「無駄を削れというならまずは国会議員の報酬を削減しろ」
「国債を発行するぐらいなら国会議員の報酬を削減しろ」

日本では、上のような国会議員に払っている報酬などに批判が集まる傾向があるように感じます。

しかし、個人的には無闇に国会議員の報酬などを削減することには反対です。
ヒラの国会議員一人維持するため経費は年間で、歳費 、月給+ボーナスの概算で3080万円、立法調査費の名目で780万円、文書交通費として1200万円、三名の公設秘書の費用が概算で2300万円、と言う事は7360万円が最低の直接費として必要だ。
(盗人に追銭 国会議員の給料より)

国会議員1人当たり約7360万の報酬等が支払われているようです。


これが高いか?安いか?
個人的には高くないと考えています。

みんなの党が候補者選びを進めていた。立候補を打診された経済人などの間で動揺が走った。
 「持参金が3000万円いるらしい」
 同党の渡辺喜美代表にぶつけるとこんな答えが返ってきた。
 「みんなの党ぶがカネがないので、選挙費用は候補者の皆さんに自前でお願いしますと言っているんです。等に寄付しろと言っているわけではない」
 裏を返せば、3ヶ月余りの検挙運動に3000万円はかかる、ということだ。
 選挙戦も終盤近くになると、資金が枯渇。
<中略>
そんな時、党の実力者が陣中見舞いにやってくる。候補者ではなく「金庫番」に会い、紙袋を置いていく。当選後に実力者に頭が上がらなくなるのはこのためだ、と言われる。
 3年前の参院選の際、自民党の公募に応じた候補者がいた。小野崎耕平氏。当時37歳。決定した際に党本部の呼ばれて幹部と会った際、開口一番に言われたことを今でも忘れない。
 「おい、カネはいくらある。1億ぐらいもっているか」
 「ほとんどない」と答えると、幹部はうなった。「冗談だろう。選挙にはカネがかかるんだ。君のような人間には本来、応募する資格は無かった。」
<中略>
結局、党本部や県連がお膳立てした選挙運動に乗っかるしか術はなかった。
<中略>
 結果は、落選。事務所を閉めた後、選挙対策本部の事務担当者が請求書を持ってきた。「残ったこれだけは何とかしてください」。総額700万円―。
 妻と、6歳と2歳の子どもを抱え、電気代を払うメドも立たなくなった。支援者に頭を下げて借金した。
(日経ビジネス2010年6圧21日号の記事『参院選3000万円の常識』から)

選挙には金がかかります。でるだけなら数百万で済みますが、まともに選挙活動をやると3000万で上げるのもきついようです。

選挙だけではありません。

 参院議員として6年間の総収入を考えれば、選挙にカネをかけても十分取り戻せると書いた。だが、それは、当選後はほとんど何も活動しない場合の計算だ。
まじめに政治活動を行おうとすれば、一見潤沢に見える国からの収入だけでは、支出は賄えないのが実情だ。
 まず人件費。まじめに制作に取り組もうとすれば、スタッフが必要となる。公費で賄われる政策秘書、第1秘書、第2秘書の3人だけで、すべてをこなすのは難しい。政策通で知られる国会議員となると、10人近い秘書を抱えている。公費以外の7人を年俸500万円で雇っても年間3500万円の支出だ。
(日経ビジネス2010年6圧21日号の記事『参院選3000万円の常識』から)

この記事にあるように、政治をやらずに黙って報酬を貰い続けるなら儲かるのかもしれませんが、真面目に政治をやろうとするとお金がかかり、一見潤沢な今の水準では不足するくらいです。


無闇に報酬を下げるとどうなるか?
「1億円は持っているのか?」と言われるように大金を持っている人しか政治家になれなくなります。
志は立派でも金のない人は政治家になれません。金持ちに資金を頼ると、金を出す見返りに俺に有利な政策を進めろと言われるのがオチです。
仮に選挙にお金をかけずに当選しても、スタッフがいなければ、ろくに情報を集めることもできません。1人で法律も経理もある分野の専門情報も全部持っていて、最新情報や他国の情報を全部1人で調べられてそれをアウトプットできて委員会にも参加できるような超人はまずいません。
金が無いと志だけで政治家になっても肝心の政策を具体化するところで仕事になりません。

しっかりとした報酬があれば、数千万円というお金を自分で用意しなくても、報酬を使って必要なスタッフを雇ったり、必要な情報を収集し分析させることもできます。



国会議員の報酬を下げろと無闇に言う人は、それでどういう政治になることを想定しているのでしょうか?


国会は立法府であり、議院内閣制の日本ではある意味国の最高機関とも言えます。そこでお金をケチっていいのでしょうか?
無駄な経費を削減すべきとは思いますが、本気でやることを考えた時には7000万円強と言う金額は決して十分ではないと思うのです。


国会議員の報酬で問題となるのは、仕事をしていない人に報酬が支払われてそれをチェックできないシステムであり、報酬額の問題ではありません。
民間企業においても個人の報酬額や経費が多いことそのものが問題ではありません。その額がその人の働きに見合っているかどうかが問題なのです。

そのような制度を考えた時に不透明で無駄を生むような報酬の与え方は修正されるべきでしょう。しかし、無闇に報酬を下げろという主張はされるべきではないでしょう。


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