配金は投資信託が保有している資産からの取り崩しであり、分配金を出しただけ基準価額は低下します。しかし、『分配金利回り』の計算をする時はこれが考慮されていません。
そんな都合がいいことがあるのでしょうか。


シティグループ世界国債インデックスに連動する2つのファンドがあったとします。今は共に基準価額は1万円としましょう。
 ・Aファンド:毎月10円(1万口当たり)の分配金を出します
 ・Bファンド:毎月100円(1万口当たり)の分配金を出します

分配金利回りの計算だと・・・
 ・Aファンドは1年で120円の分配金が出る予想になるので、分配金利回りは1.2%です
 ・Bファンドは1年で1200円の分配金が出る予想になるので、分配金利回りは12%です

分配金利回りの計算では基準価額が1年間変わらないという前提になっています(だから1万円で割る)。その結果、この分配金利回りの計算で想定された1年後の両ファンドの結果は大きく異なります。
 ・Aファンドは基準価額が1万円で分配金が120円
 ・Bファンドは基準価額が1万円で分配金が1200円

同じ対象に投資して同じ計算方法を取っているのに、注意書きに小さく"基準価額は1年間変わらないものとする"と書くだけで、一見Bファンドのリターンが凄いかのように見せることができます。


また、先のエントリーの2番で書いた直利を使う計算方法でも簡単に『分配金利回り』を上げることができます。ジャンク債や高金利国の債券を組み入れれば、債券の表面上の利回りは高くなります。いつ潰れてもおかしくないような企業の債券なら年利回り10%超なんてものはあります。それを組み入れて「分配金利回り15%!¥なんていっても無意味です。それだけ危険な企業が多ければ、いくつかの企業は潰れるか業績悪化で債券本体の価格が下がります。
高金利国の債券の場合も同じです。高金利にはインフレ率が高いか信用度が低いのような理由があります。債券の利回りが高い分だけ為替リスクや信用リスクで損する可能性が高くなっていて、総合的に見ると決して有利ではありません。


●まとめ
基準価額が変わらないという前提があまりにも無茶なのです。ドラえもんのもしもボックスの世界です。
株式投信で「株価が下がらないならば儲かる」とかレバレッジをかけたFXの円売りスワップ運用で「為替が1年間同じ水準だったら儲かる」なんてのは馬鹿にされます。そんな都合のいいシナリオどおりに動けば儲かりますが、それはただの楽観的シナリオです。それどころかただの個人的願望です。

しかし、何故か『分配金利回り』の世界では、これが許されているように感じます。販売・運用側もその確率に触れずに基準価額が不変だとすれば、と言っています。基準価額が下がらない可能性も0ではないが、それでいいのだろうか。


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